「日本三大悪人」をご存知ですか?
この物語は、その筆頭と言っても過言ではない弓削道鏡が巻き起こした「偽神託事件」を題材
に、その影で交わされた男女の恋模様を描いたものです。
え? むずかしそう?
古典は苦手?
歴史なんてわかんない?
だーいじょーぶ!
この作品は、そんなあなたにこそ読んでほしい!
読み始めたあなたを迎え入れるのは、甘々キュンキュンの恋物語です。
運命の出会いを果たした恋人たち。愛の逃避行に旅立つのかと思いきや、約束の時間に男は現れ
ず、女は都から遥か遠い宇佐(大分)の地へと戻っていきます。
そして、たった一夜の契りで授かった命を、ひそかに産み落とすのです……
――ハイッ!
ここまで読んで「エモいわー」と思った方はぜひご一読を。
念のため記しておきますが、これでなんとまだ序章です。本編ではそれはもう魅力的な老若男女が
これでもかと出てきます。
そして、これがこの作者さんのすごいところなのですが、現代とは価値観も暮らしぶりも全く違
う奈良時代だというのになぜか、「あ~、こんな人いるよね」「こんな子がいたら絶対好きにな
るやろ」と、どのキャラクターもまるで私たちと地続きの世界で生きているかのように活写され
ているのです。
(なお私の推しは田麻呂パパ)
……かと言って、歴史的描写が蔑ろにされているわけでもなく、生き生きとした登場人物たちの
リアルな暮らしを感じることもできます。
難しい話はないです。
甘々のラブストーリーから、切ない大人の恋、陰謀渦巻く政治劇、初々しい少年少女の恋物語か
ら成長譚まで、上質の群像劇がこれでもかと詰め込まれたこの一作。
おすすめですッ!
登録:2021/12/24 16:47
更新:2021/12/24 15:26