とある方のレビューと読了感想を見かけて読み始めた作品でしたが、読了したいま、大きな満足感を得られています。
恋愛要素ありの純文学、と呼んで差し支えのない本作ですが、散りばめられた謎とミステリー要素が、読み手の興味を誘います。回想と、妄想の使い方が実に上手いな、と思いました。
失恋のショックを癒すため、旅に出た主人公。
彼の前に現れたのは、謎の美女。しかし彼女の行動は、どうにも奇妙なのです。
・なぜ、彼女は故人の名前を名乗ったのか
・なぜ、彼女は自分の名前を名乗らないのか
・なぜ、彼女は主人公の行く先々に現れるのか
彼女が起こす奇行の数々に、ちゃんと意味があるんだとわかった時、この物語が隠してきた本当のメッセージが見えてくると思います。
失われていた、彼の記憶とともに。
なんとも美しく甘美な旅の結末を、ぜひその目で見届けてください。
登録:2022/3/6 21:33
更新:2022/3/6 21:32