ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

検索条件

ジャンル:ホラー

Page9

条件をリセット
詳細条件で探す

観覧車、廻る、馬鹿みたいに

回り続ける呪いの永久機関

観覧車に自縛しちゃった悪霊と、それを説教する死神、そしてそこに現れるひとりの女の子の物語。 不幸とか恨みとか悪意とか不条理とか、そういうのがぐるぐる煮詰まっていくようなお話です。 特筆すべきはキャラクター、というか、彼らの立場やものの見方の違いです。悪霊と、死神と、いろいろしんどい女の子。まさに三者三様といった趣で、それぞれの立場に感情移入したり、あるいは反証を考えてみたりと、読み進めながら脳内でごちゃごちゃやる感覚が楽しいです。 中でも一番惹きつけられたのは、やっぱり視点保持者であるところの悪霊さん。彼の物事の考え方、存在の希薄さをそのまま表したような、なんとも悪霊らしい地の文の描写が好きです。 何もかもが無価値、と断ずるわりに、人間の幸せに対して強い執着を見せる。観覧車に留まりながら訪問者をただ機械的に呪う、その完全にパターン化された行動様式。きっと外から見たなら希薄で曖昧な状態であろう、この悪霊という存在そのものを、でも地の文を通じて内部から活写してみせること。 この〝もしかしたら曖昧かもしれない自律意思〟を、でもしっかり言語化した状態で読まされる、という、この読書感覚がとても新鮮でした。いわゆる「信頼できない語り手」、とは少しニュアンスが違うのですけれど(大目的という面では全然違う)、でも構造的な面白みとしてはそれに似ている部分があると思います。 そして、この感覚をたっぷり味わった上での、終盤の展開。主人公の内面の、その小さな変遷が楽しい作品でした。

5.0
0
和田島イサキ

山桜の怪

魅せられてはいけないものに囚われた子供の行く先

不登校の小学五年生の男の子と、漢服姿の謎の少年の交流を描いたお話。 ホラーです。ホラーへの持って行き方というか、この物語をホラーたらしめる要素がすごいです。 この世のものとは思えぬ美しさ、なんて言いますが、まさにそれ。少年の容姿が美麗であること、この一点で恐怖を表現してしまう。 特に中盤、うすうす正体を疑問に思いながらも、でも美しさに惹かれてのめり込んでしまう。このあたりの描写、惹かれてはならない存在に魅せられている感覚が、まさにホラーという感じで(しかもまだ何ひとつ不吉な要素があるわけでもないのに!)最高でした。 呪いやいわくのような噂もなく、また何か事故が起こるといったこともなく。いかにもな怖い要素はまだ何もないのに、でも物語がしっかりホラーの顔をしている。ちゃんとその先が『開けてはいけない扉』だとわかる。 そして、そのまま読み進めた終盤、いよいよその姿を表す明らかな怪異。その恐ろしさが、でも今度はそのまま彼の美しさを補強する材料になる。恐ろしいものに美しさを見出してしまう。この恐怖と美を渾然一体にしてしまう手法の、その手際にうっとりしてしまう作品でした。

5.0
0
和田島イサキ

1センチメートル

巨大娘/丸呑み一点突破の作品

ゲーム開発会社に勤める女性が、同僚の女性に秘めたる想いを抱いた結果なんかGiantess/Vore展開に突入するお話。 ある種の特殊性癖に完全特化した物語です。実は正確には「シュリンク」というらしい、というのをこの作品のタグのおかげで知りました(ありがとうございます)。 おそらく実質的にストーリーは無くても構わないタイプのお話なのですが、でもちゃんとパニックホラー風の展開をきっちり組み立てている辺り、非常に仕事が丁寧です。結びのループ的な余韻なんかはとても綺麗でした。 内容はもう本当に、巨大娘(正確には小人化)による丸呑みそのもの、といった趣。 といっても性的な描写はほぼなく、そのぶん痛みや苦しみのような描写に特化しています。残酷描写、といえばそうなのですが、スプラッタ的なグロテスクさではありません。どちらかといえばリアリティ重視の味付けというか、嗅覚や痛覚などの五感に訴える、その描写の鮮烈さが印象的です。 個人的に好きだったのは、「岩」「湿ったマット」といった表現からうかがえる、〝スケールが違いすぎて全体像を把握できない感覚〟への忠実さです。非常に映像的というか、この体感的に伝わるPOV感。作品そのもののコンセプトに対し、一人称体の特性(視点保持者の主観を通じて描かれるところ)をうまく活用する、この技巧というか芸の細かさが好きです。

5.0
0
和田島イサキ

ふるさとタクシー

誰にとっての『悪』なのか、『善』なのか。一度考えてみたくなる作品

ノベルアップ+の『悪』をテーマにした、自主企画に参加された作品です。 この作品は、日本だけでなく世界をも震撼させた某事件の施設があり、現在は市町村合併でなくなってしまった村に、当時珍しい名前の施設が作られた団体をベースに書かれた作品です。 主人公は不幸な人生だと思っていますが、『自分の不幸』は自分の中で『世界で一番自分が一番不幸』と考える事が多いです。タクシーの運転手(正体はそうではないかもしれませんが、便宜上ここではそう表現させて頂きます)はそれは違うと主人公に分からせます。主人公の思い出の地にタクシーを走らせて、彼の人生を思い出さそうとするのです。 特別な事がなくても、家族に囲まれ最愛の妻がいて、生きてきた人生が不幸な訳ではないと。自分の暖かな記憶を忘れてしまったのが、主人公にとって『不幸』だったのです。 この作品は、『悪』が何か明確には書かれていません。 普通に読むと、死のうと考えていた主人公にタクシーの運転手がもう一度生きる意思を見出した、どちらかというと『希望』の物語です。 タクシーの運転手は、何者なのでしょう。主人公の『心のふるさと』を見えさせる、催眠術や心理操作を使ったのでしょうか。それとも、本当に主人公の『心のふるさと』に連れて行ってくれたのでしょうか。 もしそうなら、これは魔法です。主人公がタクシーの運転手の言葉を信じても仕方ありません。 そして、この作品が表したい『悪』は何なのでしょうか。 もし例の某団体を模した団体の『光と命の国』に勧誘したのなら、この団体の未来は『悪』です。つまり、タクシーの運転手は主人公を悪に落とすだろう『悪の使い』になります。 ヒトコワ(ホラー)のジャンルになりますね。 古い事件の為、例の某団体が起こしたこと、施設、思考を知らない人には分かりにくいものかもしれない事です。ですが、私は個人的に好きな作風です。 苦しい時に助けてくれたものは、自分にとっては『善』です。たとえ全世界が『悪』だと非難しても、自分にとっては『善』なのです。 価値観の違いは、冷静になって見つめ直さなくてはいけない。 自分の幸せを大事にするのか、周りの人の幸せにするのが大事なのか。 人間は、弱い生き物です。弱っている時に囁かれれば、それに縋ってしまいます。 悲しくもあり、その後が気になるとても興味深い作品でした。 ぜひ、お読みになって『悪』とは何か考えてみてください。

5.0
0
七海美桜@小説書いてます

最近の「いいね!」

小説家になろう恋愛連載:66話完結

【完結】セクハラ貴族にビンタしたら社交界を追放されたので、田舎で人生やり直します。~一方、そのころ王都では~

難アリ家庭から逃げた先で努力し幸せを掴む物語

親の歪んだ教育方針により世俗に疎くすれていないヒロインのため色々とおぼこいが、助けてもらった先の家で色々と教わり、『自分』を出せるようになっていく変わりようが良かった。こういう、若干テンションのおかしいヒロインは好き。 ヒーローも少々珍しいタイプで好ましかった。 さくさくとテンポ良く話が進むため、じれじれな恋愛ではあるがイラつくほどの長さではなくニマニマと過程を楽しめた。悪党が断罪されているのもよき。 軽めですっきりと読了できる作品だった。

カクヨムファンタジー連載:98話完結

林檎と甜橙、女奴隷とその主人

まだ転がり続けるの? 意外な展開でぐんぐん読まされる

異世界からきた、とある男性の面倒をみることになったレティクラタ。彼の世話のため女奴隷を買うことにした。  …という感じで始まるこの作品。導入部は男性との恋愛もの?と思っていたのですが、話は思わぬほうへ転がり続けます。最後まで!  長短にこだわらないエピソードの区切り方や、直接的な表現をすることなく関係の変化を匂わせる描写など。いろんな箇所に効いている技やシリアスとコメディの緩急も見事で飽きさせず、どんどん読めてしまいます。 本当に面白かった。  設定もしっかり練られているようで、この先のエピソードや登場人物たちの細かい背景まで気になってしまう魅力的なストーリー。  軽い読み口が好みの方、少し深めの考察が好きな方、どちらにも楽しめる作品です。ぜひいろんな方に読んでみてもらいたい。おすすめです!

小説家になろう恋愛連載:30話完結

薬師の魔女ですが、なぜか副業で離婚代行しています

恋愛ジャンルになっているが、他者の恋愛に絡んだことを仕事としている物語でヒーローとヒロインの間に恋愛は始まっていない(今後もしかしたら始まるかもしれない? というような匂わせ雰囲気で終わっている)ので、ジャンルタグつけが間違ってる訳ではないが求めていたものとは違う……という複雑な読了感だった。 物語自体はさくさくとテンポよく読めて悪くなかったので、恋愛ではなくファンタジータグであれば気持ちすっきり終えられたのになあ……と思った。