最強魔術師なのに聖女にフラれたから、パーティ抜けてマッチング掲示板に登録してみた

　最強魔術師の俺、聖女にフラれました。だから腹いせにパーティを抜けた。魔王に挑む決戦直前に。仕方ないよなぁ？俺は根暗な魔術師で、友達がサキュバスしかいないような奴だから。 　勇者をはじめ、皆が俺を引き留めたよ。『お前がいないと、魔王に勝てない！』って。 　知るかよ？　俺はなぁ？フラれた女の横でのうのうと呪文が詠唱できるほど、タフなメンタルしてないんだ。豆腐だよ。くずきりかもな？伊勢うどん？ 　でもいいんだ。俺には使い魔のサキュバスがいるから…… 「マスター！搾〇させて！」 「イヤだよ！今日何回目だよ！せめて三日に一回にしてって言ったよな！？」 　前言撤回。全然よくないわ。 　あのな？俺は欲を処理できる女が欲しいんじゃないんだよ。『彼女』が欲しいんだ！ 　家に帰ったら三つ指ついて、おしとやかで柔らかな笑みを浮かべて待っててくれるような、寒くて震える夜は傍に来て、そっと抱きしめてくれるような……清楚系で可愛い彼女が欲しいんだ！！だからあの、東の国を治めるお姫様の聖女が大好きだったんだよ！和服が似合う、ヤマトナデシコ！！俺が居た北国にはいないような…… 　あああ！彼女が欲しい！あの、俺をフッた聖女にも負けないような美人で可愛い彼女が欲しい！そして、俺から愛しい聖女ちゃんを奪ったあの勇者に、復讐してやるんだ！！ 　けど、その前に隠居しよう。マッチング掲示板に登録して、収入にモノ言わせて、可愛い女の子と穏やかな日々を過ごそう。 　なのに。俺の元に訪れるのは魔女、妖怪、その他の怪しい奴ばっかり！！魔術師の男がこんなに偏食されるとは思ってなかったよ！果ては魔王軍の宰相を名乗る怪しい男に目を付けられて、『聖女に会いたくないか？』と揺さぶりをかけられる始末！ 　もう！おとなしく隠居させてくれ！そして彼女くれ！！ 　最強なのにフラれた青年の心の傷を癒すのは、果たして誰なのか――！？ 　マッチング掲示板の実力や、いかに――