あま恋／お姉ちゃんの妹になってもいいですか？

お姉ちゃん(公女)を溺愛する妹(メイド)の ちょっぴりほろ苦いラブコメ。 　お姉ちゃんの妹になりたいです！　なってもいいですか？ だってコタはお姉ちゃんのために鋳造された量産型スライムメイドですから！ 　辺境の屋敷へと逃れてきた公女『啜泣澪莉／すずなみおり』は、 樹海奥地の荒廃した市場をさまよう天真爛漫なスライム少女『コタ』と出会った。 　真冬なのにボロボロのワンピースを着て、 朽ちた値札をみないと自分の名前もわからない、わたしとおなじ出自をもつ少女。 　放っておけなかった。 こんな場所で、ひとりぼっちで、きっとさみしい思いをしてたんだよね？ 「大丈夫。おちついて。お姉ちゃんここにいるから」 「ほんとうに？　本当のほんとうにお姉ちゃん？　うそじゃない？」 　どこか虚ろだった少女のひとみが輝き、艶やかな空色の触手がウネウネと動きはじめる。 「コタ、お姉ちゃんの妹になりたいです！　なってもいいですか？」 　あっ、えっ、まって、なんか誤解してない？ 「いいえ。コタはお姉ちゃんのことが大好きになったのです！　いいですよね……？」 　わたしの手を甘えるように曳きながら、何の迷いもなくひたすら出口めざして猛進する少女は、ただでは逃がすまいと襲ってくる樹海の怪異『端霊／ハギレ』を凄まじい妖力で蹴散らしていく。 　あの夜[/Alter-M/Alter-M/]になってしまった実姉のために数えきれないほどのタイムリープを繰りかえしてきた少女は、ようやく先にすすみはじめる。 「もう言いなりになんてなりません！　お姉ちゃんにぎゅーってしてもらうのです！」 「おねえちゃー、おねえちゃー、だいすきい！」 　そういって自称妹のコタは、そのまま私の屋敷に住みついてしまい……。 　樹海に転生をくりかえす重度のシスコン妹『コタ』と、心を閉ざしてしまった逃亡公女『みおり』が織りなす、ゆるふわーっとイチャイチャしまくるかんじの姉妹百合ラブコメ×異世界転生ミステリー。 　コタはお姉ちゃんを安心させるために生まれたんです。 いまこれを読んでいるあなたなら、コタがなにを言っているのか解かりますよね？ 　これはお姉ちゃんとコタたちのおはなしなのです――。