【完結】歪みの旋律~わたしが愛を知るまでのレッスン~
作品紹介 札幌に住む瀬良 理乃(せら りの)は、二年前に双子の姉を亡くした時から、趣味のバイオリンを弾くことなく過ごしていた。 姉の恋人であった上江 隆哉(かみえ たかや)と一夜の過ちを犯した頃より彼との関係もただれ、ほぼ毎日、酒に溺れる隆哉を介抱するルーティンを続けるだけ。 そんな折、理乃は自宅近くに開設した音楽教室を発見する。 天才演奏家の宇甘 貞樹(うかい さだき)にバイオリンを習うことができれば、隆哉も更生し、またピアノを弾いてくれるのではないか―― そう思い、宇甘の教室へ向かう理乃。 しかしそこで、レッスンを受ける代わりに「恋人のふり」をするよう貞樹から頼まれてしまい……。 歪んだ愛を抱くもの、過去という愛に囚われるもの、捧げる愛を見つけたもの。 ――これは、様々な愛をまさぐる物語。~作者作品紹介より~ 豊富な語彙に流れるような文章は、気持ち良く読み進められました。1万文字のお約束でしたが、物語にひきこまれ最後まで読了いたしました。 クラシック音楽は、学生の頃に学校の授業で聞いたものしかしらないレベルの私でも、わかり易い説明で違和感なく読み進めることができました。 主人公理乃に圧し掛かる姉の死。姉の恋人だった上江との過ちが足かせのようになり、2年の時を経てもその場に留まらせている様子は、読んでいて胸が切なくなります。 貞樹と出会う事によって、だんだんと自分を見つめ直していく理乃。主人公の心の成長の流れがとてもスムーズで、共感を覚えました。 大人しい主人公に対して、脇役での友人や貞樹の妹が、元気よく生き生きと描かれているのも良かったです。 物語が落ち付きこのまま平穏に終わって行くのかと思われた所で、貞樹に……。 起承転結がしっかりとしていて、安定感があり安心して読み進めることができました。 その後の甘々なシーンに、つい顔がほころんでしまいました(笑) 良質な物語をありがとうございます。
- 作品更新日:2022/5/21
- 投稿日:2022/9/19
マジック・ラプソディー
これから語られるのは、永い時を経て紡がれる、恋と波乱の物語―――― 魔法と科学が入り混じる歴史を歩んだ世界。 魔法を扱う者たちは『魔導士』と呼ばれ、その魔導士を目指す者たちは日本にある世界唯一の魔導士育成校・聖天学園で己の技を磨くため、日々切磋琢磨していた。 そんな学園にある一人の少女が入学する。 少女の名前は豊崎日向。彼女は、ある特殊な魔法が使えてしまうようになった魔導士であった――。~作者作品紹介より~ 物語の冒頭、緊迫のシーンから始まる。 それは、余計な効果音の無いショートムービーを見ているようで、滑らかな文章が読みやすく物語に引き込んでいく力がありました。 魔法学園へ向かうシーンでは、新たな出会いが甘酸っぱい雰囲気で描かれ、物語のこの先への期待感を持たせていいます。 ファンタジー作品を読むのが苦手な私ですが、本文中に出て来る世界観の情報がわかり易くまとめられ、無理なく読み進めることができました。 学園モノという特性から登場人物も多いが、それぞれ個性があり、魅力的です。どこか心に傷が有りそうな雰囲気を漂わせる悠護、魔法の能力を知ったばかりで使いこなせていないが明るく前向きな日向。そして、ふたりの周りを取り囲むクラスメートや主人公の兄も好感が持てます。 最近、読んだファンタジー作品の中では一番面白い作品だと思います。
- 作品更新日:2023/3/20
- 投稿日:2022/9/21
公爵令嬢の裏稼業
作品紹介 アーシャは建国からある由緒正しい公爵家の一人娘だ。 由緒正しい公爵家は表の顔。裏では帝国に仇なす人間を排除する暗殺家業を営んでいた。 後継者である彼女もまた暗殺者である。 ある日彼女は、召喚された異世界人のアルバートを監視する大役を皇帝から命じられる。 太古の昔使われていた魔法を使用するアルバートに危機感を抱いた皇帝は彼の暗殺を目論み、アーシャへの命令を監視から暗殺へと変更した。 しかし、実力者である彼を早々に始末する事は困難である。 虎視眈々と始末する機会を伺うアーシャだったが、その最中に見えてきた一つの可能性。 自分の目に見えるものが全て。 そんな考えのアーシャは初めて見てしまった可能性により、大きく信念を揺らがされてしまう。 揺らいでしまった彼女の刃がアルバートへ届く事はなかった。 盲目に信じていたある事を否定された彼女は、真実を知るため奮闘する。 一方アルバートは、自身を害するはずの彼女にとろけるような甘い言葉を贈り、アーシャの心を溶かしていく。 彼女に猛アピールをしつつ、懐に入れた仲間と冒険者として生活を送っていた。 そして、ある事件をきっかけに『英雄』となる道を歩む事となる。~作者作品紹介より~ 世界観が細かく描かれ素晴らしいですね。私は普段異世界ファンタジーを読まないのですが、この作品は作者様が創った世界を不足なく読者に示せていると思います。街並みや人々の描写が細かくて、文章を読んでいるだけで情景が鮮やかに浮かびました。 人物描写も容姿だけでなく服装まで細かく描かれ、異世界ファンタジーがお好きな方ならガッツリと読み込むことが出来る作品ではないでしょうか。 ヒーロー役のアルバートのイケメンぶりも、想像すると楽しくなります。そのアルバートが溺愛なんて、アーシャが羨ましくなりそうです。
- 作品更新日:2023/7/25
- 投稿日:2022/9/24