それは、いつ変わる事のない同窓会の風景。
そこに無い姿に想いを馳せる主人公。
子供の世界は狭い。だからこそ大人の世界の縮図の部分が多い。
「真実はひとつ」なんかじゃない。些細に見える事柄でも、視点が変われば、その世界、その世代の大部分を占める事件にもなる。
少女と視点を重ねた少年は、きっと『犠牲』を抱えて生きてゆく。
私は少女の瞳の中に『犠牲』ではなく『愛』を見た。
人はこれを愛だと感じるのだろうか。
ただの自己犠牲だと思うのだろうか。
成長した少年は過去を。少女は未来を。しかし背中合わせな今を感じさせる。ほろ苦いジュブナイル作品でありながら平和の在り方を問われるような作品。
心を震わせる愛の言葉が、これほど散りばめられた作品を『私は』知らない。
登録:2021/7/11 12:35
更新:2021/7/23 17:15