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知らない方が幸せだった。もしかすると、そんな運命

5.0
2

 主人公である紫月桜子(しづきさくらこ)は、学校一のイケメン、通称――花泥棒先輩と契約を結んでいる。

 恋人契約、とでもいうべきそれは、学校では彼の『妹』として演じ、家では『お嫁さん』のようにして一緒に過ごすという一年契約だ。



 本作は、恋人契約をした桜子の視点から語られる第一幕と、一転して『花泥棒』先輩の視点で語られる第二幕とで構成されています。


 掴みのよい第一話からスタートする一幕は、女性視点から見た少女漫画的ラブコメ作品といった様相。

 ですが、甘々な展開のなかに、じわりじわりと違和感が交じり合ってくるのです。


 ひとつ。なぜ、花泥棒先輩は、桜子を抱かないのか?

 ひとつ。なぜ、花泥棒先輩は、他の女なら抱くのか?

 ひとつ。なぜ、桜子の両親の姿が作中に見えてこないのか?


 数々の謎に読者と主人公の桜子ですらも時には翻弄されながら物語は進み、一幕の終わりの転換点で、ついに事件が起こります。

 ネタバレになるのでここでは語りません。ですが、二幕から視点が花泥棒先輩こと薫くんに移ることで、一幕で感じていた疑問が少しずつ紐解けていくのです。


 二幕は一転してサスペンス風味。

 一幕で感じていた疑問はそういうことだったのか! と何度も膝をうつこと請け合いです。

 平易で読みやすい文章と、情報公開の巧みさでどんどん読み進めてしまう二幕ですが、ちょっとだけ注意。

 だいぶ重いです(笑)

 覚悟して読んでくださいね。けど、そういった重めのラブストーリーが好きな方なら引きこまれるはず。

 一幕の桜子は、一部記憶が欠落しているような描写もあるのですが、もしかしたら、知らずにいた方がいいのでは? と思わされました。


 二人は運命の輪を超えることができるのか?

 二人の恋の行く末を確かめるべく、お手に取ってみてはいかがでしょうか。自信を持って、お勧めできる作品です。

木立花音(こだちかのん)

登録:2022/2/22 23:03

更新:2022/2/22 23:02

こちらは木立花音(こだちかのん)さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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木立花音(こだちかのん)