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カクヨムファンタジー連載:64話完結

妖魅夜暁

 ありふれた高校生活を送っていた幼馴染三人――離宮涙人、延生凱斗、志場神羽花――が、ふいに現れた異形に襲われ、『妖魅』と呼ばれる妖怪の世界へと引き込まれていく、現代ファンタジー。  園芸を愛する涙人、野球に情熱を燃やす凱斗、病弱で疲れやすい羽花。性格も好みも違うけれど仲の良い三人は、神戸ルミナリエの初日に阪急神戸線・花隈駅にて、非常に奇妙でおぞましい姿の怪物に襲われます。  少年二人は羽花を守ろうとするも、得体の知れぬ相手に戦うすべもなく大怪我を負わされてしまい、そこに現れた年配の男性に助けられるのですが。その後、三人は、人生を左右する決断を迫られることになるのでした。  物語は三人それぞれの視点を交代しながら、妖魅と関わることによって生じた少年少女の内面変化を、丁寧に書きだしてゆきます。  写実的で世相を反映しつつ描かれる現代社会の裏側に、現代に生きる妖魅たちの世界が息づいている。そんな日常と隣り合わせの怪異が現実に侵食してゆく様は緊張感がありますが、登場キャラたちはやわらかく個性的で、女性キャラは可愛らしいです。  冒頭に現れた異形が、どんなふうに物語と関わってくるのか、少年少女はどんな決断をくだすのか、興味は尽きません。ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2021/2/7
  • 投稿日:2021/7/27
カクヨムファンタジー連載:25話

魔王の棲家~天才魔術師と老いた英雄達の物語~

 天才を自負する魔術師の青年が派遣された【魔王の棲家】。  どれほどの強敵が待ち構えているのかと心躍らせる彼だったが、そこで待ち受けていたのは、老いた英雄たちを介護し暴走を食い止めるという、予想外の毎日でした。  冒頭から始まる主人公セイルの苦悩は、高齢化が進む社会ではありふれたものかもしれません。才能に恵まれ、未来を夢見る若者が、意思疎通も困難な(しかし能力は魔王級な)年配者たちに振り回される様は、ままならない現実を想起させます。  しかしどんな境遇に置かれたとしても、心のありようで状況は変わってくる……ということを、セイルは少しずつ知っていくのです。  今は年老いて、何もかも「わからなく」なっているとしても。  過去の栄光を忘れられず、頑なになってしまっているとしても。  家族と過ごすことをあきらめ、閉ざされた施設を終の家として受け入れているとしても。  彼らはやはり、英傑たちなのでした。  小さな事件が波紋のように、大きな事件へとつながってゆく。丁寧に編まれた伏線を回収しながら盛り上がるクライマックスは、序盤の物悲しさを忘れさせてくれるほど躍動的です。  そして、往年のファンタジー好きなら判るであろう「格好いい演出」が至る所に織り込まれているのも、熱い。  全体で7万文字ちょっとという、サラッと読み切れる長さの長編です。読み終えたあとにはきっと、胸が温かくなる感動が待っていることでしょう。  ファンタジーにあまり触れたことがない方も、往年のファンタジーにどっぷり浸かって育った方も、楽しめる作品です。ぜひお読みください。

5.0
  • 作品更新日:2020/5/4
  • 投稿日:2021/7/27
カクヨムファンタジー連載:122話

物語終了課

 架空の公務員職「物語終了課」で働く三十路の係長が、作者が未完で投げた作品の結末に頭を悩ませたり、暴走した物語に飲み込まれたり、現実の個性的な人間関係に振り回されたりする、メタフィクション風味のお仕事ドラマです。  終了できなかった物語はまれに暴走し、周囲を飲み込んでしまう……という設定の元で、未完結の物語に結末をつける公務員の奮闘がコミカルかつ文学ネタたっぷりに描かれてゆきます。近代から現代の有名作家や作品にまつわる小ネタとか、小説を書く読むする時のあるあるネタなど、作者様の引き出しの広さが物語に味わいを添えていて、飽きさせません。  主人公の本間氏はとてもお人好しで苦労性でちょっと不運スキル持ちですが、自己主張の強い新人や暴走災害的な友人、強引な女子高生……などに振り回されながら頑張る姿は、微笑ましいです。  各章ごとに物語が纏められた短編連作風の長編なので、サクサクと読めますし、完結していますので安心です。  ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2022/6/1
  • 投稿日:2021/7/24
カクヨム恋愛連載:65話完結

白銀の狼

 村のお荷物として蔑まれていた銀狼の少女と、村一番の強さを誇る黒狼の青年の、ひたむきで波乱に満ちた恋愛ファンタジー。  銀狼のレティリエは、狼の姿になれない女の子。彼女が恋する黒狼のグレイルは、村で一番強いと言われ将来を嘱望される青年。  力が全てとされる人狼の村では、狩りに加われないレティリエの想いは口にすることさえ許されないものでした。  祭りの日、レティリエは村のすぐ側まで来ていた人間たちに捕まってしまいます。異変に気づいたグレイルが助けようと追いかけるものの、大怪我を負わされ、彼もまた捕まってしまい――。  見どころは、主人公であるレティリエの勇気と知恵、そして後半になるにつれ磨かれてゆく演技力でしょう。想いびとであるグレイルは身体も大きく強い狼ですが、それでも人間たちによって追い詰められてしまいます。  度重なる窮地を、レティリエがどう切り抜けてゆくか。彼女につらく当たってきた村の狼たちにどう向き合っていくか。後半の展開には心を揺さぶられます。  作中では、狼社会の価値観と、他種族の価値観、そして人間社会の価値観が、繰り返し対比されます。特に、人間側が人狼(や亜人種族たち)を獣やペットとしか見ないゆえの対立構造が徹底的に貫かれていきます。  人狼と人間、両者の心は一切重なり合わず、それゆえにレティリエは一人きりで戦うしかありません。しかしその戦いは、彼女自身が自分の価値を知る切っ掛けでもあります。  グレイルは元より好青年なのですが、狼社会の風習を疑問に思わなかった彼も村の外の価値観に触れることで、少しずつ変化してゆくのです。  シンプルなストーリーで過不足ない描写、魅力的なメインキャラとブレない悪役たち。  躍動感あふれる物語です。ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2021/10/21
  • 投稿日:2021/7/24
カクヨムファンタジー連載:44話完結

マリオネットインテグレーター

 新入り騎士の少年カートと人形遣いの魔導士ピアを中心として描かれる、謎と企みと、(主人公以外の)恋の三角関係がもつれあう冒険ファンタジーです。  丁寧な伏線と、人物それぞれの人間関係が、物語の味わいを深めていました。  冒頭で畳みかけるように事件が起き、年代が飛んで主人公が登場、という構成になっていますが、この事件それぞれが後の謎を解き明かすための鍵ともなってきます。  主人公カートが登場するのは第一章の第五話ですが、彼がとても良い子で可愛いのです……!  品行方正で礼儀正しく、目上の者に敬意を示し、理不尽な仕打ちにもじっと耐え、――と、正直この辺りで「我慢しちゃうの!?」という気持ちが湧いてくるのですが、カートのそういう姿勢が変化してゆくのも、この物語で描かれてゆく少年の『成長』だったりするわけです。  全体を通して、登場人物たちの言動や思想には理由があり、意味があり、終盤の謎解きターンで真相がぐいぐいと明らかになってゆくのが本当に面白い。謎と伏線も複雑すぎることはなく、適度な推理が楽しめます。  テーマのはっきりした物語でもありますから、読み進めていく中でふと手を止め、作中で問い掛けられることを考えてみるのもよいでしょう。  王道ながらもじっくり深く楽しめる、少年たちの成長物語。文庫本一冊程度の完結作品です。ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2021/4/11
  • 投稿日:2021/7/24
カクヨム恋愛連載:58話完結

追放王女は吸血鬼騎士に連れられて、もふもふたちと祖国奪還を目指します!

 コミカルでライトなテイストの、恋するお姫様と吸血鬼青年の関係進展を軸にした、恋愛ファンタジーです。  虚弱で療養中の王女が、たぶん初恋の人だったと思われる従兄の青年に裏切られ、極寒の海へ投げ出されるところから物語は始まります。目覚めた場所は見知らぬ家、薄着でベッドに寝かされて、部屋に入ってきたのは吸血鬼っぽい謎の青年――?  恋破れ、国を追われ、見知らぬ人に囲まれていても、彼女はめげません。  あまりに綺麗な吸血鬼のお兄さんに心惹かれつつも、家族やお供の安否を確かめるため、果敢に行動を起こします。  そんな彼女の道行きを助けるのは、それぞれに特技を持つ個性的な仲間たち。もふもふ成分も満喫できます。  痛ましい事実も乗り越えて、裏切りの刃もはねのけて、雪深い道を進むお姫様の行手には、どんな真相が待ち受けているのでしょうか……?  シリアス控えめな救国恋愛ファンタジー、ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2021/5/19
  • 投稿日:2021/7/25
カクヨムファンタジー連載:109話完結

ブラッディ・ローズ ~亡国の失われた秘宝~

 新米冒険者であるヒロインと、特殊な過去を持つ個性的な仲間三人の、ドタバタ冒険ラブコメ風ファンタジー。  主人公であるレフィスは、白魔法(治癒・結界系)しか取り柄のない女の子。冒険者になりたいと足しげく通っていた酒場でついに、念願の初ミッションを受け取ります。意気揚々と飛び出した彼女でしたが、それは最悪の「取り違え」だったのでした。  ちょっと不運で世間知らずな、けれどへこたれない少女と、彼女に巻き込まれたベテラン冒険者たちの、友情や恋の行方がコミカルに描かれていて、飽きさせません。  事件にハプニングに喧嘩にすれ違い、日々を積み重ねて信頼と友情(そして恋心!)を育んできた四人の冒険は、ある惨劇を境に大きく変化します。そこから始まる怒涛のシリアス展開は、この物語世界にうごめく陰謀を少しずつ明らかにしていくのでしょう。  全体的にテンポよく軽快で、重要なシーンでは情緒的、楽しく読めてじっくり浸れる作品です。各章ごとに事件がきちんと纏められており、読み進める上でも目安にしやすいです。  最新話まで一気読みでも、一日一章ずつのお楽しみにでも、楽しめること請け合いです。ぜひ、ご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2022/10/11
  • 投稿日:2021/7/25
カクヨムヒューマンドラマ連載:71話完結非公開

廃棄寸前な私は社畜メシでマリアージュを探す〜ざまぁよりうまぁを添えて〜

 フランクでテンション高い一人称で描かれる、アラサー独身薬剤師のお仕事・日常・恋愛ドラマ。そこに美味しい「社畜メシ」の飯テロが添えられた、サクサク読める現代モノです。  お仕事に追われ、出会いの機会にも恵まれず、独身の毎日を美味しいご飯を食べることで満たそうとしている主人公・紫愛さん。ある日、人手の少ない老人ホームへ、調剤のヘルプに行かされることに。わりと理不尽な指示を聞いてガックリ落ち込む紫愛さんでしたが――。  各章ごとに物語が綺麗にまとめられており、紫愛さんの仕事上、プライベート、など、いろんな角度で人間関係を描きつつ、それぞれにご飯を食べるシーンが添えられます。出てくる人物たち皆(面白い愛称が付けられるほど)個性的で温かみのある人たちです。理不尽な上司も、何となく憎めない……?  ふわっと差し込まれていく恋愛模様は、これから本格的に発展していくでしょうか。  深夜や、お食事前に読むのはちょっと危険です。出てくるご飯は身近な物が多くって、「食べたい……」という気持ちを刺激されますよ!  美味しいお酒をお供に、ぜひ読んでみてください。

5.0
  • 作品更新日:2021/9/25
  • 投稿日:2021/8/8
カクヨムその他連載:126話完結

C-LOVERS

 クールな道化師、彼に憧れ芸人を目指す女性、片付けの苦手な探偵、イギリス産まれの賢い双子、引っ込み思案な女子高生。  個性豊かな六人が織りなす、お仕事系ヒューマンドラマです。  ブランド服に身を包み、クールでスタイリッシュな芸風で世界を魅了する道化師パフォーマー、YOSSY the CLOWN。通称ヨッシーと呼ばれる彼のもとに弟子入りを希望し押しかけてきた、服部若菜という女性。  弟子入りをあきらめさせようと説得していたヨッシーは、彼女の「得意分野」に興味を持ち、とある人物を紹介することにします。マジックを教えてもらえるはずが、なぜか紹介された場所は古びた探偵事務所で――?  コミカルに綴られるストーリーが、いろんな角度から六人の関係性や、それぞれの過去、今の心情、隠された心の傷を少しずつ明らかにしていきます。  誰もが過去に縛られ、臆病にうつむきがちな心を隠していて。  けれど勇気を持って、明日に立ち向かおうとしている。  誰かの得意が、誰かの不足を補って、一人では成せない「大きな夢」を現実のものにしていく。  一人一人の不器用さや、優しさが愛おしい、癒しにあふれた物語です。  家族愛、友情、恋愛の要素も各所に盛り込まれていて、じっくりと浸れる群像劇風のヒューマンドラマ。ぜひ、ご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2021/6/10
  • 投稿日:2021/7/25
カクヨムSF連載:75話完結

緑の楽園

 大学生と紀州犬が異世界転移(ぽいもの)をしてしまう、というもので、とても読みやすく安定感のある一人称の作品です。  時おり挟まる小粋なユーモアについついニヤリとしてしまいます。  犬(それも日本犬)好きには堪らない、クロの犬らしさがたいへん愛おしい。  最初の頃、言葉が通じるにもかかわらず、主人公のリク君は飼い犬のクロと上手にコミュニケーションできないのですが、犬飼い経験者的には「それ、犬だからだよッ」と画面外から声援を送りたくなってしまいます。  そんな主人公のリク君はごくごく平凡な大学生。転移した先で披露できる特技や技術などがあるわけでもなく、その世界の人々に助けられてながら謎を探ることになります。  この国は子どもたちがとてもしっかりしていて、現代日本から転移したリク君の無力さが際立ってくるのですが––––、そこで魅力なのは、どこまでも誠実なリク君の人柄です。  彼はどんな相手でも誠実に対話を求め、理解しようとし、その上でできることをしようとする。その姿勢は読んでてとても気持ちが良いです。  心中のツッコミもセンスが秀逸。  ラストは、犬を愛し共に生きた経験を持つ者であれば胸をえぐられる、そんな感動が待ち受けています。  すべての謎が明かされ、すべての役目を終えたとき、リク君だけでなくこの物語を見守ってきた読み手の側も、そのひたむきな想いに気づかせられるでしょう。  犬好きな方、SF好きな方、歴史が好きな方、ぜひご一読をオススメします。

5.0
  • 作品更新日:2018/11/10
  • 投稿日:2021/7/26