田舎の小領主（修正版）

　ミア（男）が転生し、はっきりとした自我を認識したのは二歳になった頃だった。 　しかし、彼には前世のものだろうか、知識はあるのだが記憶がない。 　そんな彼が生まれたのは山脈と深い森に囲まれた片田舎。 　どうしようもない父と後に家出する母。そして、関わり少ない姉。 　そんな愉快な家族に包まれて、ミアはすくすく育つ……但し、三歳までだが。 　三歳～五歳で全ての家族と別れ、六歳の時に竜神と出会い、七歳の時に王都に呼ばれる。 　八歳からは村の発展に力を注ぎ、九歳になると社会勉強の為に隣の国へ旅行する。 　そして、次の年……。 　十歳になると初めての戦場、戦争を経験する。 　その時、天下五剣最強の男―――通称、剣鬼（死神）と対峙し死線を繰り広げる。 　これは少年の物語であり、少女が夢想する夢物語。 　パラパラと捲られる絵本が紡ぐ話は喜劇か悲劇か……。それは誰にも解らない。