双極の旅人~行方不明の魔王と死せる勇者の顛末~
最終更新:2024/5/17
作品紹介
召喚士──その存在は特別視され、奇異なる立場として主に王族、貴族、要人を護る為だけに存在していた。 その種族は山間で集落を作り、世間とは隔離された閉鎖的な生活を営み、それを知る者と知らない者が、同じ大地の上で生きていた。 皆、家族を持ち、愛すべき者を持ち、友を持って。 築かれる物には長い年月が必要だ。 だが壊れるのは、瞬きするよりも刹那的で儚い――。 それが、自分の身の上に起こるなどと考える者は少ない。 目の前にした時、人は初めて気付かされるのだ。 ある日、何の前触れもなく召喚士の集落は、魔族に襲撃された。 その光景の恐ろしい事実を突きつけられて果たして、正常でいられる者はどれくらいいるだろうか。 その一族の末裔は、居場所を失い長い時間を旅して生きてきた。 過去の現実から、目を背けるが如く。 故郷を魔族に襲撃され、壊滅した挙句に不老の呪いをかけられてしまったフェリオ。 悲惨で恐怖な出来事を目前にして、トラウマを抱えてしまったフィリップ。 当てどもなく旅を続けていた二人は、道中にてそれぞれ一人の少女と、一人の紳士に出会った事で、ようやく旅の“意味”を見出していく。 世の中には、相反するものが必ずある。 光と闇、火と氷、天と地、善と悪、生と死etc……。 おそらくそれは、どこの世界にも存在する。 これは、そんな“どこか近い”、しかしながら“限りなく遠い世界”の物語。
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