朕は猫である
最終更新:2023/11/22
作品紹介
朕は猫である。 名前は――ハンス・スコット・シュミットと名乗っておこう。 『帝国』 それはこの世界が唯一無二であるが故の呼び名。 どこの、でも、誰の、でも無い。 世界とは其れ即ち『帝国』の事であり、単一。 『帝国』と言う世界を構築した建国の王は、賢王でも愚王でもなかったが、碩学を極め多くの仲間達を集い、世界を地上世界と天上世界、そしてそれらを統治する『帝国』という三層構造の世界を構築した。 しかして、ほぼ万能に近い権能を有した彼も只人と同様、寄る歳波には抗えず、『帝国』を仲間たちへと任せて遥か大いなる円環へと旅立った。 筈だったのだが。 王は英霊達の列する黄穹で目覚め、そこで行われていた『使い魔』の契約の儀式に臨席していた。 並み居る主人候補達の中で面白そうな波動を見つけ、「やるからには不利な方が面白い」等と宣ってその主人と契約することにする。 契約の最中、まだ見ぬ主人に「何を望む」と問いかけた王に、その主人は「全て」と応えた。 その応えに、王は強い羨望を懐き、その者に全てを与えることを決意する。 これは良い玩……げふんげふん。 宜しい。朕が使い魔となったからには、其方を誰もが羨む『パーフェクトレディ』にしてしんぜよう! と、息巻いて見たのだが。 召喚された王は一匹の黒猫になっていた。
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