ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

瑞々しい青春小説

5.0
0

作者さまはプロのシンガーで作詞作曲もされる。詩人の言葉はところどころ、美しく光芒を放っている。

例えば、「屋上はいつも自由に近いところにあるように思えた」という一文、いったい何人が書けるだろうか。わたしなどは単純だから、もうこの一文だけで「僕」の孤独な世界に連れ去られてしまう。

みなさんもぜひお気に入りのセンテンスを探してみてほしい。


内容にも少し触れておこう。、

孤独な生い立ちの(おそらくネグレクトされてきた)僕が、家族の豊かな愛情に包まれて育った彼女のおおらかな気質と態度で少しずつ少しずつ他人を受け入れることができるようになっていく過程が繊細に綴られている。詩人はかくも克明かつ鮮明に出来事を記憶し再現できるのだと驚かされた。それは本人にとってはつらいことに違いないが、読み手にとってはひどく幸福なのである。

本作は詩人の手になる第一級の青春小説である。

しのき美緒@BEKKO BOOKS

登録:2021/12/16 16:58

更新:2021/12/16 16:57

こちらはしのき美緒@BEKKO BOOKSさんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

同じレビュアーの他レビュー!!

クリストキントの贈り物

クリスマスの奇跡が子供たちを変えた

ドイツの架空の村が舞台。身分が違えば話すことはおろか相手をみることもできない、そんな時代のお話だ。 三人の生まれも育ちも違う子供たち。 クリストキントは三人に素敵な時間をプレゼントした。豪華なごちそうをたべながらお互いを理解する時間。 そしてそのときの三人は友情をはぐくみ、移動するいかけ屋の息子マルコは定住して教師になる。そして子供たちにあきらめないことを教える。 美しい話だ。メルヘンだと一笑に付してはいけない。 元来子どもたちは人種・門地・身分・財産で他人を差別する心を持たない。 大人が差別を教え込んでいくのである。 差別は偏見を生み、人と人、国と国とを分断する。自分たちと違う外見、思想を排斥しようとする。それに利害が絡みついて戦争が引き起こされる……。負のループだ。 それを断ち切るのに必要なものが教育である。 本文の最後で、教師になったマルコはいう。 「どの道を志すのも間違いじゃない。君たちが進みたい道を選べばいい。ただそのとき、運命だからといって諦めるのは少し待ってほしい。道はみずからの手で切り開くことができるんだ……」 力強く高らかな宣言である。 新しい年がすぐ目の前にある。 この物語を読んで、自分を取り戻し、進みたい道をいく算段をしてみようじゃないか。きっと道は開けるはずだ。 2021/12/24

5.0
1
しのき美緒@BEKKO BOOKS