Rule of Scramble
最終更新:2018/11/5
作品紹介
――――世界は巨大だ。だから人間は、運命に抗うことが出来ない。 西暦2030年、第三次世界大戦、勃発。人類は未だ共喰いを繰り返し、種の滅亡へと舵を切る。大地に血の染みが広がり、海に骨の欠片が撒かれた地獄。叫喚が響く壊れた世界がそこには在った。 しかし――、この戦争には一つの大いなる相違点が存在していた。かつて起きた二度の世界大戦との決定的な差異。 其は国と国の争いにあらず。国家の枠など既にない。国境は分かれ、統合し、あるいは消え去った。流れる血の在り処も、信じる神の違いもまた瑣末事。 これは、世界のルールの奪い合い。科学世界と魔術世界の潰し合い。基準を決めるための闘争だ。 人類はこの未曽有の災厄を『法則戦争』と呼んだ。 互いの信じる理想郷がため、楽園をその手に掴むため、死の行軍は止まらない。故に世界は刻一刻と終末へと時計の針を進めていく。誰一人としてその終焉に気付かぬまま。 そして、一人の少年――安堵友介は、その地獄の只中に生まれた。 彼は理不尽と不条理、そして不幸が渦巻く終わりの世界の中で、運命と世界に弄ばれながら血の道を歩く。 その果てに見る世界が何のか、誰もそれを知りはしない。 これは――。 血濡れた少年の、出会いと滅びを描いた物語。
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