殛閃のメラィナーガ　─ Record of VARSAS Rider ─

　一人のテロリストが銃殺された。殺したのは、彼女と愛し合っていた騎士だった。その赤は、降り注ぐ雨によって洗い流されていく。 　星霊暦一八九二年。国を混乱に陥れた大規模テロ『煌めく揺籃事件』から八年。星のエネルギーの結晶である鉱物資源アストライトと、そこから得られる元素アストロンによって大きな発展を遂げたコルネルス王国。その白眉たる人型機巧星霊兵器ＶＡＲＳＡＳ。それは戦場の常識を大きく変えた。 　そんな土地暮らす若き少年・レドは、育ての親であり師匠であった男の死をきっかけに、彼が残したＶＡＲＳＡＳ〈ストリゴイ〉と共に辺境の田舎から旅立つ。己のルーツを知る、そのために。 　星霊パルス爆弾によって多くの星霊機械が無人で動き出す時代。レドは愛機に乗り込んで多くの無人機械を狩り、少しでも自分の出生を知るため戦い続ける。 　……人には誰もが見えない傷を抱えている。それは何かを否定した証なのかもしれない。では、レドの記憶に刻まれている真っ黒な空白、その傷跡は何を否定してしまったが故のものなのか。 　煌めく揺籃事件、魔導生物の子孫とされるルグレアン、無人機械アストラルと、玉座を狙う争いに星十字聖教団の中で繰り広げられる策謀の数々。 　レドはコルネルス王国に立ち込める暗雲を前に、一体何を思うのか。己の過去を知った時、彼はどんな決断を下すのか。 　一人の少年が仲間たちと共に激動の時代を駆け抜けていく、スターダストパンク・ハイファンタジー。 × 　表紙・挿絵は追々描いていきます。完成次第掲載していきます。