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ノベルアップ+ヒューマンドラマ連載:281話完結

【完結済】ふたりぼっちの死霊術師

【物語は】 真に人が恐れるものとは何だろうか? 主人公の心情から物語は始まっていく。主人公が抱えるものは孤独。それにより彼女は、死を選ぼうとしていた。人には承認欲求がある。 自ら選んだ死を目の前にして、それでも承認欲求を満たしたい。誰かに自分の存在を知って欲しい。死の間際でさえ、承認欲求に囚われるのが人間なのだろうか?主人公が選んだ未来とは? 存在意義とは何か? *存在意義とは、率直に言うと、その者が存在していることの意味や価値、重要性のこと。 仕事や人生における存在意義とは「生きていく喜び・生きるための楽しみ」を指します。(web調べ) 【主人公の考え方】 達観していると言える。あらすじからも、かなりクールで合理的な考え方の持ち主であると感じた。それがゆえに、人から認知されない人生が辛いと感じたのだろう。主人公ががけから飛び込むまでに、走馬灯のように流れる言葉たちが印象的。承認について客観的に見ると、”人は興味感心のある話題に流れていくだけであって、誰かを認知している”という意識はないにではないだろうかと思う。 だからこそ、厄介なのかもしれない。承認欲求というのは、自分だけでは満たせない。しかし、相手は無意識。通常は、親などから認知されることによって多少は満たされるものである。しかし、主人公には両親がいない。代わりに育ててくれた人も、主人公を育ててはくれたものの、特別子供が好きというわけでもないようだ。だからと言って主人公は、はじめから受け身であったわけではない。自分から友人を作ろうとしたこともある。 ここで一つ問題だと思うのは、両親などとコミュニケーションを取らない子供、もしくはとれない子供は、他人との接し方や話題作りが苦手であるという事。会話は、おこなって段々となれたり会話の流れを理解したり、相手の気持ちが汲み取れるようになるのではないだろうか。 主人公は、その経験が少ないために、努力が実らなかった可能性もある。人は、自分の利になる人に流れがちだ。それは何も目に見えるものとは限らない。つまりコミュニケーション能力の高い人間に、人は集まるのではないだろうか。 【世界観。・舞台】 話が進むと明かされるのだが、主人公は霊が見えるようである。このことが、今までの生活の中で、良い方向に向かなかったという事は、良い霊には会えなかったのではないかと想像する。(作中でその事について詳しく語られている) 主人公は、自殺の名所に飛び込んでから後悔する。しかし、時すでに遅し。主人公の運命は変えられないのだろうかと思った時、その人生に光が差す。恐らくそれは、真の光だと思われる。 主人公が自分の孤独への想いを告げると、今度は自分を救ってくれた彼が、彼自身の最後の時を語ってくれる。二人が怖がっていたものは、恐らく同じものだとおもう。 戦争で亡くなった彼と、孤独から逃れようとした主人公。二人はともに行くことを決断するのだ。 【物語の魅力】 孤独に苛まれ、自殺を決意した主人公は、崖に飛び降り死を覚悟した瞬間、孤独から逃れた死のその先の、永遠なる孤独に恐怖する。 しかし、それを救った者がいた。彼との出会いをきっかけにして、主人公の運命が少し上向きになる。そして孤独だった主人公にある、転機が訪れた。 この物語は、常に一定方向に流れていくわけではなく、良いことも悪いことも起きていく。ドキドキハラハラする展開が多い。しかし、主人公は命を助けてくれた者と、徐々に絆を築きながら、困難を乗り越えていくのである。 彼女は果たして、孤独から抜け出せるのだろうか。 【物語の見どころ】 一番の見どころは、主人公の考え方の変化や心の変化なのではないかと思われる。初めは誰にも存在を認めて貰えない自分に価値がないと思い、死を選ぼうとした。しかし、自分を救ってくれたものとの出会いが、主人公を少しづつ変えていく。 孤独の感じ方は人それぞれだと思う。一人を楽しむものもいれば、常に誰かに存在を認めて貰えないと不安な人もいる。これは一つの社会問題なのではないだろうか?そして人は意図して相手を認めているわけではないという事。 そして認めなければならない義務もない。だからこそ、自分の存在を認めて貰えないと、孤独を感じるのではないだろうか? これは一人では解決できないので、とても難しいことだと感じた。 両親を失ったことで、孤独を感じコミュニケーションを上手に取れず、それでも頑張っていた少女。彼女は自分の特殊な能力 (霊が見える)により、頑張って築き上げたものを一度は失ってしまう。一度ついたイメージは払拭するのが難しく、自分から人を遠ざけてしまう。しかし、自分を救ったのも同じく特殊な能力であった。それはきっかけの一つに過ぎないのかも知れない。 だが彼に背中を押され、再び一歩を踏み出すのだ。 あなたもお手に取られてみませんか? 彼女はこの先、友人を作ることは出来るのだろうか? 現在読了部分では(P24)新たなる謎と問題が発生しているようである。簡単に先の展開を想像できない物語です。彼女のこの先の人生を、その目で確かめてみてくださいね。おススメです。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/10
  • 投稿日:2021/8/8
カクヨムファンタジー連載:213話

マイホームダンジョン

【物語は】 主人公の家がダンジョンと呼ばれ、勝手に人が入って来ることとなった経緯から始まる。両親に愛され過ぎている主人公はある日、魔物を家に連れ帰る。初めは驚いていた母だったが、魔物が自分の息子に懐いているのを見て、早とちりしてしまう。この早とちりが、主人公の運命を大きく変える最初の出来事だった。 【舞台・世界観・物語の魅力】 本編に入ると、主人公の境遇について語られていく。人は愛され過ぎると不幸になってしまうのだろうか?愛しい我が子が、魔物を友達にしているのを見て特別な子なのだと思い込んでしまう両親。それも致し方ないのだろうか。この世界では、魔物を従える能力を使える人は稀なのだから。そして両親が、親バカぶりを発揮した結果、トラウマを抱えてしまう主人公。 これは愛され過ぎたゆえの不幸、としか言いようがないのではないだろうか。子供はなかなか計算して生きることは出来ない。無邪気で純粋。自分の力を隠しておくことが出来たなら、トラウマになる様な事件が起きなかったかもしれない。これは現実にも起こりうることであり、主人公が不憫でならない。 この物語の世界では、誰でも魔法が使える。もちろん能力の差はあるが。 ある授業のようなものにより、この世界の魔法がどんなものなのか明かされていく。その部分を読み感じたことであるが、考え方がとても科学的である。魔法が出てくる物語として、斬新なのかも知れない。 魔法の出てくる物語には、魔法の強さや威力についての概念はあるものの方が多いが、魔法の性質と威力について、こういう方向で設定されているものは、意外と希少なのかもしれない。魔法はあるけれど、考え方、設定が現実的である。 【登場人物の魅力】 主人公は無邪気で純粋な少年であった。しかし、その能力が大賢者と同じだと言うことが分かると、本人の意志とは関係なく、広く知れ渡ってしまう。その後、自分の処遇などが、あれよあれよという間に決まっていく。主人公は自分の能力が凄いという事を知り、喜ぶ場面もある。しかし、あらすじからは、彼に欠陥があることが分かっている。つまり、どんどん噂は広まっていくのに、主人公はただの人となってしまうのだ。とてもいたたまれない事態に陥ることは想像に難くない。 その時主人公は、一体どんな反応を示すのだろうか。 この物語は、登場人物が多めである。しかし、主人公を取り巻く彼らは、個性的ではあるがそこまで主張をしていない。そのため、物語の全体が掴みやすい。都度、役柄もセットで書かれているので、分からなくなるという事もない。 そして、多視点であることの活かされた物語であるように感じる。主人公抜きで、どんどん大人たちが話を進めてしまう所や、勝手な思い込みで主人公を過大評価してしまうところなど。噂の怖さなどもしっかりと描かれている。 【物語の見どころ】 現在の読了部分では(10話)主人公の能力の欠陥が、どんなモノかまだ明かされていない。しかし、人の思い込みによる、期待の怖さなどがすでに伝わってくるのだ。この物語は、かなり丁寧に描かれているため、どんな風に魔力の判定をするのかや、どんな風に鍛えるのかなども分かりやすい。 主人公が学校に通うまでの物語も詳細に描かれている。その部分から、両親の特徴や主人公に勉強を教えてくれるようになった者の特徴も掴みやすい。人物一人一人について丁寧に描かれていると感じた。 あなたも是非お手に取られてみませんか? まだ物語は始まったばかりです。山あり谷ありで、自分自身の能力や人生に振り回されてしまっている印象のある主人公。期待というものが人生を狂わせてしまう。そんな彼が探し求めた真実のマイホームとは? 主人公の行く先をその目で是非、確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2024/4/8
  • 投稿日:2021/8/8
カクヨムファンタジー連載:35話

たとえ世界が立ち塞がっても、俺はあなたと約束を交わす  -転生したらもう一度!この世界で-

【物語は】 結果から始まっていく。今、自分がどんな想いでいるのか。何が支えとなっていたのかなど。そして物語はどうやって”今”に辿り着いたのか語られていくのである。 【退屈な日常と主人公】 主人公は、変わらない日常に退屈をしていた。だからと言って、何をすればその退屈から逃れられるのかもわからないまま。考え方が達観しており、突飛なことをしても退屈からは逃れられないことを理解している。 だからと言って、何もしないわけでもなく夜の街へと足を向けるのだった。 そこで、彼が見たものは昼間とは真逆の闇ともいえる世界。 善い行い、悪い行い。 どちらをしても、”退屈”には影響しないと思う。世の中には悪い行いをすることで退屈をしのぐという考え方をしている人もいるとは思うが、それは間違いであると思う。 退屈とは何か? 退屈とは、なすべきことがなくて時間をもてあましてその状況に嫌気がさしている状態。もしくは実行中の事柄について関心を失い飽きている様、及びその感情である。(web調べ) つまりどんなことも、飽きてしまえば退屈だという事。主人公は、何も関心を持てるものがなく、何にも夢中になることが出来ないから退屈なのである。彼は恐らく現実主義なのではないだろうか。夜の街でも、何かに感化されることもなく冷ややかに、街の者たちを眺めている。夜の街でさえも、退屈ないつもの日常だったに違いない。 しかし、この日は少し違っていた。きっといつもであれば、最後は知らないフリをしていたのだろうと想像する。たまたま、見過ごすことが出来ず運命は変わってしまったのではないだろうか? だが、後悔しているようには見えない。 【新たな人生・変わりゆくもの】 主人公は、いつもと違うことに遭遇し、命を落としてしまう。その事に気づかないまま、物語は進んでいきあることをきっかけに転生したことに気づく。 ここでも主人公はとても冷静であると感じた。 しかし、主人公は変わりつつある。前世の記憶があるからこそ考えることの出来ること。退屈だった日々に対する現在の想いは全然違う。当たり前のものだからこそ、感謝が出来るようになったのだ。このことから、主人公は記憶を所持したまま転生したことで成長をしていくことが分かり、記憶を所持していることに必然性を感じた予測できることとして、主人公は前世とは全く違った考え方をし、人生を生き抜きていくという事だ。 新しい世界で、彼は一体どんな人々に出逢い、どんな人生を送っていくことになるのだろうか? 【世界観】 この物語では転生後、主人公の成長と共に世界観が明かされていく。そこはやはり地球ではなくい世界であった。ファンタジーなどで見かける地球上には存在しない種族が暮らしている世界。そして、日本では現在見かけない職業などもある。詳しい内容を書いてしまうとネタバレになってしまうため、そこは是非読まれて確認していただきたい。想像以上に、設定がしっかりしており、主人公が生き生きしている。とても楽しそうに感じる世界観であり、舞台設定である。 【物語の見どころ】 一番の見どころは主人公の、転生前と転生後の変化についてなのではないだろうか?そして、自分にとって退屈だった世界から異世界へ。 彼は転生後に少し成長してからこの世界のことを少しづつ知っていく。知った情報から、新たな世界に期待していた。この世界でなら、人生を楽しめるのではないかと。 しかし、冒頭の感じからは楽しいことばかりではなく、むしろ苦労したのではないかと思える部分が多い。だが、充実していることも感じられる。物語の中では、成長過程も丁寧に描かれているので、主人公がどんな風に変化してくのかも分かりやすい。 タイトルにある”転生したらもう一度!この世界で”という言葉は、主人公がどれほどこの世界に対し、相手に対し大切に思っているのかが伝わってくる。それほどまでに、主人公にとってこの世界は魅力的なのかもしれない。読了部分では、この先何が待ち受けているのか想像は出来ないが、大きな壁が待っているに違いない。 あなたもお手に取られてみませんか? 主人公のこの先の人生を、その目で是非確かめてみてくださいね。 お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/8/28
  • 投稿日:2021/8/8
カクヨムファンタジー連載:29話完結

灯 不器用父さんの反省記

【簡単なあらすじ】 ジャンル:現代ドラマ 休日の買い物中に胸が苦しくなり倒れ、急死してしまった主人公が霊となり、家族の様子を眺めながら現在や過去に想いを馳せていく。その中で人生を振り返り、反省や後悔なども綴られ、教訓ともなる物語。 【物語の始まりは】 自分の死を客観的な視点で見るところから始まっていく。死後、残した家族を眺める日々が始まった。彼はずっとこのままなのだろうか? 後悔を抱えながら家族を見つめる父の物語。 【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】 残した家族を見つめながら、子供たちの成長を見つめたり自分が子供だった時のことなどを思い出し、後悔したり。 【主人公と登場人物について】 主人公には二人の父がいる。育ての親と生みの親というものである。 三人兄弟の一番下で、自分の幼い頃に両親は離婚。良い年ごろになってから父に再会することとなるが、その時に父についての話を聞くことになる。 主人公にとっては育ての父のほうが父親なのだという印象。 【物語について】 主人公は亡くなってしまった為、人と会話したり触れ合うことはない。なので、モノローグで語られていく。タイトルにもあるように反省記である。妻や子供たちを見ながら、生きている時には出来なかったことに気づき、反省を重ねていく。子供たちは妻の判断により、主人公が死んでしまったことを知らない。どうやら子供たちには何かが見えてはいるようだが。 主人公が亡くなって直ぐは、妻が大変な想いをしているようで鍵をかけ忘れて寝てしまい、主人公が心配するような場面も。 亡くなった後に家族の様子が見られるということが実際にあるのかは、まだ生きているので分からないが、彼の気持ちには共感することが多い。 亡くなってしまった人が主人公ではあるが、生きている今を見つめ直すきっかけになる物語だと感じた。生きていた時の教育への在り方。子供への接し方、親に対しての想いや後悔。死んでしまってからでは遅い。日々後悔しないように生きていかなければ、と思わせる作品である。 【良い点(箇条書き)】 ・簡単には語ることのできない、想いの詰まった人間ドラマ。 ・自分の人生において、きっとこれから起きるであろう後悔を見ることができる。 ・涙なしでは読むことのできない作品である。 ・もし死んでしまい、客観的に家族を見ることができたなら、こんな風に考えるのだろうなと感じる。 ・子供や妻へだけでなく、自分の親に対してもいろんなことが語られていく。 ・父というのは親として微妙な位置にあると思う。それがとても分かりやすい物語でもある。 【備考(補足)】アイデンティティー3 まで拝読。(P15) 【見どころ】 死んでしまうとこから始まっていく物語。主人公は子供にとっては父であり、妻にとっては夫、母にとっては息子となる。それは当たり前の関係ではあるが、その三方から語られていく物語である。父としての想い。夫としての想い、そして息子としての想い。死後、三つの立場から反省や感謝、後悔。思い残したことなど。見ていることしかできない彼は、時にもどかしさなども感じていく。 自分の人生を振り返りながら、どういうことが親不孝なのか。子供とはなんなのか? 大人とはどういうことなのか? も考えさせられる物語でもある。主人公は決して裕福な暮らしをしていたわけでもなければ、真面目に生きてきたわけでもない。そういう過去があるからこそ、死んでから反省する部分があり、今さらながら後悔することが多いのだ。人間は、どんなに真面目に生きようとも裕福だろうと、後悔のない人生はないと思う。だが日頃から人生を振り返るということもまた、ないのではないだろうか? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 人生についてじっくりと考える機会の得られる作品だと感じます。おススメです。

5.0
  • 作品更新日:2021/5/14
  • 投稿日:2021/11/23
小説家になろう恋愛連載:80話完結

Cunning&My life~カンニングした俺、気づいたらハーレムだった~

【簡単なあらすじ】 ジャンル:現代(恋愛) カンニングをし、テストで満点を取れるようになった主人公が、幼馴染みに頼まれ、不本意ながら勉強を教えることになるところから始まっていく。しかし、教える相手は幼馴染みだけではなくなっていて? 【物語の始まりは】 カンニングにより一見、頭が良くなったように見える主人公が、幼馴染みに羨ましがられるところから始まっていく。しかしこれだけでは終わらなかった。何と勉強を教えてくれというのである。カンニングをしているだけで、頭が良くなったわけではない主人公。もちろん勉強など教えられるはずがない。だが主人公は、自分の想いとは裏腹にOKをしてしまうのであった。いきなりのピンチ?! 【舞台や世界観、方向性】 舞台は主に幼馴染みの家。 いざ勉強を教えるという段になると、誰一人として質問に来ない。不思議に思った主人公は彼女たちがどうしてテストで点が取れないかを尋ねることに。 主人公以外の視点でも物語は語られていく、群像劇。ただこの部分は、いささかミステリー! 【主人公と登場人物について】 カンニングによって満点を出している、主人公。押しに弱いのか? それとも優柔不断なのか。もしくは強運の持ち主なのか。 物語の中では常にピンチに遭遇し、読者を冷や冷やさせるのだが、上手いこと切り抜けていく。それだけではななく、論理的に切り抜けていこうとする。 それに対し、幼馴染みの女の子は自分を通すタイプの子である。主人公が押しに弱いだけでなく、彼女の有無を言わせない強さが”勉強を教えてもらう”ということに繋がったのではないだろうか? と思わせる場面がある。 【物語について】 断れなかった為、幼馴染みに勉強を教えることになった主人公。当日幼馴染みの家に行ってみると待っていたのは、彼女だけではなかった。更なるピンチが彼を襲う。 勉強を多人数に教えることになり、それぞれ自己紹介をする段になるのだが、この流れに意外性がある。まず教えて貰う方が、いささか反抗的であるということ。結果主人公から自己紹介をすることになるのだが、面倒がる女性陣も含め自己アピールなどはなく、名前を告げるだけである。これ自体が想定外であり、面白いなと感じた。その中で自己アピールをするという方法で、元気さを表現している。 ハーレムと聞くと、主人公がちやほやされて、と言うイメージがあるが、そもそも勉強ができない人というのは勉強が嫌いなわけである。主人公のやり方に反抗的な人物もいて、一見ハーレムに思えないのが面白い部分だ。 【良い点(箇条書き)】 ・ハーレムのイメージを覆しており、オリジナリティを持たせている。 ・ページの切り方が巧いと感じる。起承転結で一ページとなっているのもそうだが、回想の手前でのページの切り替えは好奇心を誘う効果がある。 ・初めは単に、どこかでカンニングがバレて大惨事という物語なのかと想像していたが、授業を行う理由そのものが違うのではないかと思い始める。これはもしや? ・ハーレムではあるが、主人公がモテまくる物語ではなく”誰か”の策略に嵌る物語。意外性がある。 ・日常系の物語であり、学生らしさを感じる。 【備考(補足)】16ページ目まで拝読 【見どころ】 ハーレム×恋愛というと、お色気、主人公だけモテるというイメージを持つが、イメージとは異なった物語である。むしろあまり恋愛を感じさせないほどに、主人公は恋愛に疎い。恋をしたことなく、カンニングがバレているのでは? しょっちゅう肝を冷やしている印象。何処かへ遊びに行くというシチュエーションはあるものの、お色気というわけではない。 主人公視点の他に、グループチャットのシーンがあり謎めいたやり取りが伺える。初めは主人公を、何か罠にかけようとしているのか? と思ってしまうような印象があるが、主人公の幼馴染みの友人が彼に対し、ある質問をするところから、”ん?”と思い始める。この辺りから、ジャンル”恋愛”というものが仄めかされていくのを感じた。 いつかカンニングがバレるのではないか? という部分と、グループチャットの内容の謎と彼女たちの目的。先生の意味深な言葉。ハラハラドキドキする物語。あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?  初めはまったく勉強をしなかった主人公が、次第に自分から勉強をするようになっていく。彼はいつか、カンニング依存から抜け出すことができるのだろうか。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/7/29
  • 投稿日:2021/12/6
アルファポリスヒューマンドラマ連載:63話完結非公開

山に愛された姫 ~都市での生活はうまくいかないけど~

【物語は】 主人公が実家で、植物の世話をするところから始まる。人と深くかかわるのが苦手で、就職先を退職してしまった彼女。人と接するのは苦手な人も多いが、彼女はそれだけではなく少し変わった子供だったようだ。回想にて、その不思議な思い出の一部が語られていく。 【主人公の想い】 主人公の性質をどう捉えるかで、彼女への感じ方や考え方が変わって来ると思われる。仕事がしたくても、人間関係が元で続けることが出来ない。働かなければ、と思いながらも先のことを考えてしまい、それに向かってポジティブに考え行動することが出来ないとしたら? そして理解者がいなかったならばどうだろうか。 親であっても話すことが出来ないのだろうと感じた。いや、親だからこそ言えない可能性もある。主人公の心境は複雑だと思う。 彼女は自分が他の人と違っていても、”普通”を生きようとしていた。そして”普通”の人生を歩めると信じていたのではないだろうか? 【主人公に訪れた転機】 主人公はテレビで放映されている、ある旅番組で映し出された田舎の風景に心惹かれる。思い立ったが吉日と言わんばかりに、主人公は2泊3日の宿泊の準備をすると現地へ旅立ったのだ。 なかなか、先の人生を決められなかった主人公のこの行動は、この地にどれだけ惹かれたのか分かりやすい部分である。 【予感・非日常へ】 主人公には、1年に1、2度見る夢があった。それを目的地への移動の最中に見ている。この夢がどう繋がっているのかは、この場面ではわからないが、このタイミングで見るというのには、何か意味がありそうだ。 主人公は心惹かれるまま、目的地を目指す。そこで彼女が目にしたのは、いままで見たことのないものだった。 (ネタバレになるので詳しくは書けないが) 【世界観・物語】 目的地に着くと、その土地について語られていく。歴史や山に愛された姫とはどんな存在なのかを。 この物語は、単に人間の世界に順応できなかった主人公が、他の土地で生きるというような話しではない。自然に触れ合うことにこそ意味を持つ。何が出来るようになるのか、詳しく話すことは出来ないが、それが出来るようになることで、彼女にある役割というものが出来ていく。 これがこの後、どう彼女の人生に作用していくのかは、先まで読まないと分からない。しかし、心惹かれた場所に行ったことによって、彼女は少しづつ変わり始めているように感じた。 この物語は、詳しく話すとネタバレにあたる部分が多い為、抽象的に書くことしかできないことが難点である。 【物語のみどころ】 主人公は、人間の世界(社会)に馴染むことが出来ず、就職からたった1年で会社を辞めてしまう。しかし、そうなるまで”普通”の幸せが自分にも訪れると信じていた。子供の時から、変わっていると言われていても。 そんな彼女が心惹かれたのは”たまたまテレビで観た田舎の風景”。しかし、予感はあったのだ。夢というものの中に。 それでも、この土地自体に繋がりを持たない彼女が現地で、ある者たちと出逢う。この出会いが、彼女を少しづつ変えていくことになる。彼女にとって生き辛かったコンクリートの世界から、自然界へ。 そして、この土地で役割を見いだしていくのではないかと感じた。 あなたもお手に取られてみませんか? 人によっては、彼女の悩みに共感を持てるかたもおられると思います。彼女が、一体この先どんな人生を選択していくのか? ぜひ、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/4/27
  • 投稿日:2021/8/8
ノベルアップ+ファンタジー連載:28話

ビーストトリマー~よろずトリミング承り〼~

【物語は】 様々な動物を扱うトリミングサロンが、どんなところに建てられているのか、 その理由などが語られるところから始まる。80年前に建てられた場所だが、現在はある三姉妹が引き継いでいるようだ。 【トリミングサロンと三姉妹】 三人にはそれぞれ得意なものがあり、それによって役割も決まっているようである。この物語は恐らく、ファンタジーの世界にトリミングサロンがあったなら? というIFの世界観がベースなのではないかと感じた。 しかしながら、トリミングを行う動物の種類が変わるからと言って、トリミングを行う方法は現実世界と変わらないし、行う側の人間の意識が大きく変わることは、無いのではないかと思った。それは、動物が好きだからという気持ちの面のことを指している。 三姉妹の役割が語られる中で、彼女たちの性格も明らかになっていく。三人は姉妹ではあるが、それぞれ性格が違うように感じた。つまり、三人のやり取りにも見どころと魅力が詰まっているという事である。しかしながらこの物語の、メインとなる部分は動物とのふれあいやトリミングについてだと思う。 【登場人物の設定について】 この物語では冒頭の方に、登場人物紹介と名前の由来についてなどが資料として置かれている。 *補足 宗像三女神(むなかたさんじょしん)は、宗像大社(福岡県宗像市)を総本宮として、日本全国各地に祀られている三柱の女神の総称である。 宗像市(むなかたし)は、福岡県の宗像地方(福岡地方北東部)に位置する市である。北九州・福岡大都市圏に属す。(ウィキペディア調べ) つまり由来の宗像三女神が祭られている宗像は、福岡県にあるという事である。そして、三女神が由来だという事は、なにか因果関係を物語の中に用意しているのかも知れない。あくまでも、これは憶測の域を超えないが。 【トリミングと同時に進むのは?】 この物語では、トリミングの仕方についても丁寧に描かれている。お客さんに説明するという方法で、丁寧に語られている印象。トリミングを自分で行うという事は、滅多にないとは思う。しかし冒頭に注意書きがあるので、そちらには必ず目を通して欲しい。 この物語はトリミングを行う上で、参考書になりそうなほど詳しく、そして分かりやすく描かれている。その為、自分でできると勘違いや錯覚してしまうかも知れない。動物は言葉を発しないだけで、人間同様痛みを感じる。なので、怪我をさせない為にも、出来ると勘違いして自分でやらないようにしていただきたい。いや、やってはいけない。 この作品の、面白い要素。物語が二つの視点で同時進行していくという斬新スタイル。ネタバレになってしまうので、詳しくは記載しないが、面白い要素である。したがって、この物語は三姉妹がトリミングサロンを開きながら、いろんな人と交流し、成長してく物語なのではないかと感じた。 【物語の見どころ】 動物の好きな方には、是非お奨めしたい物語である。テレビでもトリミングの仕方を観る機会はあるとは思う。しかし、実際どんなことをしているのかは、言葉で説明されないと、理由など分からないことも多いだろう。 この物語に登場する動物は、現実世界にはいないかも知れないが、ペットの気持ちを理解するきっかけになるかも知れない。 そして動物の好きな方が書かれているのではないかと感じた。それくらい丁寧に描かれた物語である。また、お客さんとのやり取りにも温かいものを感じる。お客さんは自分が大事にしている動物を、この辺境の地までわざわざ連れてくるわけだから、大事にしていると言っても過言ではないはずだ。 そしてこの物語は、ただのトリミングをしているサロンの話ではない。オリジナルの要素が掛け合わされている。三姉妹にはそれぞれ特性があり、特技となるものを活かしてトリミングサロンを経営しているのだ。 例えば”獣使い”には獣使いに出来ることがあるという事である。 あなたもお手に取られてみませんか? 三姉妹がこのサロンを通してどう成長していくのか? 名前の由来になった三女神は、物語の先でなにか影響を与えるのか? まだ他にも明かされていない要素がありそうです。ぜひ、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2021/7/19
  • 投稿日:2021/8/8
ノベルアップ+ファンタジー連載:108話完結

コトワリノ守り人《ハーフィズ》-拾った皇子が悪のご先祖様に狙われてたので、一緒に倒すことにしました-

【物語は】 ある者が玉座へ乱暴に連行されてくるところから始まる。どうやらこの者は、追手から親友を逃した者らしい。この場面の様子から、彼のこれからの処遇が心配だが、逃した相手の安否も心配である。果たして彼の親友は無事、逃げ切ることが出来るのだろうか? 【世界観・舞台】 オリジナルの世界観。ハイファンタジーとは、異世界そのものを舞台としており、現実の世界とは異なる「法則」で成り立っているもの。(ウィキペディア調べ)。そして、ハイファンタジーには三つの系統があるようだ。 1 最初から最後まで異世界が舞台 2 現実世界の住民が異世界に紛れ込む 3 歴史や神話の世界を舞台とするもの これらがハイファンタジーの系統らしい。物語の展開を見ると、1に属するハイファンタジーなのではないかと思われる。 この物語は近代的なシステムを導入したファンタジーの世界を舞台としている。というのも、”世界を改変する法則災害 《ハザード》が日常的に吹き荒れる世界”を舞台としているからだと思われる。つまり何らかの形で身を守れないと、死んでしまう可能性があるからだ。となれば、何らかの身を守るシステムを産みださなければならない。 システム自体は画期的であるが、ファンタジーらしさを取り入れている。その為、独創的で想像力が豊かな土台、世界観だと感じた。 【理(コトワリ)の守り人】 彼らがどんな存在で、何をしている人たちなのか。これを理解しておくと、この物語を最大限楽しむことが出来るのではないかと感じた。 この、人々を守るための道具(?)は修理の必要なこともあるらしい。それは窓口業務で受付をして行われるようだ。スマホの修理のようなものだと想像したら近いのだろうか? 本編に入ってすぐに、彼らの通常の業務について明かされていく。恐らく主人公となる(もしくは主人公の一人)女性が、窓口で業務をこなしている。しかし、その内容に問題が起きていた。この問題を通して世界を改変する法則災害から人を守るために作られたシステムが、一体どのようなモノで、どんなことをしたら問題になるのか明かされていく。 そして、ここで組織(理(コトワリ)の守り人たち)の形態についても分かって来る。この作品には、上部に前回までのあらすじがついているため、とても分かりやすいのもポイントの一つ。 【登場人物・物語の魅力】 主要人物と思われる三人には、それぞれ個性を感じる。研修で窓口業務を務める女性は、とても人間らしい性格をしているという印象。思ったことを伝えることもできるし、空気を読んだり、深く考察したりして自分の行動を選んでいくタイプ。彼女のピンチを救ったのは、冷静で戦いに慣れているように感じる、少年。そして二人の保護者のような位置にいる人物は見目麗しいが、どうも女性にはだらしがないという印象である。 この三人が、冒頭の話とどう繋がっていくのだろうか? 設定がしっかりしており、説明は会話などからも明かされていくが、笑いも含まれコミカルな部分もあることから、物語には親しみやすさを感じる。 【物語の見どころ】 読了部分がまだ序盤の為、これは想像となってしまうが、この物語はある二つの物語が交差し、更に展開されていくのではないかと予想する。つまり、どこかで冒頭の話の人物と、本編に入ったのちに出てくるハーフィズ達が出逢うことで、更なる展開を見せるのではないか? ということ。 そこに至るまでは、ハーフィズ側の研修を通した日常により、世界観や舞台がどんなところか明かされていき、ハーフィズについても語られていくのではないだろうか? 薔薇都市国家もとても面白い構造をしている。何故その名がついたのか分かりやすい。 この後、物語は”新人ハーフィズのシャディーラとユセルは任務で【世界の果て】大嶺山脈に向かう。そこで保護した一人の遭難者は、薔薇都市国家同盟の議長国、ウラルトゥの後継者 《ハズラト》であるアラム”という展開を見せる。(あらすじより引用)ここで、彼らの運命は交差するのではないだろうか? そこからが、真の始まりなのかも知れない。 あなたもお手に取られてみませんか? 彼らが、ウラルトゥの後継者に出逢い、どんな転機を迎えるのだろうか? この先どうなっていくのだろうか? 是非その目で確かめてみてくださいね。 お奨めです。

5.0
  • 作品更新日:2022/5/2
  • 投稿日:2021/8/8
カクヨム 現代ファンタジー 非公開

霊の謳

【物語は】 死とはどんなものか? から、ある事故現場へと移り変わる。 事故現場の遺体が誰のものか判明し、主人公が絶望するところから物語は新たな展開を見せはじめる。いきなり窮地に立たされ、ある出来事から命からがら助かるのだが。その時発現したのがこの物語で重要な一つの要素ととなる”霊力”。これがどんなものなのかは、この先明かされていくのだろう。 主人公は何とか助かったものの、意識を失ってしまう。この先、主人公はどんなことに遭遇してくのだろうか? 常用しなさそうな言葉について補足 *暫定死体とは?(造語) 多分、死体としか言えない肉の塊 *有象無象 世にたくさんある、くだらないもの。 【世界観・舞台の魅力】 二話に入ると、この物語の世界観が明かされていく。この世界では、生きている人間の生界と、死んだ者の集まる霊界というものが存在する。主人公は、この霊界を舞台として、様々な事件や出来事に遭遇していくのではないだろうかと想像する。 あらすじにもある、悪霊退散会。 彼らは人間に例えると、”寿命”というものにあたるものを消費することによって、”霊力”を使用し悪霊を倒すのを生業としている。そして、転生の為にそれを減らす必要があるというのが、この物語の主軸(もしくは重要)となる部分なのではないだろうか? ここの部分では、世界観について詳しく語られている。この他にもいろいろと、オリジナル要素があるようだ。(詳しくは本編にて) 不思議な世界観であると感じた。珈琲を飲むシーンが印象的。死後ではあるが、痛みも感じるし、珈琲なども呑めるというのが奇抜であり、面白いなと感じた。かなり独創的である。 霊力というものは、悪霊と戦う時に武器を体現するのにも使うようだ。傷を治すにも、霊力を消費する。簡単に説明すると、霊力は一つのことをすることだけに消費されるわけではない。 例えるなら、電力のようなものだろうか? お湯を沸かすのにも、電気をつけるにも、TVをつけるにも消費する。このように、ある種のものにこの霊力が消費されるのである。 【物語・登場人物の魅力】 部門によって、教えてくれる師が違うようだ(正しくは師ではないが)。 主人公は初めこそは頼りなくて、ひ弱な印象を持つが、覚悟を決めてからは一所懸命、霊力を使いこなそうと頑張っているように見える。このことから冒頭でひ弱な印象を受けたのは、突然の出来事によるショックの為だったのではないだろうかと、想像する。 もし自分が、二十歳前後で交通事故に遭い人生を終えてしまったと想定したなら? もしそれを客観的に見ることが出来たならば?  誰しも正常ではいられないと思う。もし冷静でいられるとしたならば、元々感じづらい性格か、もしくはショックが大きすぎて、逆に冷静になってしまうパターンなのではないだろうか? 物語は、修行を経ていよいよ実践となっていく。 この物語では、早々に強敵が現れる。この流れは、目指すところが分かりやすいという意味では、とても良い展開だ感じた。例えばこの時の主人公と、再戦した時の主人公の強さを比べたりなど。 敵にもいろいろあるようで、七不思議などもモチーフとして取り入れられている。この為、親しみやすい部分もあると思われる。 設定自体が少し複雑な部分もあるので、組み合わせとしてバランスが良いのではないだろうか? もちろんそれだけではなく、物語にもオリジナルの展開が用意されているのが魅力である。 【物語の見どころ】 まずは、舞台、世界観設定がしっかりしており、独創性に優れているところが見どころである。四字熟語が多い為、一部常用しない言葉は、分かり辛い部分もあるが。 オリジナル部分については一つ一つ丁寧に説明がなされている為、分からなくなると言うことはない。アクション部分についても、行動描写が丁寧なので想像しやすい。 主人公が、むやみに強いわけではないという点も、見どころの一つなのではないだろうか? 普通の人間とは言い難いかも知れないが、平凡に見える主人公は感情移入しやすいと思う。修行や実践により霊力の使い方は習得したものの、いつも危険と隣り合わせ。必死だからこそ、ハラハラするし応援した気持ちにもなる。そのくらい戦闘シーンは激しいと感じた。 そして、モチーフの取り入れ方も見どころの一つ。知っているモチーフにオリジナル要素が加わり、想定外の展開となっていく。登場人物それぞれに、個性を感じる。 あなたもお手に取られてみませんか? 果たして主人公はこの先、どのように成長を遂げていくのだろうか? 是非、その目で確かめてみてくださいね。おススメです。

5.0
  • 作品更新日:2021/11/26
  • 投稿日:2021/8/8
小説家になろうファンタジー連載:85話

方舟は彼方へと進む ~国から逃亡した料理人は、死神と忌み嫌われる少女に誘われ何でも屋稼業に身を捧げる~

【物語は】 主人公が必死に追手から逃れるところから始まる。彼は12歳で料理人見習いとして厨房に入り、王族に料理人として仕えていた。今日まで、なんの問題もなくやってきたはずだが、この日は違ったようだ。身に覚えのない殺人未遂容疑をかけられ、追われていたのである。この時点では、大臣がどんな人物なのか分からない為、犯人の目星さえ立てることは出来ないが、ただの間違いなのか、それとも嵌められたのか?とても気になる始まり方である。 【主人公の選択】 タグを見ると、”オリジナル戦記 青春 異能力バトル 冒険 西洋 魔法 チート”となっているので、どうやらミステリーではないらしい。事件の真相は非常に気になるところであるが、ミステリーでない以上どこかで真相が明かされるはずである。この物語が、城に戻るルートになるならの話ではあるが。 主人公は追われた先で、三つのルートと三つの選択を強いられる。それは死ぬか、生きるか、捕まるか。もちろん捕まったら死の可能性が高いので、実質二択となる。 何とか、生きて脱出したのも束の間。彼は更なる危機に遭遇していた。 【料理人であることを活かした展開】 通常物語には、説明が付き物である。特に世界観やオリジナルの部分には必ずと言っていいほど、説明が必要不可欠。これがないと、どんな物語なのかまったくわからないからである。その説明の仕方というのは、作家によって違う。一般的なのは、地の文として書くもの、会話に混ぜるもの。オリジナリティを感じるのは、授業にしたりテレビのニュースとして流すようなもの。しかし、この物語はどれでもない。思いつかないとは言い切れないが、独創性がある。 何故、主人公が料理人なのか、納得できるスタイルである。いや、料理人だからこそ、納得できる説明スタイルと言った方が正しいだろうか? (ネタバレになってしまうので、そこは実際に読んでいただきたい) 【物語の魅力】 この物語は展開が早い。追われ、ピンチになり、ある人に遭遇し、その後となっていく。場面場面はしっかり描かれているにも関わらず、展開が早いのでテンポが良い。物語のはじめと言えば、説明ばかりで飽きてしまいがちなもの。 しかし、この物語では工夫が凝らされている。テンポが良い他にも、コミカルな部分もある。大抵主人公が酷い目に合っているが、つい笑ってしまう。 会話のセンスが秀逸。”1.出会いは蒼海のど真ん中で③”の最後のセリフには思わず声だして笑ってしまった。 主人公は天然なのだろうか? いや他にも天然の性格の人物がいそうである。 と、思って読み進めると、ほとんど天然の方たちであった。 【主人公と彼ら】 彼らを繋いだのは食。正直なところ、食で繋がる絆というのは優しい絆だと思う。よく旅番組などでも食で繋がる関係などをやっているが、この物語では特殊な環境により、良い食材でもあまり美味とは言えないものばかり食べていたと推測される人たちと出逢う。 その事が主人公にとって幸運となったように感じるのだ。冒頭から不運に見舞われた主人公であったが、彼らとの出会いは確実に好転となっていると感じた。 【物語の見どころ】 主人公が後(のち)の仲間になる人物たちに出逢うまでは、それまでの経緯であり、物語全体としては序章に過ぎない。彼らと出逢い、信頼を得て仲間になったところが、本当の始まりだと言っても過言ではないだろう。 主人公を含めた四人は個性派揃い。 あらすじから推測すると、仲間になる彼らは”何でも屋稼業”をしているようだ。主人公の境遇は不運ではあるが、仲間のうちの一人は”世界から死神と忌み嫌われるオッドアイの少女”。彼女は、自分の境遇など気に求めず、強く生きている。きっとそんな彼女に主人公は影響を受け成長していくのだろうと、想像する。 見どころは、自分たちを多様性と捉える部分ではないだろうか? どんなに世界から嫌われようとも、自分らしく生きることを諦めない。あがいた先にあるのは、幸か不幸か? あなたもお手に取られてみませんか? 彼らのその先を、是非その目で確かめてみてくださいね。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/29
  • 投稿日:2021/8/8