投げやりな鴉と月色の狼
他者の心を動かすことは簡単な話ではありません。 どんなに心を込めた言葉をかけようと、どんなにその身を尽くそうと、突っぱねられてしまったらそれまでで。 どうにも孤独で、独りが普通のことだと思い込み、長く生きていたリトアーユ。 でも知らぬ間に彼は他者との繋がりを持っていて、更には彼と繋がった者々は皆、彼を当たり前に気にかけていました。 「生きることを諦めないでください──」 簡単な言葉で、リトアーユにはなかなか刺さりません。 瀕死を体験して、隣の他者が大切な者だと気が付き初めて、あの言葉はリトアーユに沁みていくわけです。 そのじわりじわりが尊くて、こちらの心を刺してくる。うん。いい。 血生臭くてきな臭い。 でもそれが絆だったと気付いたら、命がけなのも悪くはなかったのかもしれません。 リトの表情の変化を、是非ともご覧いただきたいです。
- 作品更新日:2019/3/24
- 投稿日:2021/8/7
陽だまりとハンバーグ
夕食の時間をシェアするという、単純な約束。 それは明日を臨むための、やさしい拘束。 持ち物がなにもない部屋にポツネンと居る絵里子と、ぶっきらぼうだけど心底優しい恭介はお隣さん同士。 べらぼうに料理の上手い恭介の手料理は、どれもこれもが震えるほどに美味。 絵里子は毎日、とある期限まで、その恭介の料理を食べることになっていて。 よく考えてみて欲しい。 『食べる』は、どういう意味を持つことなのか。 そこに込められた深い意味がわかるとき、当作の隠し味があなたにもわかるはず。 これは、明日をあたたかくくるむ陽だまりを臨むための優しいお話。 どんな崖っぷちに立たされたとしても、横から掴まえる手が伸びる、震えるほどにきらきらした陽だまりのお話。
- 作品更新日:2020/9/3
- 投稿日:2021/8/7
陽だまりとハンバーグ
夕食の時間をシェアするという、単純な約束。 それは明日を臨むための、やさしい拘束。 持ち物がなにもない部屋にポツネンと居る絵里子と、ぶっきらぼうだけど心底優しい恭介はお隣さん同士。 べらぼうに料理の上手い恭介の手料理は、どれもこれもが震えるほどに美味。 絵里子は毎日、とある期限まで、その恭介の料理を食べることになっていて。 よく考えてみて欲しい。 『食べる』は、どういう意味を持つことなのか。 そこに込められた深い意味がわかるとき、当作の隠し味があなたにもわかるはず。 これは、明日をあたたかくくるむ陽だまりを臨むための優しいお話。 どんな崖っぷちに立たされたとしても、横から掴まえる手が伸びる、震えるほどにきらきらした陽だまりのお話。
- 作品更新日:2020/9/4
- 投稿日:2021/8/7
月十夜 掌編集
月の発する光や色の他に、それぞれ各一色ずつそれぞれの色付けがされており大変、大変美しいです。 上質なクラシック・セレナーデを聴いているような上品な本作品。 さあ。 飲み物を手前に置いて、ちょっとだけそこの窓を開けて、月をあなたの頭の上に添えれば準備万端です。 真夜中の少し涼しい空気を吸いながら、喧騒を忘れ読み耽りたい──そんな掌の中の小さく深いお話たちに、癒されてみませんか。
- 作品更新日:2019/4/14
- 投稿日:2021/8/7
星刻の鍵
ふとした出逢いが、命がけの再会を果たすことになるとは、誰が予測できたでしょう。 軽い気持ちで頼まれ物を引き受けてしまったルティちゃんでしたが、依頼主も巻き込まれた彼にも、どうしても会わなければならない人がいました。 内情の読み合いも魔法による戦闘も、全部全部が大切な誰かのため。 言葉だけでなく心でも信頼が芽生えたとき、会いたいあなたに会える鍵は、どうやって彼の目の前で開くのでしょう。 【少女と賢者の旅物語】の続編でもある本作。 そちらを先にお楽しみであれば、一言一文に感慨深くなること間違いなしです。
- 作品更新日:2018/11/18
- 投稿日:2021/8/7
黒い花
強さこそがその島での存在価値であった。 人外とも違わぬ強さを持つ剣士らが、続々額を銃で撃ち抜かれている島がありて。 奇怪な事件の隅にフラリ現れたは、真黒き風貌の面妖な人物。 人を人とも思わぬような輩らを、其奴は放っておけるわけもなく──。 抜刀術、殺陣、鈍く光るまなざしが、動画のように滑らかに描かれていました。 さすが野良さん。 剣豪、いいですよねっ。
- 作品更新日:2020/5/29
- 投稿日:2021/8/7
化け猫ユエ
和の雰囲気が随所に漂う、物の怪の物語。 言葉の選びが秀逸なので、短い文言で鮮明な映像化の叶うストーリーでした。 右目に宿すもの。 腹の内に宿すもの。 そして、外側の彼女。 なにより本軸である『月が巡る』という言葉の、本当の意味とは──。 西洋めいた彼女の姿に、東洋のあやかしというもうこの文言だけで興味そそられる色濃い物語。 是非ともご覧いただきたいです。
- 作品更新日:2020/5/15
- 投稿日:2021/8/7
MYSTIC LOVER
叔母と二人暮らしの沙月ちゃんは、母親の死の真相を探るべく、夏の間に方々へ取材に出かける。 母は女優の『涼森れいな』。 日本中が知っている大物女優の死は、しかし一部分だけ謎に包まれ封印されているようで──? ひとつわかると、ひとつ謎にぶつかって、またひとつひとつと芽を摘んでいくような物語。 各話もライトなので章ごとにサクサク読めてしまうこと間違いなし。 早く読まないと、この物語の記憶が消されてしまうかも……?
- 作品更新日:2020/4/15
- 投稿日:2021/8/7
還らずの館
荒廃した寒々しい街を、旅人は襟首を縮めて歩いていた。 住人らはよそ者を嫌い、旅人は相手にされず、宿も決まらず。 近付いてはいけないと噂のその館に、真っ白な少女が一人暮らしていたと知った旅人。 うちにおいでと彼女に誘われ、そうするうちにその少女の謎を知って──。 健気で純粋で、深い悲しみを背負う少女・シャルロット。 とある十字架を血染めの鎖で自らに巻き付けているその姿は、旅人・ロディの絶望していたはずの生に息吹を吹き込むことになっていく。 交流期間は短かったはずなのに、深い絆が生まれていた二人。 白い笑顔が色付く様を、ご覧ください。
- 作品更新日:2019/6/23
- 投稿日:2021/8/7
忘却ブレンド
暇そうな、惰性で営業しているような店主の彼が出す『裏メニュー』の一杯。 それは記憶が消えてしまうコーヒーだそうで。 店主の二面性においおい、と思いつつも、彼は何かしらの役割のために責務をはたしていきます。 眠れぬ夜に、ちょっと寄っていって欲しい一作。 シリーズ化したらいいなぁ、なんて。
- 作品更新日:2020/2/1
- 投稿日:2021/8/7