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作:モトオ

花に惑いて虫を食い

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最終更新:2019/5/10

作品紹介

 昭和三十年。  太平洋戦争における敗戦より十年、少しずつ復興のめどが立ってきた日本。しかし馴染めぬクズというのは何処にでもいるもので。  蓼虫(たでむし)と揶揄されるタチの悪い女衒、弥太郎(やたろう)。  戦後の時代、彼は非合法の花街で、せっせと人身売買に勤しむ毎日を送っていた。  ある日、弥太郎は女を買い付ける為に地方の農村へ向かい、そこで白髪の美しい娘“りる”と出会う。  貧しいご家庭から女を買い叩く。いつも通りに仕事をこなしただけ。  ただ一つ、普段と違う点があった。  腐った心には虫が集(たか)る。  りるはそれを見通す、『神の娘』だった  舞台は青線地帯として栄えた戦後の池袋。  戦災復興が進む中、真っ当な社会からあぶれた負け犬たちは、非合法の娼館街でそれでも懸命に生きていく。  けれど花街には時折、不思議な客が訪れるもの。  りると出会ったことで、弥太郎は否応なく“虫”が引き起こす、不思議な出来事に遭遇する。  これはゲスな女衒と神の娘が綴る奇妙な物語。  おぞましくも暖かい、心にわいた虫のお話。   【注意】  主人公が女衒(人身売買業者)です。  娼婦・売春・人身売買などの要素あり。  時代背景的に人権意識の低い発言が多く、そういったものに憤りを感じる方はご注意ください。  また虫を食べる描写があります。

悲恋伝奇時代小説娼婦花街

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