人魚のための唯一の呪文
最終更新:2020/9/26
作品紹介
世界には魔王がいた。無論「いた」というのは「今はいない」と同義である。救世の英雄となったのは、ほんの幼いころに離宮に追いやられ、長く忘れられていた帝国皇子。 人魚である彼女が彼に出逢ったのは、もう何年も前、その離宮に続く海岸でのことだった。 ……魔王討伐のために去った皇子の帰還を、ずっとずっと待ちわびていた海の人魚。しかしあるとき、英雄となり皇帝となった彼が、魔王の最期の呪いを受け、不自由な体になったという噂を聞く。 呪いを解くため、彼女は大きな代償を払って魔女から手に入れた薬を飲み、人間となって彼のもとへと向かった。 彼女に与えられた時間はたったの百日。 これは、その最後の夜の物語。
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