恋してしまえば、年齢など関係ない――。
主人公、桜場雪穂は、両親の友人で、二十歳年上の秋山徹也のことが大好き。
一方、徹也も雪穂が母親のお腹の中にいる頃から溺愛している。この溺愛というのは「恋」だけにはとどまらないものがあるのだが、こう見ると両思いだ。でも、これがなかなかすぐにはくっつかない。
身を引いているのは徹也のほうなのだ。
雪穂は徹也にあんなことやこんなことをしたいと思っている。正々堂々と恋人になって、恋人らしいことをしたい。そして徹也には自分に手を出してほしい。そんな強い雪穂は徹也に対して様々なアプローチをかけていく。一途で、強かで、かわいらしい少女の姿を見ることができる。
しかし、雪穂のアプローチから、徹也は距離を取ってしまう。読み進めていれば、彼が本心ではどう思っているかが分かるのだが、なかなかその本心に素直に従おうとしない。
読者は雪穂のことを応援せずにはいられないし、徹也の本心を知れば「じれったい!」と思うだろう。「もう〜!」と叫んでしまうかもしれない。もどかしさがこの作品の面白い点である。
ぜひ、この二人を応援しながら、行く末を見守ってほしい。
完読を強くおすすめしたい作品である。
登録:2022/10/27 11:32
更新:2022/12/4 21:59