「花火、売ってもらえますか」
冬に浴衣という季節外れのいでだちで現れた少女、旭は、花火師の父を持つ主人公暁青年に、おずおずとそう告げた。
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そんな二人の交流を描いたヒューマンドラマです。
恋と呼ぶほど大袈裟ではなく、けれど、少女のお願いや、「一緒に花火をしませんか?」という誘いを無下に断ることはできないほどには、少女は不思議と魅力的で。
材料を集めて線香花火を作り、駄菓子や玩具を買い求めて少女と戯れる。
冬なのに、夏の空気感すら感じられる情景描写と、段階的に移り変わっていく暁青年の心情が、丁寧な筆致で綴られるのが、なんといっても本作の魅力でしょうか?
なぜ、少女は青年の前に現れたのか?
少女との出会いにより、彼を取り巻く環境がどう変化したのか?
僅か六千文字とは思えぬ濃厚な世界観と、ちょっと切ないボーイミーツガールの甘酸っぱさに、触れてみませんか?
登録:2021/10/8 22:55
更新:2021/10/8 22:55