五年戦争
最終更新:2015/9/14
作品紹介
わたしがこの話を物語ると、大部分の者は見え透いた作り話と笑い付す。 残りの者は精神の変調をきたしていると評す。 なるほど、確かにわたしは疲れているのであろう。しかしそれは過労ではない。 また別のものは思惑の投影に言及する。 わたしが現実と妄想の狭間で迷子になっていると言うのだ。 なるほど、確かにわたしは境界が曖昧であろう。しかしそれは狐憑きではない。 誰もがわたしを気ちがいと評しようと、わたしは決してあの日を忘れまい。 脳から魂に永遠の染みがつくが如く、刻まれた記憶は拭い消す事が出来ない。 だがわたしは呪わしい思い出を追い出そうと無駄な抵抗を企てる。 気狂いじみた恐怖の迷路の中にかりたてる記憶を、手記に残すという無駄な抵抗を。 さて何から書けば良いだろうか。 そうだ、最初に記すがわたしは異世界という言葉が大嫌いだ。
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