偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがない
最終更新:2021/12/3
作品紹介
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 *カクヨム、アルファポリス、ノベルアッププラスでも掲載しています *ヒロインがアンハッピーエンドです *一回消し飛ばしてしまった分の、再掲載になります 痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。 爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。 執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。 だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。 ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。 広場を埋め尽くす、人。 ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。 この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。 そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。 わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。 国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。 今日は、二人の婚姻の日だったはず。 婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。 王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』 歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。 無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。 偽聖女として〜→王女の嘘に巻き込まれた→ ※お話し自体は独立しています 【序】プロローグ→【裏】モブざまぁが中心→【続】ヒロイン中心の本編の順に話が進みます。
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