本作はアダルトチルドレン、児童虐待という、とても重い内容を含んでいるが、そこにとぼけた夫とメガネを絡ませることでふんわりとした、優しい物語にすることに成功している。
虐待へ「あと少しだけ」まで追い詰められている鞠花。たしかにACではあるが、そうでなくても昼間ひとりで男の子を育てるのは大変で、誰もが陥る可能性のある状況だ。
それを止めるのは夫、そして夫からプレゼントされた不思議な眼鏡。
自分を虐待していた母(故人)とようやく和解を成立させて、家族は敵ではなく味方であることに気づく。
最後は三人でケーキを買いに行くところで終わるが「ケーキはいつ食べたっていい」には、作者さまの「過去にこだわらなくていい。あなたが決めていい」というエールが込められている。
登録:2021/12/22 18:32
更新:2021/12/22 18:31