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堕ちた勇者の千剣魔宮~その勇者は刃のダンジョンを身に纏う~(魔王に敗れ、心臓を奪われた勇者はダンジョン生成能力を得たが魔力消費を気にしてまさかの展開域0。だがそれが意外と強いようで?!)

魔人堕ちしてしまった主人公が真に望んだものとは?

【物語は】 勇者である主人公の敗北から始まる。 ここで主人公の”勇者の在り方”というのがとても印象的だ。例え、パーティメンバーに見捨てられても、勇者として彼らを守る。それは勇者としてのプライドなのだろうか。 ここで彼は”友達や仲間”についての思想や、努力について語っている。彼にとってパーティメンバーは、同じ目標を掲げる同志でしかなく、仲間ではなかったという事。それでも主人公が命をかけ、彼らを守ろうとするところに心打たれる。だが、彼が窮地に立たされていることは変わらない。 彼に希望はあるのだろうか? 【登場人物の魅力】 主人公の”仲間”というものへの考えかたについて。 酷い仕打ちをされ、仲間を持つことが出来なくなった主人公。傷つきながらも勇者である立場と誇り、使命を失なわない人物だという印象を持った。 そしてもう一つ、自分が他人からどんなにひどい仕打ちをされたとしても、人間であろうとしたのではないだろうかと感じた。人としての心を持ち続けようとしたのではないかと。 しかし敗北した彼は、望まずして”人”ではなくなってしまう。それでもなお、パーティメンバーの安否が気になる彼。例え人に裏切られても、バカにされていようとも。 本当は心から親愛の念を抱けるような、信頼しあえ互いに尊重、尊敬しあえる仲間を、彼は望んでいたのではないだろうか? 話が進むと、主人公に新たなる出会いが待ち受けている。その人物との出会いや戦いの中で、この物語の世界観も分かって来る。 『魔人堕ち』そのものに、人の心の闇を感じる物語でもある。 彼女との出会いが主人公にもたらすものとは? 【物語の魅力】 特に戦闘シーンに拘りを感じる物語である。世界観もしっかりしており、読者が想像が出来るように丁寧に描かれている。主人公は不憫な境遇にあり、魔人堕ちまでしてしまう。 だが、この物語には救いを感じる部分がある。それは、冒険者が一方的に魔人堕ちした者に対して悪と決めつけないところである。主人公たちの言動によって周りの印象が変わるところが、素敵だなと感じた。 特に、主人公の魔人堕ちしたその後の戦いでは、感動する部分もある。 主人公は例え人間でなくなってしまっても、”心”は人のままなのだ。この物語には混沌としているように感じる部分もあるが、温かみを感じる部分もある。 恐らく、これからもっと激しい戦いになっていくと想像するが、彼の心は人間であり続けると思われる。 【物語の見どころ】 #1 『最小展開域のダンジョンマスター』まで読了で感じたこと。 主人公は仲間を持つこと、友人を持つことを諦めてしまった勇者。その上、人間ですらなくなってしまう。だが、人として生き続ける。そして、再び魔王を討伐することを諦めてはいない。 その旅の途中で出逢ったある人物。彼女は、もしかしたら、彼の欲しかった”仲間”となるのかもしれない。 あらすじを見ると、この先は一筋縄ではいかなそうである。むしろ、苦難の道を歩むのではないだろうか? 彼の目的を叶えるための旅はまだ始まったばかり。いずれ明かされることになる”明かされる星の使者と6人の魔王の目的”とは、一体どんなものなのだろうか? あなたも是非お手に取られてみませんか? 拘りの戦闘シーンと世界観が魅力の物語。 お奨めです。

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crazy's7

Cross Navi Re:〜運命の交差〜

彼らの運命が交差する時、一体何が起こるのだろうか?

【物語は】 意味深な心情により始まる。ドラマチックな一場面により、何が起きているのだろうかと興味を惹く物語。 空行の使い方が上手く、まるで何もない空間の中に小さな点を感じるように、一つの目標であり、意志であり、目的が浮かび上がっているような錯覚を起こす。プロローグでは、ある人物のそうしたイメージを持つ場面から始まっていく。プロローグの空行の使い方が、とても巧いと感じた。 【物語の魅力】 主人公の一人である榎本春樹は、目が覚めたら知らない場所に居た。その上、彼はこの場所に来るまでの記憶を所持していなかったのである。 知らない世界であるにも関わらず、主人公がパニックに陥らないで済んだのは、彼に”ゲームの感覚”というものが備わっていたからだと感じた。 ゲームそのものに対しての考え方や、見方は賛否両論あるが、”こんな時、ゲームだったらどうするのか、またはどうなる?”という考え方は、時に人を冷静にさせるのではないかと思う。 例をあげるのであれば、消防訓練、避難訓練などが該当するのではないだろうか。ゲームも同じように、事件やイベントに対してのシミュレーションを行うことが出来ると考える。すなわち、いざとなった時に行動を決める一つの選択になるのではないかと感じた。 つまりこの作品の中では、彼の”ゲームをした経験”そのものが活かされており、彼の思考に対してリアリティが持たされていると感じたのである。 構成がとても巧い。現在の状況や情景が先に描かれ、彼がそれ以前どうであったかが、心情の一部により明らかになる。この順というのは、何があったのかが後に来るため、読み手の好奇心を持続させる書き方だと思う。 【登場人物の魅力】 第一一章、榎本春樹編について。 彼は冷静であり、余計なことを口にしないタイプの人物だと感じた。その為、変な(嫌な)ドキドキ感はない。 この世界がどんなところで、どんな世界観なのか。一体何が起きて、彼がここにいるのか。じっくりと読み進めることが出来る。 彼がこの世界で初めに手に入れたキーワード、”自分が初めに辿り着いた場所”(ネタバレになるので明確な単語は避けます)。そこへは目が覚めた場所からは、簡単には行くことは出来ないようだ。つまり、凄く重要な場所なのではないかと想像する。 主人公は、目が覚めた場所に連れて来てくれた人物の世話になる。その人物にある場所へと案内される中で、この世界について学んでいく。この流れもとても自然であり、この場面で初体験した時の反応に、人間らしさを感じた。 冷静であり、聡明な彼は質問の仕方もスマート。しかし、普通の人間でもあるということが分かる。 補足:普通というのは、喜怒哀楽を持ち機械的ではないという意味合いである。 【物語の見どころ】 この物語には、二人の人物の物語がしっかりとあり、その上で交差する物語が存在する。二人は恐らく、真逆のルートになるのではないかと想像。 それは光と闇のような関係。 一章を読んだ印象では、心情や世界観、状況、情景描写がとても丁寧で分かりやすく、読みやすい。このことからも全体的に丁寧に作られた物語であると想像がつく。 一章での主人公が、もう一人の主人公に出逢う時、一体何が起きるのか。まだ想像することは出来ない。対峙するのか、協力し合うのか。展開の予想を立てることは難しい。だからこそ、先が気になる物語である。 果たして、彼らの行く先に何が待ち受けているのか? あなたも是非、お手に取られてみませんか? どうして彼らがこの世界に来ることになったのか。 そこに、意味があるはず。おススメです。

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crazy's7

紺碧のミシマ ~ホームレスだったけど異世界へ行ってロボットになったので俺は自由に生きる~

笑いあり、切なさあり、そして心温まるエピソード満載のロボットととして生きるミシマの物語。あなたもきっとキュンとする。

【物語は】 ある疫病の蔓延により不況の煽りを受けリストラされた主人公。頼る相手もなく、ホームレスとなる。しかも、運悪く疫病にかかり生涯を閉じた。彼は病床で、次に生まれ変わったらケガや病気、飢えと無縁な体に生まれ変わりたいと望んでいた。そして、目を開けたら洞窟に。そこで何故か二回食われるという経験を⁈ 【物語の魅力】 主人公は、自分が亡くなったことに気づかづ、夢が叶ったことにも気づかない。現状を楽しむことにした主人公であったが、どういうわけか身体が言うことを利かない。度々自分の意志に反して暴走(?)するのが面白い。 移動しているうちに、ある人物へ遭遇。ロボットになった主人公は、どうやら会話は出来ないようだ。そこで、ジェスチャーや文字で会話を試みるのだが。 夢と思い込んでいるせいか、かなり伸び伸びとしている。心理描写が丁寧かつ、面白くつい笑ってしまう。だが、ただ面白いだけではなく、シリアスな部分もある。 イラストもついていて、可愛いなと思う部分もあれば、こわっ!と思わず溢してしまうイラストもあり。全体的にコミカルで、主人公の自分自身の性能に対するツッコミが面白い。 【登場人物の魅力】 ブラック企業で、人に仕事を押し付けられていた主人公。リストラに合い、その後も不憫な人生となり、一生を終える。次に目を開けたとき、ロボットになって居た。夢だと思い込み、夢を楽しみ始める彼。ホームレスの頃の憂いは、夢だと勘違いし洞窟を探索していくうちに、跡形もなくなっていく。 彼を明るくしたのは、新しい身体だけではない。ある出会いも関係しているようだ。話しが進むにつれ、どんな性能があるのか、分かって来る。ロボット自体が面白い。 笑いだけではなく世界観が分かってくると、一緒に洞窟から出るのに同行した人物の境遇も分かって来る。主人公は、少しずつ彼女との絆を築いているように感じる。この先、どんな風に物語が展開されていくのか楽しみである。 【物語の見どころ】 ホームレスだった主人公は、自分が既に亡くなっていることを知らずに夢だと思続け、ロボットとして新しい人生を思いっきり楽しんでいく。しかし、彼の心は人間のまま。優しい心を持ち、偏見を持たず少しずつ新しい世界に馴染んでゆく。彼の人間らしいところが彼の良さであり、物語の良さなのではないだろうか。 彼はこの世界で生きていく中で、自分が受けた苦しみを、一緒に旅する女性に重ねる部分がある。それは、今を楽しんでいる主人公の、憂いの部分だ。 笑ってしまうところは多いが、しっかりとしたヒューマンドラマである。 彼は新しい世界で生活している中、自分が異世界に転生したことにいつか気づくのだろうか? この物語は読了部分で、はラストまでの展開の想像がつかない。 一体どのようなラストを迎えるのだろうか。 是非、あなたもお手に取られてみませんか? 笑いあり、切なさあり、そして心温まるエピソードも満載の素敵な物語。 お奨めです。

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crazy's7

品性を疑う -チート錬金術師は勇者パーティから追放された、勇者♂の身体つきがHなのでバニーが似合うと思う!-(たぶん5分で最後まで読める)

何度読んでも面白いが、説明が難しい!

【物語は】 主人公が勇者パーティから追放されるところから始まる。その余波か、錬金術師の資格を剥奪され、貴族との婚約も破棄されてしまう。さあ、主人公よどうする?しかし、彼には夢があったのだ。 【物語の魅力】 主人公は横暴(短パンニーソ愛)の限りを尽くし、お店開店。この物語はサクッと読めて、笑えるところが魅力。小タイトルを見ているだけでも笑えるし、なんだかわけがわからないけど面白いという。次から次へと短パンニーソが増え、最終的には勇者も短パンニーソに。それまでの過程が面白さということになる。 読みたい時に何度でも繰り返し読めるお手軽感がよい。(時間的な意味でも) 何度読んでも面白い。 【登場人物の魅力】 主人公の横暴っぷりが面白い。しかし、彼だけではわけがわからない。そこに、従業員が良いツッコミ役として登場する。何故、錬金術師なのか。その設定が活きているのも魅力の一つ。ただ、面白おかしいだけでなくそこに意味があった上で成り立っているので、絶妙なバランスだなと感じた。 あなたも是非お手に取られてみませんか? とても面白い作品です。

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crazy's7

トンネルの向こうの白い巨人

トンネルを抜けた先に広がっていた世界とは?

【物語は】 主人公が学校に向かう途中、あるトンネルをくぐることで状況は一変する。あったはずのトンネルの先。しかしそこは主人公にとって、見慣れない場所だった。日常から非日常へ。望んでなどいなかったのに、彼女はとんでもないことに巻き込まれていくのだ。 【物語の魅力】 知らず知らずのうちに、未来へタイムスリップしてしまった主人公。そこで、見たこともないものに遭遇。逃げようとすも、逃げることが出来なかった。それならばと、自分が友人にかけた言葉を思い出し立ち向かう。 一方その頃、彼女の辿り着いた先では通称『対白』が動いていた。白い巨人と戦うために。未来では、主人公のことは何かを通して知られているようである。その事については作中で詳しく語られていく。 ここで面白いと思ったのは”神隠し”という、モチーフの扱い方である。未来へいくという設定にする時、人はタイムマシーンを思い浮かべるのではないだろうか。その中でいなくなった人(タイムスリップした人)について触れる、というのはあまり見たことが無いように思う。 何故ならそれらは大抵、主人公の視点で物語が作られているからだ。そして戻ることが前提なこともある。その為、主人公がいない間に周りが何を思い、どんな行動するかを描くことが前提であること。もしくは、それこそが目的でなければ、周りの状況には触れないという事になる。 だからこそこの作品には独創性を感じ、面白い舞台設定、世界観だなと感じた。 【登場人物の魅力】 主人公は一瞬で未来へ。しかし、その間も世界は時を刻み続ける。 主人公である少女は、雨に憂鬱を感じたり、休み明けに気分が落ち込むなど、ごく普通の女子高生である。自分の暮らしている街に愛着を持ち、不気味なトンネルに恐怖を感じる様な。 そんな少女が、突然未来にタイムスリップしてしまったなら? 現実を受け入れられないのは当たり前であるし、もちろん不安を感じるだろう。 47年後の未来では、人々が淡々としているように感じる。それは、いつ命を失うか分からない”現実”と、向き合い続けているせいではないかと思った。日々、命に危機を感じ緊張し続ければ、笑っている場合ではないし、感情的になっている場合でもない。生きること、身を守ることが最優先事項となるはずである。状況が変われば、人の生き方考え方、感情の表し方も変わるという点で、この物語はリアリティを持たせていると感じる。 【物語のみどころ】 もしあなたがある日当然、神隠しに合い未来に飛ばされてしまったなら? そして、有無を言わさず人類の為に戦わなければならなかったら。 その現実を、あなたは受け入れることが出来るだろうか? この物語の主人公は、まだ17歳。 人生経験豊富な大人ではない。それなのにも関わらず、望まずして戦いに身を置くこととなるのだ。仮に戦って、世が平和になったとしても、元の時代に戻れる保証もない。たった一人で未来に来てしまった少女は、大人の勝手で使命を背負わされることとなる。 果たして彼女は、この世界に希望を見いだす光となるのだろうか? しかし、彼女自身は幸せを掴むことは出来るのか? 全く先が想像のつかない物語である。 行きつく先は、光なのか闇なのか? この物語の顛末を、その目で確かめてみませんか? 是非お手に取られてみてくださいね。 お奨めです。

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crazy's7

異形『怪』道中

時代らしさに拘りを感じ、モチーフには親しみやすさを感じる作品

【物語は】 ある診療所を舞台に幕を開ける。選び抜かれた表現で時代らしさを醸し出しているのが、印象的な作品だ。主人公が開業医をはじめた経緯などが、モノローグによって描かれている。 時刻はとうに夜中を回っていた。そんな折、主人公の思考を停止させるように、扉を叩く音が。格子戸に映った姿、時刻が時刻であることもあり彼はゾッとするのだった。 【物語の魅力】 時代らしさに力を入れている作品。冒頭では、ある出来事が描かれている。匂わせで終わっているが、これは何かの伏線なのだろうか? 明確な何かは書かれていないが、冒頭に日付が書かれていた為、恐らく過去の出来事だろう。この出来事が以降、彼の人生にどう関わって来るのか気になる点である。 一話の終わりから続く二話。繋ぎ方が巧いと思う。この物語はミステリーを思わせる部分があり、ホラーとミステリーは方向性が似ているということに改めて気づかされた。 ホラーとは”何か分からない”から怖いと感じるもの。ミステリーとは”何か分からない”から好奇心をそそられるものである。 特にこの作品は、時代らしさに拘りを感じるため話にのめり込んでしまう。表現だけでなく、空気感も良い。時間に常に追われるような現代社会の雰囲気ではなく、勤勉、真面目といわれる日本ながら、融通が利くと思われる部分があるのでそう思わせるのだろうか。 【登場人物の魅力】 主人公の性格はとても分かりやすく言動に表れており、周りの者からも彼についての印象が語られている。よく出てくる登場人物は四人となるのだろうか。主人公が世話をするようになった少年は、とても変わっており、食対して執着がある。どんな理由からそうなってしまったのか、気になる部分だ。 もう一人は、主人公の部下であり、主人公の気性などについてもよく知る人物。だからこそ悪戯と呼べることができるのではないだろうか? そのため作中ではコミカルに感じる部分もある。 そんな三人にアクセントを加えているのが、通いの家政婦の役目も兼ねている看護婦(補足*2002年3月より看護師と統一されている)。 個性的な三人な為、バランスが面白いと感じた。ユーモアも感じる作品である。 【作品の見どころ】 やはりその時代らしさに拘りを感じる。表現の仕方、言葉遣い、時間の流れ方など。そこに加えて、登場人物それぞれの個性も際立つ。 作中に登場するモチーフが、馴染のある物であるところは親しみやすい。 例えば、人魚の肉にまつわるエピソード。食べると不老不死になるという”伝説”は、一度は耳にしたことのある人は多いのではないだろうか。 検索をしてみると『人魚の肉を食べて800歳まで生きた娘』という記事が出てくる。この八百比丘尼(やおびくに)は、日本の伝説上の人物。特別なもの(人魚の肉など)を食べたことで不老長寿を獲得した比丘尼である。【web調べ】地方によって呼び方が違うが、それだけ各地に残されている伝説という事になる。 このように、多くの人が何となくでも耳にしたことのあるモチーフを扱い、それをオリジナルエピソードへとしている部分も見どころであり、魅力だと思う。 この先、彼らはどのような事柄や事件に遭遇していくのだろうか? あなたもお手に取られてみませんか? 彼らのその先を是非その目で、確かめてみてくださいね。 おススメです。

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crazy's7

オルタナティブ・ダークシード ~金の瞳と魔拯竜の紋章~

作り込まれた世界観が魅力の作品

【物語は】 ある予見のようなものから始まる。 あらすじにある通りこの後主人公は、深淵の森に入り込んだ来訪者を、追い払うために彼らを探しに行く。 主人公は侵入者を追い払うことが出来たものの、もう一人来訪者である旅人は、先の侵入者の一人と対峙し不運にも怪我をしてしまっていた。初めはその旅人も、森の外へ追い出そうとしていた主人公だったが、彼女が精霊に導かれた客人であったことを知る。 主人公はこの出会いがターニングポイントであるとは知らずに、彼女を里へと案内することとなったのだ。 【物語の魅力】 全体的に、とても描写の丁寧な作品。厚みがあると感じた。地の文が多いにも関わらず流れるように進んでいき、モノローグの書き方が巧いので、読みやすい。 情景、行動描写の中に心理描写が上手く混ざり合い、不思議と抑揚を感じる作品である。彼女の怪我の状態が快方に向かうまでは、主に主人公一人で世話をするという流れ。その間、彼は森の人と遭遇したり、精霊と話を話しをしていく中で、この物語の世界観も分かっていく。とても世界観に力を入れている作品だと感じる。 主人公は産まれた時から精霊を感じることが出来る。しかし、森の外では声を聴くことのできる者がなかなか居ない。その為に、魔人、魔物、妖魔は別物であるが森の外の人には、その区別がつかないこと。魔法というものに関しても、オリジナルの部分が多い。そのシステムはとても面白いものだと感じた。 【登場人物の魅力】 主人公は産まれて間もなく、その瞳の色のせいで捨てられてしまい、この森で暮らしている。この物語では魔法には特殊な部分が存在する。それについては作中で語られているが、主人公が何を恐れているのかも、魔法を通してわかって来る。 この物語には、三つのポイントがある。まずは、魔法のシステムについて。ネタバレになってしまうので詳しくは書けないが、精霊より借りた力の残りカスを処理する必要があること。そして森から去るという事に意味があること。これを全て主人公は理解している。理解したうえで、”あること”に気づくのは一章の終わりの方だという事。 あらすじにある”妖魔を呼ぶ呪われた身”。彼は何故なのかを知るのだ。知った上で、自分の決断により旅の少女と森から旅立つ。 主人公は、この旅で何を得るのだろうか?そして、運命から逃れることは出来るのだろうか? 【物語の見どころ】 やはり、一番の特徴は作り込まれた世界観。設定にオリジナリティがある。その上で、主人公は苦悩している。それは、主人公に都合の良い世界ではないという意味合いだ。苦悩理由が人間らしさにあるという事に、序盤では気づいてはいない。 正義感を持ち、真っ直ぐな人物に感じる主人公。ここで思うのは、良い性質が必ずしも良い結果をもたらすとは限らないという事。 面白いバランスでできた物語だと感じた。発想が斬新である。 それに対し、旅人である少女も不思議な魅力を持っている。一件ふんわりしているように見えるが、大変な旅をしてきたに違いない。自分が怪我をしているにも関わらず、相手を庇う優しさ、思い遣りに溢れ、その上明るい人物。しかし彼女も、何かを背負っている。 背負うものは違うが二人が、導かれたのは運命だと思われる。 二人の出会いは、この世界に一体どんな未来を齎すのだろうか? 是非あなたもお手に取られてみませんか? お奨めです。

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crazy's7

俱(とも)に纏(まと)いし、纏われし ― 〔新たなる一歩〕―

世論とは無責任なもの。しかし彼は、己の力で立ち向かう。

【物語は】 ごく一部の人間しか入ることの許されない場所で、王の後悔と決意から始まる。 本編に入るとガラリと雰囲気が変わり、ある戦闘風景へと移る。この部分では、主人公の仕事でもある”浄化屋”について語られ、国のシステムなどについて分かる。 ここで気になること。それは、この浄化屋のシステムについてである。危険な仕事ではあるが、犯罪を取り締まるためにはそれなりの人手を必要とし、生活を支えるためには、低年齢でも働かなくてはならなかったという事。 そして彼らのお陰で平和になったというのに、その事を忘、れ表面ばかりを見て世論が動いたという事である。世論とは、何処であっても表面でしか見ないものだと常々感じている。この物語の世界観にはリアリティが持たされていると感じた。 【物語の魅力】 しっかりとした土台の上に、リアリティが持たされており、いろいろと考えさせられることが多い。世論の無責任な発言が通り、法が変わる。 では、それまで”浄化屋”で生活を支えていた者たちは、どうやって生きていけばいいというのだろうか。犯罪者に殺害されずとも、生活が立ち行かなければ餓死する。それは結果として、同じ末路を辿るのではないだろうか。その時無責任な世論というのは、彼らに対しどう責任を取るというのだろうか。 この物語の中では、そう言った世論の動きにより法が変わり、資格を凍結された者が主人公である。客観的に考えても、職を奪われれば生活に支障をきたすことくらいは分かるはず。彼は国であり、世論の犠牲者と言っても過言ではないと思う。 【登場人物の魅力】 資格を凍結された主人公は解除の為、高校を卒業しなければならない。しかしながら入学しなければ、卒業も出来ないということ。そんな事情からも彼は、編入試験に挑むことになる。 この試験では、主人公と倶纏である相棒の性格が見えてくる。主人公は、一見頑固に思えるがそうではない。手を残して置きたいと考えるタイプに思える。先のことを見越して、自分に不利になる要素を増やしたくはない。冷静で、思慮深いのではないかと感じた。 産まれた時から共にいるのだから、この世界では当たり前のことかも知れないが、主人公と倶纏である相棒の間には、二人の強い絆と信頼関係で結ばれていることを感じる。 この戦いではもう一人ある人物が出てくる。この人物はこの後、二人に深く関係していくのではないかと思われる。 【この物語の見どころ】 この物語は、世界観がしっかりしており、それに対してリアリティを持たせている。その世界観に対しての説明も丁寧であり、納得がいく。 その上で主人公が苦労しており、ある案を持ちかけられるのだ。その案に乗るか乗らないのかは、まだ分からない。 だが彼は、ちゃんと先まで考えて自分がどうするか決めるに違いない。 続いて戦闘シーンも見どころの一つ。 この物語の戦闘シーンの良さというのは、行動描写が丁寧で分かりやすいだけではない。心理描写が丁寧でもあるのだが、戦略を考えた頭脳戦であることが特徴。思わず集中して読んでしまうほどに面白く、深い。 そしてこの戦闘はどちらか一方が強いという偏った描かれ方でもない。緊迫感と臨場感のある接戦なのだ。もちろん押される場面もある。だがギリギリの戦いだからこそ、手に汗握る臨場感が味わえる。 拝読させていただいた部分は、物語としてはまだ序盤。いよいよこれから彼の本当の戦いが始まる。そして真の目的とは一体? 果たして、どんなラストが主人公を待ち受けているのだろうか⁈ あなたも是非お手に取られてみませんか? おススメです。

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crazy's7

無能スキル【遠視】を得た剣聖は剣を捨てる〜剣聖と言われましたが、スキル”遠視”が便利なので遠距離を極めて《無双》します! 〜

あなたにならできるだろうか? 得意なものを捨て、新たなことを極めるという事が。

【物語は】 その強さから”聖剣”と呼ばれていた男が、老衰によって亡くなり、転生するところから始まる。しかし転生した先はどうやら、元の世界とは違うよう。 転生直後の彼は赤子であったが、前世で持っていた熱意は失っていなかった。新しい人生でも同じ志を持ち成長していくのだが、この世界では魔力があることが重要だったのだ。しかしなんの因果か、主人公には魔力が全くなかったのである。 【登場人物の魅力】 前世の記憶があるとはいえ、主人公は年相応に成長していく。魔力が重要であり、転生した先は魔力の強い家系だったため、肩身の狭い思いをすることになる。特に弟が出来てからは、親から期待をかけられることもなくなり、弟からは下に見られるという悔しい想いもする。 そんな彼はついに決断するのだ、強くなるために旅に出ると。旅前夜の母とのやり取りは切ないものを感じさせる。 主人公には魔力がないという欠陥はあるものの、人望には恵まれる。はじめの出会いの相手は人とは言えないかも知れないが、彼のその後の人生を変えていく大切な出会いだ。魔力がないことで負い目を感じていた主人公に、色んなことを教えてくれた存在でもある。 彼のお陰で主人公は、希望を持てたのではないだろうか。 【物語の魅力】 前世では”聖剣”と持て囃されていた、主人公。転生後はどん底ともいえる人生を歩き始める。しかし、彼の努力はいづれ実を結ぶのだ。 それにはある出逢いがターニングポイントとなっているのではないだろうか。 この世界では、10歳の時にスキルを貰う儀式がある。魔力がない主人公は、その時に賭けていた。良いスキルが貰えれば、その後の人生が約束されるからだ。 しかし、ここでも絶望を味わうことになる。それを救ったのも最初の旅で出逢った友人だ。主人公は彼が居ることで、救われる部分が多いように感じる。 この物語の中で主人公は、何度も挫折しそうになって居る。時には自分の不甲斐なさに涙することもあるし、友人にあたってしまうことも。彼はとても人間らしい感情を持ち、そんな自分がイヤになることもある。ヒューマンドラマ部分がしっかりと丁寧に描かれており、友人との絆、友情も感じる。 【物語の見どころ】 この物語は、あらすじにもある通り”剣が得意だったはずの男が、近接重視の世界で剣を捨てて戦う”ところが見どころである。 魔法のある世界にも関わらず、魔力を持たず、前世で”聖剣”と呼ばれるほど剣術に長けていた彼がそれすら手放し、果ては、弓で国家最強にのし上がる物語なのだ。 彼にとって”剣”で戦うことは、プライドそのものだったのではないだろうか? しかし、それを捨てることが出来たという事は、彼の熱意と志は”プライド”よりも高いという事なのであろう。 あなたにならできるだろうか? 得意なものを捨て、新たなことを極めるという事が。 しかも頂点を目指すという未来が想像つくだろうか? あなたも是非お手に取られてみませんか? 主人公のどん底であり、見下されていた人生からの逆転劇。 想像しただけで、ワクワクしてしまいますね。 お奨めです。

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crazy's7

さよなら私のドッペルゲンガー

序盤は笑いが止まらないが、ある時を境に”存在”について考えさせられる物語。

【物語は】 衝撃の言葉から始まる。主人公たちにとってもそれは、衝撃的だったようだ。そしてその後の展開が、面白すぎる。人様に見せられないカッコで家に居た主人公の元へ、ある少女が乗り込んできたのだ。あらすじにもあるように、彼女はドッペルゲンガーに殺され、自分の人生を奪われてしまった。 冒頭では何故、依頼の相手が主人公だったのかまではわからないが、彼女は”自分を殺して欲しい”と依頼してきたのだった。 【登場人物の魅力】 ノリと勢いで生きている主人公がとても面白い。初めは、真面目という印象が強かった少女は主人公と話をしているうちに、高校生らしさが出てくる。主人公は学校ではバカで有名のようだが、お人よしという印象も受ける。そして少し、クレイジーな面もある。 だが、人に好かれるタイプであることは間違いない。二人はやり取りをしているうちに打ち解けていく。その中での二人のやり取りがとても面白い。物語の内容は暗いはずなのに、とても明るくユーモアのセンスがある。 しかしこれが、”人生を奪われた絶望”を抱える少女を元気にするためと考えると、やはり主人公は優しい人なのではないかと思う。 ノリと勢いとはいえ、”法律を犯すのは不味い”という感覚は持ち合わせているので、その点に関してははとても安心して読み進めることが出来る。きっと、最悪の事態にはならないに違いない。 【物語の魅力】 序盤は始終笑いの止まらない物語である。ドッペルゲンガーに人生を奪われたという暗く切ない物語であるはずだが、主人公の心理状態が絶妙で、つい笑ってしまう。恐らく言葉選びや表現の仕方が巧いので、笑いを誘うのだと思われる。スラスラ読める上、読む手が止まらなくなる。 真面目な文体で哲学的なことを語ったのちの、オチが面白い物語だ。例えば4話の冒頭。青春とは何かについて、”フムフムなるほど”などと思っていたら、オチがついてくる。笑いのセンスが素晴らしい作品である。 主人公はしばしば、幽霊の少女が自分にしか見えないことを忘れ、行動してしまうように感じる。そこから起きる出来事に、さらに笑いが起きるのである。真面目に作戦を立てて実行しているのだろうが、次から次へと巻き起こる出来事が面白い。 しかし、この物語はただ面白いだけではない。ドッペルゲンガーと接触したあたりから少し、違う面も見えてくる。ここまでは主人公の”好奇心”が勝っていた。しかしドッペルゲンガーに実際に接触し、主人公は”存在”について考え始める。果たしてこの物語の結末とは? 【物語の見どころ】 ある日突然、自分が自分に奪われたなら? 生きることを諦めても居場所を奪われたことは、やはり辛いのではないだろうか。自分はここにいるのに、自分の姿をした何者かが自分のフリをして生きていたとしたなら? 主人公はバカで実行力があるという理由により、ある少女から殺害依頼を受けることとなる。初めは”好奇心”とノリ、そこに後悔したくないという気持ちでこの少女の依頼を受けた。 彼女は自分と同じ高校生。やりたいことも夢もあったろう。序盤は笑いが絶えない物語という印象が強いが、彼は彼女の境遇のことも考えているように思える。それが、しっかりとした形になるのはドッペルゲンガーに遭遇してから。笑いにシリアスが混ざり始め、彼の言うことに”確かにそうだよな”と同意してしまう。 ドッペルゲンガーであれ、生活をはじめてしまったら存在を認められてしまっているという事。 自分を奪った自分を消して欲しいと願う少女は、最終的にどのような決断を下すのだろうか? あなたも是非お手に取られてみませんか? 笑いあり、そして深く考えさせられることもあります。 もしあなたが、少女の立場であったならどんな決断をしますか? お奨めです。

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crazy's7

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カクヨムファンタジー連載:98話完結

林檎と甜橙、女奴隷とその主人

まだ転がり続けるの? 意外な展開でぐんぐん読まされる

異世界からきた、とある男性の面倒をみることになったレティクラタ。彼の世話のため女奴隷を買うことにした。  …という感じで始まるこの作品。導入部は男性との恋愛もの?と思っていたのですが、話は思わぬほうへ転がり続けます。最後まで!  長短にこだわらないエピソードの区切り方や、直接的な表現をすることなく関係の変化を匂わせる描写など。いろんな箇所に効いている技やシリアスとコメディの緩急も見事で飽きさせず、どんどん読めてしまいます。 本当に面白かった。  設定もしっかり練られているようで、この先のエピソードや登場人物たちの細かい背景まで気になってしまう魅力的なストーリー。  軽い読み口が好みの方、少し深めの考察が好きな方、どちらにも楽しめる作品です。ぜひいろんな方に読んでみてもらいたい。おすすめです!