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少女との出会いが、青年にもたらしたものは何か? 花火が繋いだ、一冬の物語

5.0
2

「花火、売ってもらえますか」

 冬に浴衣という季節外れのいでだちで現れた少女、旭は、花火師の父を持つ主人公暁青年に、おずおずとそう告げた。

 そんな二人の交流を描いたヒューマンドラマです。

 恋と呼ぶほど大袈裟ではなく、けれど、少女のお願いや、「一緒に花火をしませんか?」という誘いを無下に断ることはできないほどには、少女は不思議と魅力的で。

 材料を集めて線香花火を作り、駄菓子や玩具を買い求めて少女と戯れる。

 冬なのに、夏の空気感すら感じられる情景描写と、段階的に移り変わっていく暁青年の心情が、丁寧な筆致で綴られるのが、なんといっても本作の魅力でしょうか?

 なぜ、少女は青年の前に現れたのか? 

 少女との出会いにより、彼を取り巻く環境がどう変化したのか?


 僅か六千文字とは思えぬ濃厚な世界観と、ちょっと切ないボーイミーツガールの甘酸っぱさに、触れてみませんか?

木立花音(こだちかのん)

登録:2021/10/8 22:55

更新:2021/10/8 22:55

こちらは木立花音(こだちかのん)さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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木立花音(こだちかのん)