元兵士は大空の下で旅をする
最終更新:2018/8/31
作品紹介
現代より遥か未来。明日も見えぬ戦争に揉まれ荒廃し、空をも失った世界。 毎日のように、どこかで戦端が開かれどこかで人が死んでいく。 だから、兵士の青年ーーユキーーは自分が死にかけていることもさして疑問には思わなかった。 自分の番が回ってきたのか。 その程度の感想しか抱かない。 ーーだけど、霞んでいく視界が最期に捉えた、まるで鉛を流したかのような空を見つめ。ふと、母がいまわの際で見せた色褪せた写真を思い出した。 「青い空を見たかった。」 そんな、ささやかな願いを口にして彼は目を閉じる。 誰にも聞き届けられはしない。最期に口にした小さな、小さな“ネガイ”の発露。 ーーーしかし、それを聞く者がいた。 「待っていたぞ。若きエインヘーラルよ。」 かくして。彼は目覚め、旅人となる。 知らない世界。こことは違う、どこかの世界で。 困難を踏破することもあるだろう。 たくさんの人と関わることも、時には協力しながら。時には対峙しながら。 彼は歩んで行く。どこまでも続く空の下を。 これは、戦争機械だった青年が。“人間”となるための物語。
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