扱ってるテーマがテーマなので、重く鬱々になりそうですが、裏社会?になじみがない人にわかりやすく、一般人である「タクヤ」を主体に物語が進みます。
一部は大学生時代、二部は社会人になってから。
根底にあるのは「マコト」と「タクヤ」の決定的なズレです。
マコト視点で物語を進めたなら、読者の共感を得ることは難しかっただろうと推測します。普通の人から見た「援デリ」の世界。
体を売ることをセーフティラインにしてきた女性がどう映るのか? これをタクヤが見た視点で物語を進んでいきます。
作中、登場する「俊輔」君の「好きだけじゃだめ」ここがイチオシです。
タクヤとの出会いがマコトに齎したもの、そうじゃない人と決定的に違う認識の差、マコトは終始一貫して、これに苦しめられるんですが
タクヤ……、お前なんで気づかないんだよ。優柔不断すぎるだろ!?ってなるか
タクヤ、ワカルワーってなるのか? 反応が分かれると思います。
私はタクヤに一発入れたくなりました(笑)
若いって不器用だよねーっと思いながら読み進め、30万字あるから数日かけてと思いきや、一日で読破。それほど、勢いがある作品です。
勢いがあり、思い社会テーマを題材にしながら、暗くならない。一気に読ませる。
筆者が本作を執筆するにあたり、丁重な下調べをしておられるのがよくわかります。
等身大の若者には「消費される性」として、扱われる女性がどう映るのか?
消費されることに慣れてしまった女性が、その後、どう生きていくかを模索するのか?
簡単じゃないんだよ、一度でも行ってしまうと戻るのは難しんだよ。
「相手に寄り添う」という言葉の意味を考えさせられる一作です。
筆者の結論はまさにタイトルの通り
援デリともかく、ヒューマンドラマとしても秀逸ですし、一人称で文章を起こす鉄則
(当人が見聞きしたもの以外は一切書かない)にそって書かれてますので、老若男女問わず、慣れない人にも読みやすいと思います。
登録:2021/8/6 10:12
更新:2021/8/6 10:11