【街にダンジョンができまして】～（≠フラグゲー）～

彼女の名前はマキという。胸が洗濯板であることを少々残念に思っている十七歳だ。そんな彼女には親友と言って差支えのない二人の男子がいる。ヒーローとボーイという。もちろん、どちらもあだ名だ。しょうもない連中ならまるっきり関わらないところだけれど、二人はおもしろい。だから男勝りのマキと馬が合うのである。 そんな三人が平々凡々とそれなりに退屈な日々を送っている最中に、それは起きた。新宿都庁を中心とした半径百メートルほどが謎の力によって抉り取られたのである。代わりに巨大なドームができた。白くて大きな”結界”が現れたのだ。入ってみると、上を見ればのっぽなクリーム色の塔(ダンジョン)がそびえ立っていた。結界には十七歳以下しか入れないという。しかも、一度入ったら最後、二度と外には出られないらしい。だったら塔を登るしか――。 冒険の始まりである。