女勇者の悲劇
最終更新:2012/7/21
作品紹介
時の王は高らかに告げた。 「そなたこそ、黄昏の勇者」 その勇者は、変人で変態だった。未来の妻となった王女が抱きついても、顔を引きつらせてばりっとはがした。そして、自分は女だなどとおかしなことを叫んだ。それだけではなく、自分をかばう聖女に対して体を確認してみろと迫ったのだ。だが、その聖者曰く彼は悲しい存在なのだ。無理な召還が祟って、後遺症をいくつか受けてしまったらしい。その一つが記憶の混乱であり、そしてもう一つは、異常なほど膨らんだ胸。それは、見ているこっちが痛ましいほど大きく腫れ上がっていた。だがそんな痛みはまったく顔に出さずに、ただただ自分を女と言い張る。美しく、優しく、そして変人な彼がこの世界を救う勇者だった。 「――――――だから私は女だって!」 「大丈夫よ。分かってるから」 「君だけだよ私の理解者は!」 「そうそう。だからもう他の男に胸揉ませたりとかしないでね。うっかり殺っちゃうから」 これはどう見ても女であるのにそう認識されない女勇者と、とある理由から性別を偽っている男の魔女の、奇妙なラブコメディ。
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