自由になりたい令嬢は、男装して逃げだした……が、どういう訳か聖女と呼ばれて愛されている
最終更新:2023/8/3
作品紹介
「絶対に、この結婚から、逃げてやる!」伯爵令嬢リュシエンヌはそう決意していた。彼女の横暴な父親が、勝手に彼女を嫁がせてしまったのだ。しかも、親子ほども年の違う相手の、後妻として。 そうして彼女は入念に準備をして、婚礼の馬車から逃げ出し、行方をくらますことに成功した。男装してリュシアンと名乗り、遠くの町へと足を運ぶ。 ああ、やっと自由になれた。喜んでいた彼女だったが、またしても面倒な事態に巻き込まれてしまう。なぜか彼女は、逃げ込んだ先の町で聖女としてまつりあげられてしまったのだ。 仕方なく彼女は、青年のふりをしたまま聖女リュシアンとしてその町で暮らし始める。ほとぼりが冷めたら、またどこかに逃げてしまおう。そんなことを思いながら。 しかし聖女としてたくさんの人たちと触れ合っていくうちに、彼女は別の思い――聖女である私だからこそ、できることがあるのかもしれないという思い――を抱くようになっていた。 そんなある日、国からの使者がやってきた。それも、彼女を捕らえるために。人心を惑わす聖女なるものを野放しにしておけないと、そう言って。 それまでは逃げ出すことばかり考えていたリュシエンヌだったが、この危機に正面から立ち向かうことを決意する。 そうして彼女のその決意が、周囲の人々も、そして国すらも変える大きな波を呼び起こすのだった。
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