ハナ・エイベル・ラムルル・アレクサンドル王女いわく、萌え文化とは。

　七月二〇日、東京。立ち昇る積乱雲に快晴の空。少年・門前希典(もんぜんまれすけ)は高校生活二回目の夏休みを迎えた。始まる夏休みに期待を込めて今日からネトゲ三昧となるはずだった夏休みの計画は突然の雨と不意に出会った少女と合わせて簡単に崩れ去った。 　少女は名前をハナ・エイベル・ラムルル・アレクサンドルと言った。東京とは別の、どこか遠い異なる世界〝ログフィール〟より王国女神ポトルポピンと共にやってきたハナには目的があった。それはこの世界で何か一つを成し遂げること。 　単純明快な目的は逆にハナを困らせた。なぜならハナには趣味がないからだ。趣味の延長線上で何かを成し遂げる手段を得ることができないハナを見越して王国女神ポトルポピンはハナに出会いを用意した。 　出会いは必然。降りしきる雨の中、少女ハナは門前希典の制服の袖をつまみ二人一組の萌え文化が幕開けた。 【登場人物】 門前希典（もんぜん　まれすけ） →高校生活二回目の夏休みを迎えるオタク。終業式の帰り道、ハナと出会う。 ハナ・エイベル・ラムルル・アレクサンドル →異世界ログフィールよりやってきた少女であり王女。降りしきる雨の中、門前と出会う。 ポトルポピン →ログフィールの王国女神。宝石瞳の少女。 門前舞子（もんぜん　まいこ） →門前希典の母親。三泊四日で北海道富良野へ旅行に出かける。 上越寺光春（じょうえつじ　みつはる） →門前の親友。小説投稿サイト『ヨミカキ』の上位グループ“理想の庭”に感化されライトノベルを描こうと決意する。 カエル髪留め少年（かみどめしょうねん） →小学生男子。カエルを模した髪留めを付けている。いじめられっ子。 駒牧実（こままき　みのり） →門前が通う高校の三年。門前が密かに想いを寄せていることを知らない。 リントン →初老の執事。ハナを木造教会まで案内する。 ルミイ →ハナの供回り。守護六聖人。ローブを羽織った三つ編みの少女。背中に小銃を背負う。 トレイル →ハナの供回り。守護六聖人。羽根つき帽子をかぶる少年。騎兵槍を手に持つ。 アンネリエ →ハナの供回り。守護六聖人。豪華な装飾を身につけた黄色いドレスの少女。 ロイスビー →ハナの供回り。守護六聖人。小さな使用人（メイド）の少女。 春風春花（はるかぜ　はるか） →小説投稿サイト『ヨミカキ』の上位ランカー理想の庭の一人。キツ目で茶髪な少女。ライトノベル《シオカゼ＝シオネの看護職人録（ナースレコード）》を書く。 湯殿目牧尾（ゆどのめ　まきお） →理想の庭。ライトノベル《秋葉原にてキャニオンライフ》を書く。長髪少年。 須王陸（すおう　りく） →理想の庭。ライトノベル《ミリオンガンズ》を書く。不良っぽい。 小湊楓（こみなと　かえで） →理想の庭。ライトノベル《なたでここハーフナイト》を書く。麦わら帽子の少女。 九重幕瑠（ここのえ　まくる） →理想の庭。ライトノベル《夜明けのグラード》を書く。黒縁メガネの少年。 来留々田望（くるるだ　のぞむ） →理想の庭。ライトノベル《秘密のあいかた》を書く。男性礼装で着飾る少年。 華の枢軸（はなのすうじく） →理想の庭と同じ複数人のコミュニティメンバー。