ドイツの架空の村が舞台。身分が違えば話すことはおろか相手をみることもできない、そんな時代のお話だ。
三人の生まれも育ちも違う子供たち。
クリストキントは三人に素敵な時間をプレゼントした。豪華なごちそうをたべながらお互いを理解する時間。
そしてそのときの三人は友情をはぐくみ、移動するいかけ屋の息子マルコは定住して教師になる。そして子供たちにあきらめないことを教える。
美しい話だ。メルヘンだと一笑に付してはいけない。
元来子どもたちは人種・門地・身分・財産で他人を差別する心を持たない。
大人が差別を教え込んでいくのである。
差別は偏見を生み、人と人、国と国とを分断する。自分たちと違う外見、思想を排斥しようとする。それに利害が絡みついて戦争が引き起こされる……。負のループだ。
それを断ち切るのに必要なものが教育である。
本文の最後で、教師になったマルコはいう。
「どの道を志すのも間違いじゃない。君たちが進みたい道を選べばいい。ただそのとき、運命だからといって諦めるのは少し待ってほしい。道はみずからの手で切り開くことができるんだ……」
力強く高らかな宣言である。
新しい年がすぐ目の前にある。
この物語を読んで、自分を取り戻し、進みたい道をいく算段をしてみようじゃないか。きっと道は開けるはずだ。
2021/12/24
登録:2021/12/24 02:47
更新:2021/12/24 02:45