この物語は、毎話300文字で構成されています。
――などという、気が狂ったような内容の本作。
しかも日記形式だというから、驚くしかない。
300文字とは、あまりに僅かな文字数だ。
内容はぶつ切りではないのかと疑うのが当然のところ。
しかし、実際に読んでみるとさらなる驚愕が襲う。
……本当に300文字で、一日の出来事が簡潔かつ魅力的に綴られているのだ。
しかも魔術学園という舞台で読者が期待することがたっぷりなのである。
キャラクター達の行動も、彼女たちならこうするだろうという納得感たっぷりで、まったくストレス無しで読める。
その上で、
・長期スパンのイベント
・現在進行形で起こっている事件
・明日以降への伏線などがちりばめられており――なんだこの驚異の文字数圧縮術?
普通の作品なら一章使いそうなネタを躊躇なく消費する精神。
読者のために心を砕き、細部まで徹底されたリーダビリティーで、気が付けばするすると最新話まで読み進めてしまう。
同じ物書きなら文芸能力の技量に絶句し。
純粋な読者ならゆるふわかつハチャメチャなファンタジー世界の日常に魅了されること間違い無しの逸品である。
登録:2023/7/16 18:08
更新:2023/7/16 18:04