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@オノログ
作:金糸雀
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最終更新:2020/1/7
怠惰な暮らしを送る「俺」が寝苦しくて目を覚ました時、 左膝に女のものと思われる口が出現していることに気付く。 口はぱくぱくと動いて喋り、 「生まれて来られなかったあんたの双子の片割れだ」と名乗るが……
母親に家庭内暴力を振るう引きこもりの男と、その左膝に現れた人面瘡のお話。 この死ぬほどドロドロした読後感。重いというか救いがないというか、とにかくポジティブな要素を徹底的に排した、この最初から最後までずっと後味が悪いところが最高です。 主人公の男からしてもう、まったく好感を持てる要素がない。ないのですけれど、でもそれにしたってストレートすぎる、あの人面瘡さんの罵倒マシンガンっぷり。お母さんはかわいそうなんですが、でもかわいそうなだけに余計に救いがない。 まさに〝嫌なもの〟のフルコースといった趣で、少しもほっと気持ちの安らぐところがない、それがこの作品の最大の特徴であり魅力だと思います。 特に好きなのは結末です。結局、なんだったのかわからない。わからないけれど、でも少なくとも「ただの妄想」なんかよりもよっぽどろくでもないもの、ということはわかる。〝正体がわからないからこその恐怖〟をきっちり残していく、素敵な幕切れだったと思います。
和田島イサキ
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