四年目のアンソロジー
最終更新:2023/1/28
作品紹介
高校生二年生の夏、僕たちは一つの目標に向かって競い合っていた。出版社が主催する高校生対象の小説コンテストで優勝し、作家デビューすること。それは、今まで生きてきた中で一番濃くて、熱狂的で、そしてほろ苦い夏だった。 あれから四年がたち、大学に進んだ僕は、新たな目標も持てないまま、ただ自堕落な日々を過ごしていた。あの夏の仲間、健二が連絡してくるまでは。 「あの十一人に、また声をかけて約束を果たそうぜ」 「約束?」 「チーム『月夜ノ波音』のアンソロジーを作って、同人イベントに出そうって約束しただろ」 「なんで今さら」 「美優も呼ぶぞ」 その名前を聞いた途端、あの夏の暑さと、そしてほろ苦さを思い出していた。 新たな目標を設定して再結集した、かつての高校生作家の仲間が、過ぎてしまった時間と、変わってしまった自分たちに戸惑いながら、新たな関係を作り直していく物語。 ※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。