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作:凡仙狼のpeco

美女と野獣の婚前旅行~婚約破棄は許しません。氷の令嬢は、逃げた参謀を追いかけます!~

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最終更新:2022/7/16

作品紹介

   ーーー〝氷の剣姫〟スオーチェラ=ベラ・ドンナ。  ペンタメローネ王国の社交界で誰ともなくささやかれるようになった、ドンナ侯爵家令嬢の異名は、その容姿とともに広く知られている。  妖精のように可憐な顔立ち。  藍色の、艶やかな髪。  そうして静かに佇むさまは、誰もが一瞬、目を奪われるほどに美しいと称えられていた。  しかし同時にベラは、その微笑みを見た者はいない、とも言われるほど、全く表情を変えないことでも有名であり、一部の貴族子弟の無礼を、一言で切り捨てる舌鋒(ぜっぽう)の鋭さもまた、名が広まる理由の一つだった。  さらに剣の腕も立つ、文武に優れた完璧な淑女。  その様子と、立ち振る舞いの一分の隙もない完璧さから、氷になぞらえられているのだ。  そんなベラに憧れる貴族の乙女らは多い。  が、逆に家柄も高く微笑み一つの愛嬌もない〝氷の剣姫〟に手を出す度胸のある男はいなかった。  ゆえに嫁ぐ相手は、傑物と名高く、縁戚にある公爵家嫡男か、第一王子であろうとまことしやかに囁かれていたが……。 「隣国の軍に属する、参謀に嫁げ……?」  ベラに父親が告げたのは、そんな一言だった。    つい先日終戦協定を結んだばかりで、自国隣国ともにきなくさい情勢の中での、政略結婚。  それを受け入れたベラが隣国に向かうとーーー婚約者は、逃げていた。 「どういうことですの……?」  追いかけて会ってみると、平民からありえないほど出世をした彼は、人間社会で差別される獣人だったのだ。  それでも両国の友好のために結婚しろと迫るベラに、白磁の獅子の容姿を持つ彼は言う。 「俺の嫁になるなど、自分がどんな目で見られるか分かっているのか?」 「気にしませんわ。わたくし的に、その獅子のご容姿も悪くはありません。……不安がおありでしたら、お互いをよく知るために、婚前旅行などいかがでしょう?」  説得するための提案を呑んだ彼とともに、ベラは二人で旅に出る。  これは徐々に愛を育む、美女と野獣の婚前旅行のお話。  

日常身分差年の差異類婚姻譚古典恋愛

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