念願叶って憧れの女子と付き合うことになった男子高校生が、でもその三ヶ月後にあっさり振られ、やり場のない気持ちを抱えて右往左往するお話。
コメディです。初々しくも苦々しい青春の失敗をコミカルに描いた物語。身も蓋もない言い方をしてしまうなら「フラれ男の悲哀」のような、わりとどうしようもない自家中毒についてのお話です。したがって必然的に、といっていいのか、主人公がひたすら青臭く、なにより結構ポンコツなところが素敵でした。まさに青春。
実質的に出オチしている導入が好きです。というか、それを可能にしてしまう主人公の人格そのものがすごい。憧れの相手と付き合い始めることを、『ハッピーエンド』と事実上のゴールとして捉えているところ。詳細はわからないため一概には言えないといっても、でも順当に考えたらそりゃそうなりますよね普通——と、皆まで言わずとも伝わってしまう、冒頭二行のこの説得力。初手から剥き出しにされるキャラクター性。いやこれだけならまあ幼さの範疇と言えるのですけど、でも「だけ」で済もうはずもなく……他にもあげたらキリがないというか、細部からバリバリ伝わる「いや逆によく三ヶ月も保ちましたねお前?」感。
例えば最初の一話だけでも結構露骨で、そして二話三話はもう言うに及ばず。というか、どんどん加速します。ううー若い! いや若さとかの問題なのかこれは!? 主人公の人物造形がなんとも絶妙で、なんだか自分のなかの何かをめちゃめちゃに煽られたような気分です。
もうすっかりやられたというかいろいろガッタガタにされたというか、見た目以上に質量のある青春物語でした。
登録:2021/12/13 20:49
更新:2021/12/13 20:49