嫉妬のエリナリーゼ　～悪辣妖精が取り替え損ねた、美しくなきドアマットヒロイン～

妖精のエンヴィーは、ある日、彷徨う人間の魂を見つけた。 その魂は、なんと異世界から来た人間の魂だった。 異世界の記憶には、こちらの人間の世界の未来の記憶があって。 チェンジリングによって運命を弄ばれる二人の少女の事をエンヴィーは知った。 嬉々として、二人の赤ん坊の取り替えを企む妖精のエンヴィー。 そして『ヒロイン』と『悪役令嬢』の二人に待ち受ける未来を思って、ほくそ笑む。 エンヴィーにとって『ヒロイン』はお菓子をくれる都合のいい人間で。 『悪役令嬢』は不幸に落ちるだけの人生を辿る、面白い玩具だった。 「キミの人生がぐちゃぐちゃになる瞬間を楽しみにしているよ！　人生をいっぱい使って、僕を楽しませてね！」 嘲笑いながら飛び去ろうとするエンヴィーの後ろ。 『悪役令嬢』エリナリーゼの傍で……天秤の魔法が発動した。