全5話 16,352字 読了まで約30分
・やや引っかかりがありますが、風景、心情をすんなりと思い描ける文章です。
・展開は起伏に富み、短編という事もあって中だるみもありません。
・ちょっと唐突。それも味と言えますが、個人的にはもう少し背景を膨らましてほしかったです。
以下、詳細をレビューしていきます。
舞台は現代日本。主人公は田舎での生活を余儀なくされた女子中学生です。
この短編作は、ゆすらうめという赤い果実を通して、主人公と、ある同級生を取り巻く環境、心情に思いを馳せる物語です。
題材に相応しく心理描写はしっかりとしていて、各キャラクターの性格や思いを難なく理解することができます。また、会話文もこなれていて、各々の人間性がしっかりと滲み出ていました。
反面、導入はかなり説明的で、本筋に比べて文章も硬く、少々勿体なく感じます。
結末はある種鮮烈な味わいがありました。しかしながら、これに持って行くには重ねるべき描写がまだあったのではないかと、個人的に思います。唐突だからこそ趣があると言えなくもないのですが。
以上です。タイトル通り、赤く瑞々しく、甘酸っぱい物語です。短時間のうちに、様々な意味で心ときめかされる作品だと思います。お手すきの際には是非どうぞ。
登録:2021/7/20 19:06
更新:2021/7/23 17:15