アンチ転生論

　現実世界でうだつの上がらない生活を送っている主人公・高橋 勇翔（たかはし ゆうと）、彼はアルバイトとしてコンビニで働く傍ら、自分の思い通りになる「異世界」に対して、強い憧れを抱いていた。 　とある日、いつものように筆を執り、現実での鬱憤を晴らしていると、突然謎の女性・アイルが現れ、彼を「異世界」へと誘うのだった。 　しかし彼の辿り着いた場所――それは魔法も使えず、モンスターもいない、人間の牛耳る「中世ヨーロッパ」的世界だった。彼は自分の理想としていた「異世界」とのギャップに戸惑いながら、一時は奴隷にまで身を落としたものの、王女に拾われるという好機に恵まれ、晴れて王宮勤めをすることになる。 　時代背景は違えど、現実世界と何ら変わらぬ「異世界」に存し、彼は北ファランク王国の馬屋番としてその世界に順応しつつ、彼を救い出した王女や彼の上司・ゴスホーク親方の元、肉体的・精神的に成長していくのだった。 　しかし唐突に舞い込んできた王女の政略結婚、そしてその直後に発生した敵国・南ファランク王国による王女簒奪事件が彼の取り巻く状況を一変させる。 　彼はゴスホーク親方、そして弟分のデットリー一味と結託し、王女奪還を掲げて国王の裁可を得ないまま南下を始める。 　その後、様々な試練・修羅場が彼を待ち受ける。しかし特殊能力も魔法も使えない中、彼はどう立ち回り、それらを乗り越えていくのか、そして彼は無事、王女を助け出すことが出来るのか―― 　無双もハーレムもない「異世界モノ」に対するアンチ・テーゼの作品、乞うご期待！