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作:中森

殿下、私のことを悪女と呼んでいますが、私の正体は聖女ですよ?

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最終更新:2021/12/2

作品紹介

「シャロン、貴様との婚約は、破棄することにした」 「……はい?」  侯爵令嬢である私、シャロン・カーディナーは、婚約者であるデイヴィス殿下に婚約破棄を言い渡された。 「あの、どうして婚約破棄なんて決断をされたのですか?」 「ふん、いいか? お前は、自分が何と呼ばれているか知っているか?」 「シャロンって呼ばれていますけれど……」 「違う! そういう話をしているんじゃない! 悪女だ! お前は皆から、悪女と呼ばれているんだ! そう呼ばれる理由は、もちろんわかっているな?」 「……え、なぜなのでしょうか?」 「自覚もないとは! まったく、悪女らしいな! いいか? 貴様は、先代の聖女によって、この国の新たな聖女に選ばれた。しかし、私はそんな眉唾なことは信じていない! 聖女だか何だか知らないが、お前はこの国にとってお荷物なんだ! 結界を維持するために莫大なエネルギーが必要だとか言って、お前は常人の百倍ほど飯を食らう。しかし本当は、結界を維持するためにエネルギーが必要だというのは、嘘なのだろう!? お前はただ、聖女という肩書があるだけの、卑しい女だ! ただ飯を食らい、何もせず王宮に居座るだけの女だ! お前が毎日飯を食い過ぎるせいで、私がどれほどの心配をしているかわかるか!?」 「いえ、私、食べても太らない体質なんです。結界を維持するために莫大なカロリーを消費しているので」 「誰もお前の体型など心配していない! この国が食糧難に陥らないか心配しているのだ!」 「それなら、私が結界を張れなくなる方が、食糧難になる可能性が高まりますよ。私が国の周りに結界を張っているおかげで、魔物が作物や人を襲わないのですからね」 「だから、そんな眉唾が、私は信じられないのだ! 魔物だと? 誰もそんなもの、見たことはないぞ! それが、お前が嘘をついている悪女だという証拠だ!」  まあ、代々受け継いがれている結界は百年以上も張られているので、魔物はこの国に近づくことができないのである。だから魔物を見たことがないのだろう。 「よって、お前をこの国から追放する!」  あらら……、追放ですか。私は悪女ではなく、聖女なのですよ。まあ、時が来れば、殿下もそのことに気付くでしょう。その時が来て後悔しても、もう遅いのですけれどね……。  この作品はアルファポリスにも投稿しています。

女主人公異世界ハッピーエンド婚約破棄聖女

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