私のお母さん
泣けるゴリラ小説。まさかゴリラ作品でこんな気持ちになるとは思いませんでした。 作品から感じ取れるのは『家族愛』。 そこに血縁も種族も関係ないんだなって、少女と母ゴリラが教えてくれました。 「私のお母さんはゴリラです」 という始まり方をする本作。 舞台は授業参観の発表会です。 少女が書いたその作文には、彼女の気持ちが正直に書かれていました。 突然父親の再婚相手としてやってきたゴリラ。 それに戸惑うのは当然のこと。 だって母親がゴリラなんですよ? ゴリラっぽい母親ではなく、ゴリラなんですよ? 小学生という多感な時期で抱えた少女の苦悩。それは想像を絶するものだったと思います。 現に、作文からも『母親がゴリラだなんて嫌だ!』という気持ちが伝わってきます。 けれど、母ゴリラの一生懸命娘を愛する気持ちは、次第に彼女の心を動かします。 言葉なんてなくても愛は伝わるんだなと思うと涙が流れてきました。 本当に素敵な作品でした。 …………というのが1周目の私の感想でした。 けれど2周目で気付いちゃったんです……父親のヤバさに!(笑) いやぁね、1周目から薄々は感じていたんですが、冷静に考えたらやばくないですか? ゴリラを再婚相手にするんですよ? 父親がゴリラを研究している人で、その研究の一環としてならまだしも、この父親マジでゴリラを再婚相手に選んでるんですよ! 『弟と妹どっちが欲しい』とか聞いてきちゃうんですよ! どうやって父親と母ゴリラは恋に落ちたのか……私はそのアナザーストーリーが今一番読みたいです! 『最初はあれだけ笑っていたのに、泣いてる人【も】いる。』 という作中の最後の方の文章。 【も】というのがミソで。きっと私のように汚れた保護者は『えっ……父親ヤバない?』と思ったのではないでしょうか……。 そんな1作品で二度楽しめる本作。心の綺麗な方は少女に心を寄せて涙を流し、心が汚れてしまった方は父親のヤバさに震え上がりましょう。 是非皆さんも読んでみてください! ゴリ泣ける作品。爆誕ウホッ!
- 作品更新日:2020/6/22
- 投稿日:2021/7/23
絵本の勇者
まず冒頭のシーンで爆笑しました!(笑) だって、こんな勇者見たことないんですもん! あれが強すぎて……笑いが止まらない。(笑) で、こんなキャラ立ちしてる勇者ってことは出オチかな……と思えば全くそんなことはなくて、そこからの予想外の展開に驚愕しました。 そして更にそこからのラスト……こんなん誰も予想できひんて!(笑) とにかく伝えたいことは ・キャラ立ちMAXな勇者 ・予想外の展開 ・作品タイトル この三点です。 この三点だけ頭に入れて、あとは作品に身を委ねるだけ。 きっとあなたも……笑うんだろうなぁ。
- 作品更新日:2017/1/23
- 投稿日:2021/7/16
命を救ってくれたのは鋼の肉体でした 。
『命を救ってくれたのは鋼の肉体でした 。』という作品タイトル。 タイトルを見た時、よもやこんな清々しい謎の読後感を味わうことになるなんて思いもしませんでした……。 作品自体はいわゆる異世界転生(転移)系。 そう、俺TUEEEEE系なのだ。 私自身こういったジャンルはあまり好んで読むことはないのですが、この作品は一味違う。 だって俺TUEEEEEじゃなくて、“鋼”SUGEEEEEってなるんですもん!(笑) また。スッと内容が頭に入ってくる文章は作者様の筆力の高さに他ならない。 彼が窮地の中、咄嗟に選んだスキル『鋼の肉体』。 それがなにをもたらすのか。 あなたの目で確認してほしい。 そしてきっとあなたも清々しい謎の読後感を味わうことになる……。
- 作品更新日:2019/1/28
- 投稿日:2021/7/20
徒然ww
皆さんまず、作者名を見てください。 次に作品名を見てください。 もうお分かりですよね。そうこの作者、そしてこの作品、ぶっ飛んでます!!! いやぁ、本当に笑いました。腹筋崩壊ですよ! そして、笑えるのはもちろんなのですが、この作品、タイトル通りあの吉田兼好の超有名作品『徒然草』の現代訳パロディーなんです! 清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』と合わせて日本三大随筆の一つと評価されているあの名作のパロディーなんですよ!!! でも『徒然草』なんて、名前は知ってるけど内容なんてさっぱり分からないよ。というあなた。 安心してください。知らなくても十分楽しめます。そして『徒然草』って現代風にアレンジすると、こういうこと言ってるんだなぁって、大人の階段を一つ登れます。 星マークのついた話は下ネタ回ですが、卜部先生の心に響く名言も沢山あるのでそこも必見です! と、ここで終わりかと思いきや、まだこの作品最大の魅力を伝えていません! 私個人としては、この作品の中に出てくる人物達を“登場人物”とか“キャラ”とは呼びたくありません。 それは彼ら、彼女らがこの作品の中で間違いなく“生きている”からです。 主人公である卜部先生や彼が勤務している吉田中学校の生徒のみんな。 思春期ならではの悩みにぶつかりながらも彼らが共に成長していく姿は、ヒューマンドラマの極みと言えるのではないだろうか。 笑って笑って、時には泣いて。 彼らと一緒に青春を謳歌してほしい。 間違いなく心に響く特別な作品。 後悔させないので、是非一読くださいませ。
- 作品更新日:2021/3/27
- 投稿日:2021/7/22
はえあるはる
まず、ウェブ小説を読んでいると、時々自分にとって特別な作品に出会えることがある。 この『はえあるはる』も私にとってそういった特別な作品となった。それを知っていただきたい。 短歌をこよなく愛する女子高生、及川葵はスマホで見つけた短歌アプリで、日々心に浮かんだ短歌を投稿していた。 そしてある日そのアプリで、毎回反応をくれる『中目』というハンドルネームの人物がいることに気付く。 『中目』がくれる【いとをかし】というSNSで言うところのいいねや、葵の短歌に対しての返歌はいつしか彼女にとって特別なものになっていた。 そして……。 というようなあらすじの本作。 まず、ウェブ小説を書いている作者の方であれば、この葵の気持ちに激しく共感していただけるはず。 自分の書いた作品に毎回、感想やいいねをくれる方がいたら、その人の反応がとても嬉しいし、どんな反応をしてくれるか楽しみですよね。 その“共感”という点で本作は本当に感情移入しやすく、葵の感情に一喜一憂してしまう。 そしてうたわれている短歌にも注目していただきたい。葵や中目の短歌や返歌に細かな心情までもが描かれており、想いがしっかり宿っているのが分かる。 素晴らしい点は沢山あるのだが、この部分が特に私の心を大きく揺さぶった……。 ーー想いは短歌となり ーー短歌は奇跡を生み はえあるはる 交わす短歌に 想いが宿り はえあるはる 想いは奇跡を 手繰り寄せ はえあるはる 想いを寄せた その日から この詩をもって私のレビューとさせていただきたいと思います。 間違いなくあなたにとっても特別な作品となると確信しております。 是非一読くださいませ。
- 作品更新日:2019/6/21
- 投稿日:2021/7/16
私、メリーさん。47日後に逢いに行きます
『私、メリーさん。今、〇〇に居るの』 皆さんご存知の通り、メリーさんと言えば、電話越しのこのセリフですよね。 そして段々とその場所が近付いてきて……最後は自分の後ろに。 そのジワジワと迫りくる恐怖を与えるのがメリーさんの、メリーさんとしての役目だと思うのです。 それを踏まえた上でこの作品も読み始めるわけですが……。このメリーさん、何かがおかしい。(笑) 突っ込みどころ満載のメリーさんに最初は『ブハッ! なんやこれ。メリーさん、ちゃんと役目果たして怖がらせなアカンやろ!』という気持ちでいっぱいでした。 しかし、最初からこのメリーさんは、このメリーさんの役目を果たしていた。最後まで読んでそれに気付いた時……。 47日後 「私、メリーさん。今、アナタの後ろに居るの」 振り向いた先に何が待ち受けているかは、その目で確かめてほしい。
- 作品更新日:2018/7/28
- 投稿日:2021/7/19
彼ぴっぴしゅきしゅきビーム殺人事件
「彼ぴっぴしゅきしゅきビーム殺人事件」 もう、タイトルからしてエグい破壊力ですよね。 けれど本文を読んでみれば……タイトルを超える衝撃の数々。パワーワードの宝石箱。真面目に不真面目に! というスタンスに痺れること間違いなし! もう、こんなんずるいわぁ! と思いながらも、この作品に恋してる自分がいて……レビューを書かずにはいられませんでした。 好きな人を想う気持ちは時として狂気で、凶器に変わる。 この恋の行先を見なければ、あなたはきっと後悔する。
- 作品更新日:2021/6/2
- 投稿日:2021/8/24
サマースマイル・アゲイン
平成最後の夏を描いた、痛くて切ない、ちょっぴり歪んだ青春恋物語。 主人公はちょっぴりパッとしない高校生の小秋。そんな小秋と親友の美少女、真夏との青春の1ページを切り取ったような本作。 青春小説特有の複雑な心情やエネルギッシュな躍動感がこの作品からは感じられ、胸がギュッと締め付けられたり、ドキドキと高鳴ったりします。 大人になった今だからこそ感じられる、青春の懐かしさがなんとも心にしみます。 そして物語の構成も圧巻で、約2万文字で読者の気持ちを最高潮に高めてクライマックスを迎えさせてくれます。 素敵なイラストも必見! 田舎の駅から見える爽やかな海。 青い空。 白い雲。 二人の女子高生。 このイラストが読後、違うものに見えてくるんだから作者の演出は憎い。 レビューを書いている今もまだ胸がドキドキしています。 心を動かす作品。是非あなたにも読んでほしい。
- 作品更新日:2019/3/3
- 投稿日:2021/7/16