僕らは金属バットで口裂け女と対峙する
最終更新:2020/8/29
作品紹介
東条朝陽が生まれてから十二年の間を過ごしてきた、『八雲町』にはなにもない。 かろうじてコンビニはあるが、全国チェーンの牛丼屋や中華料理屋、イタリアンレストランはない。 目立ったお祭りもなければ、郷土愛すらもない。 あるものと言えば、全国展開されている総合スーパーとシャッター商店街手前の寂れた商店街だけだ。 田舎と呼ぶには本物の田舎には失礼ではあるものの、『街』とは決して呼べない場所だ。 それでも、この町には西野日奈がいる。 名前の通り、お日様みたいな笑顔がかわいい、初恋の女の子がいる。 それだけで、朝陽にとってこの町は特別な町だった。 そんな初恋の女の子がいるだけのなにもない町で、朝陽と日奈は一人の女に出会った。 女は二人に訪ねる。 『わたし、きれい?』 日奈は答えてしまった。 そして、女は嗤った。 『これでも……?』 口元まで大きく裂けた不気味な笑みを浮かべて。 ────口裂け女が、立っていた。 ※こちらの作品は『小説家になろう』にも掲載しています。
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