ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

荒唐無稽でありながら、深遠玄妙な究極の思弁ファンタジー

5.0
3

シェイクスピアはその戯曲『ハムレット』の中で、

「芝居というものは、昔もいまも、いわば自然に対して鏡をかかげ、善はその美点を、悪はその愚かさを示し、時代の様相をあるがままにくっきりと映し出すことを目指しているのだ」

と語った。

幻想再帰のアリュージョニストは異世界転生ものではあるが、その物語は単なる空想活劇ではない。

この物語を支えるのは、徹底したリアリズムだ。

作者の最近氏の該博な知識と、圧倒的な文章力によって描き出されるアリュージョニストの世界を支配するのは、呪術という異界のシステムである。

だが、この呪術を通して明らかになるのは、普遍的な人と社会の営みだ。

この物語で描かれる世界と人間は、そのタイトルの通り私達の現実世界の引喩(アリュージョン)なのである。

シェイクスピアが語ったように、鏡のようにくっきりと読者である私達の時代の様相を映し出す。

この最高の思弁小説をどうぞ御一読あれ。

竹尾練治

登録:2021/7/10 01:02

更新:2021/7/23 17:15

こちらは竹尾練治さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

同じレビュアーの他レビュー!!

漢検準一級は異世界で無双の夢を見るか?

可能性を感じる新鋭の異世界ファンタジー

 この物語の最もユニークな所は、やはり題してある通り、主人公の異能が「漢字」を媒体にする点だろう。  漢字の字義に従って魔法が発動する。  漢字は熟語として使用すれば効果を拡張できるが、反面魔力消費は激しくなる。  至極シンプルで分かり易いルール。しかし、無限の拡張性を秘める興味深い能力である。  この能力設定からは、作者様の自信のようなものを感じる。  漢字を使用する能力というのは、汎用性・拡張性が高すぎて、ともすれば無秩序な万能へと変わりかねない危険性を秘めている。  しかし、物語の中のパワーバランスは絶妙に保たれ、主人公は能力を御しつつも、未だ多くの可能性を残している。  このバランス感覚の精妙さには唸らされた。  異世界に転移してきた主人公の大和健吾。そして出会った銀髪の少女ミコ。  彼らは出会い、そして共に歩み出した。  コミカルな掛け合いの中にも、確かな文章力を感じる作品である。  物語は現在一章を終え、二章の序盤に差し掛かった塩梅――主人公達が出会った村から旅立ち、冒険が始まったばかりの頃合いだ。  貴方も、始まったばかりのケンゴとミコの冒険を追いかけてみてはいかがだろうか。  この物語は、きっと素晴らしい大作になる。

4.0
0
竹尾練治