ある雨の日から始まった事
最終更新:2021/2/8
作品紹介
雨か……。 俺は空を見上げた。 金が無いからって理由で自炊を始めてはや十五年。 アラフォーと呼ばれる世代になる。 自炊はそれなりの給料をもらうようになっても続けていた。 そしてそれなりにできるようになっていた。 それが原因で、年下の彼女に振られてはや一年。 振られたのはこんな雨の日だった。 ちょっとしたバースデープレゼントのサプライズのつもりで作ったケーキが、「私より上手い」という理由で振られたのだ。 そんなふうに言われてもなお、結局自炊をしているこの俺。 何でだろ……。 今日は珍しくスマホの目覚ましのセットを忘れていた。 遅刻を恐れ俺は走る。 雨の日いつもの駅の下り階段。 階段は雨に濡れて滑りやすくなっている場所。 いつもの時間の電車に遅れそうな俺はカバンを脇に挟み、傘を畳みながら小走りに階段を降りる。 つるん。 こんな言葉が正しいぐらいに見事に転んだ。 いつもなら手すりを持っている右手が傘に添えられており、足元が滑った瞬間体を支えることができなかったのだ。 背中をしこたま打ち、痛みで目を瞑る。 「イテテテテ」 痛みが落ち着いたところで目を開けると、そこにあるはずの地下へ向かう階段は無く、鬱蒼とした森の中に居た。 ひょんなことから異世界に転移した男の話です。 途中の作品もありますが、新規作品です。 気が向いたら読んでいただけると幸いです。
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