松竹物語
こちらのレビューからひょいっと入って読了いたしました。 現代から始まり過去に向かっていくので、2話目から「あれ?急に遥か昔になった?」「あぁそうか、竹取物語か」と、本当によく熟知しているなと…ですが、現代→過去→しかし錯綜しながら→現在と、迷うのは何も心情ばかりでなく、それが淡々と書かれているのでわかりにくいが、わかりやすいのです。 語彙のちょっとした遊び、象徴も凄くよかったなぁ、竹槍から刀になったり(笑) 恐らくハッピーエンドです。後半の前半までは「無色という色」という感覚だったのですが、キラリと光って結へ向かう。大変趣のある作品でした。文量も、短編、くらいです。しかし、なかなか深かった。良作ありがとう。
- 作品更新日:2021/3/16
- 投稿日:2021/12/23
羊
最初は痛快というか、「んメタモルフォーゼ…」だとか「メンチカツ…」だとかに大爆笑をしていて、コメディ、そうなんだよなこの作者様、かなりユニークなんだよなと、リスペクト一言紹介レビューをサイトに(こちらサイトさん、現在ではその機能は“リスト”になっています)書いたのですが、この度ふらっと再読してみました。 というのも当時、面白っ!の中に何か引っ掛かったものがあり、一言でまとめるのがちょっと…と、「コメディ」に分類されていたのでそっち推しで書いたのですね。 その後優秀賞を頂いたようで、おめでとう!とまずはこちらにて。 そもそも引き出しの多い作者様なのでこの言い知れなさは果たしてなんだろうか、これを期に読み返しふと浮かびました。 この羊、一体なんなんだ?と。 夢かと思ったり、いや、やっぱり寝る前の“一日総括か”と思ったりもしましたが、考えてみたらこの羊、ずっといるんだよなぁ。 「犯人はお前だ!」もある。あれ、実はこれコメディじゃないんじゃないかと…色々な先があるなと思い、なるほど、それで「コメディ紹介ではなんかもにょもにょする自分がいたのか」と、ついさっき新たに気付きました。 3,000時ほどでサクッと読めますので、何読か回ってみていただきたい作品。ぐるぐる、不眠の時なんかに…(笑)
- 作品更新日:2018/4/18
- 投稿日:2021/12/25
毎朝、毎晩、夢を見る。
誰のための物語だったんだろう、と作者様が作品ページに書かれていましたが、本当にその通りだと思いました。 結婚ラッシュの年頃でダラダラと同棲していると、焦りがあるというのは経験したことがある人ない人で多分半々です。この微妙な距離感が肌で伝わってきました。 何故後ろめたい気持ちでいなきゃいけないんだろうか、というのを象徴している物がある。道具の使い方や仕草がとても鮮明で秀逸。さらっと読める文章かと言えば、心情が突き刺さるので、そういう意味ではさらっとしていないが、昨今の「サーっとなぞるだけで意味がわかる文章」の読み方をしていると、この良さには気付けない気がする。 短編なのだし、概要を一言で言ってしまえば「結婚ラッシュの女の悩み」なのかもしれない。それでも、1万文字程あるのは何も無駄な文ではない、まぁ、とても機密に書かれているのだ。しかし、くどくない。 空白の中のサブリミナルもとてもわかりやすかった。だからよりグッと迫ってくる、目の前の事象に。 大変良作でした。凄い。☆5いきたいが、いやぁ胸に迫るな、SNSでいうところの「いいね押して良いのか?」感覚に至りました…。 良作、ありがとう。
- 作品更新日:2018/6/11
- 投稿日:2021/12/25
藍 深紅 ……
私は以前、連載終了したあとに読んだので、いま連載中であったとしても完結するはずです。確かあと2/3あったかなぁ?(10万字行っていたような、行っていなかったような、くらいの読みごたえ) 【現在公開中分のご新規さん向けレビュー】 青春の生々しさ、家と学校では違う顔、と言う強弱がリアルです。文体が淡々としているので、あっさり登場人物へ移入することができます。 ボトルフラワーや「涙の味、わからへんかった」等、多感な女子高生、それが淡々と続く日常、ずっとなんもない日常をこうも淡々と続けられるとな…ではないんです。青春って、皆当事者の頃はなかなか拾わなかっただけで、大人になると面白く、拾えばキラキラしていますよ。そのポイントをがつっと押さえてあり、じわじわとくる。 思春期独特の、恋愛が少し怖い(大人の勇気のなさとはまた違う)女の子と、どないしたらええんやともがく男の子。上手く行っても行かなくても(2021/12/26現在57p)切なさ、暖かさ、殺伐さがある作品です。 【作者様への言葉】 以前読んだ頃より、遥かに達観している気がしました。以前も誰に寄っているのかな、まぁ、主人公の背中なのですがもう少し離れたような。これを良いとするか悪いとするかは読者様次第かなぁと、間口、司会は広くなったような気がします。当時の感じもかなり生々しく胸につまりましたが、これはこれで作者様のセンスが折り交ざり、それでも「うるさい作者主張」ではないので、本当に作品と共に歩んでいるなと感じました。
- 作品更新日:2022/1/26
- 投稿日:2021/12/26
永い春の行く末は
か。いや、そういうわけではないだろう。 情というものほど厄介なものはない。そしてこれは「怠惰だな」と自己満足かつ自分勝手に決めつけてしまいがちだ、こういった点が恐らく「厄介」に当たるのだろうと思う。 「やっとの思いで付き合っちゃいました」の、人生最大の盛り上りで“物語”は終了してしまうケースが圧倒的に多い。何故、物語を読んだあとに「でも現実と違いますわな」と離れてしまうのかなと考える。その先の生活がまるでないかの如くだからかもしれないなと考えた。 ……いや、まぁここからが私の主観です。 あるよなぁ~熟年って…この、なんだかわからん変な気遣いとか~!と勝手に自分に持ち帰りました。あれ、これレビュー文字数足りるかな。 脱帽だ…と思ったのは、そうなのよね、男って曲げられないのに神経細いから、そう、レズビアンとは全く違うモダモダが生まれちゃうのよねぇ…と。 アットホーム型(世界一優しい人種と私は呼びますが)バイセクシャルさんには、一方向で進んで行く相手の機密さってものが微妙に拾えないのだが、アットホームなだけあってサバサバしていたりしちゃって…(多分間口は広いんだろうが…)と、←この範囲はBLではない場所。でも、マイノリティの摩擦は場所の違いだけだったりする。根本は同じセンチメンタルとハッピーがある。 で、こちら作品はBLなわけでして、最早直球で「一方向で進んでいく男に於いての同性愛~晩年型~」をバチっと書けていていやぁこれほどピッタリなジャンルでリアリティ、なかなかないよなとなんか…凄く感銘を受けました。(ちょっと何言ってるかわからなかったらすみません) 春ですかね。秋も春と似ているような気がします。でも、桜は年々良さがわかるようになる。当たり前に「10年単位」と相手を眺めるのが人生奥深き。 私は最後、彼と共に近間の桜を眺めた気に浸れました。良作ありがとう。 ps.後記 このレビューは、オノログさんの対象でなかったサイトに直接去年に書いたものだが、今日(2022年1月31日)ここに書くまでに後日談がある。自費出版されたのだ! しかも現在、番外編プロットを練っている最中だそうだ。楽しみはまた増える。春は、もう目の前です。
- 作品更新日:2022/7/7
- 投稿日:2022/1/31
cranberry soda
表紙が可愛らしいのですが、一頁目から顔面に何かか直撃し「えっ!?」と、まずギャップで1シュワきます。是非ともお水を飲みたくなりますね。 そこからどんどん世界観が舌に馴染んで行き、甘酸っぱさや、作品の味がわかってくる頃合い、もう一杯飲もうかなという瞬間って、またフレッシュさを思い出しますよね。 5ページほど、ホントに「一杯引っ掛けよか」とフラッと「1.5件目」のような感覚で入るバーみたいなお店ってありますよね。あの感覚に至りました(酒飲みしかわからないかな…笑)ほろ酔いで丁度いいバランス。そんな作品です。
- 作品更新日:2022/4/21
- 投稿日:2022/4/22
呼吸する貝骸
タイトル、正直これだけで語り尽くしている気がする。 作者さん配慮で所謂“地雷”と呼ばれるだろうものが概要欄にありますが、まぁ、私の主観では概要にはそれだけの意味しかないだろうと思いますので、8,000字、読了14分とサイトさんに書いてありますから、身構えすぎることもなくさらっと読んでもぐっと読んでも良いのではないかなと思います。 【読み専視点感想】 “ふわっとしているという情景のわかりやすさ”が世界観に繋がっている気がします。切なさ、海、等といった交じり合い。これが喧嘩をすることもなく1本、として出来上がっている。 深読み派さんもさらっと読み派さんも恐らく満足するだろう文量だと思います。(深読み派さんは何回か読むとしても、丁度自分にストンと落とせるのかなと思います) “余韻”是非嫌わないでください。読んだ方各々で多分、完結してくれるだろうな、という作者の委ね方、客観的にみても完結はお持ち帰り、出来るんじゃないかなぁと個人的に思います。恐らくそれが読者と作者の個性です。 恐らく、こってこてにジャンルに縛られ「これ、BLか…」と引き返したらそれは勿体ないかなと思います。却って、このレビューを読みこってこてに「BLじゃないんかいっ!」と去ってしまう方へも、勿体ないと思いますし、というふわっと世界観。 交じり合い、しかし何故喧嘩にならないのでしょうかねという伏線を感想で勝手に撒いておいてからの、 【書き手視点感想】 表現力が幅広い。ふわ~っとしたものをしっかり書く文体、これ結構大変なんですよね…。てゆうかやはりタイトルが良くて。 「プロットォォオ!こてこてぇぇえ!起承転結ぅうう!」 という固定観念で多分、作ってないんじゃないかな、というのは私の邪推ですが。でも、だからといって纏まりがないわけではなく、AもBも表現法の一定化と言葉遣いがあるので、本当に「フィルムケースだなぁ」と思う。 8,000字でこの纏め方、感服…脱帽…。 私の感想文章力がこてんぱんにされている…こんなにカッコつけて書いてますが本当は一言「すげぇ…」しか出てこないんですよねー、ただ個人的分析を勝手に書いているだけで、現在2022/8/20の6:25現在…。不貞腐れそうなくらいの作者さんパワー…。私も拾いたいな、そういうの…。 以上、長々してしまいましたが、感想でした。是非読んでください!
- 作品更新日:2022/8/20
- 投稿日:2022/8/21
【改稿前ver.】キミの声だ、ってわかるんだ
ずっとやりたかったことを否定され~ふとチャンスがめぐってきて~(承)ハッピーエンド ここまでの作りは、きちっと押さえてあって、でも、「これは、ありきたりな話じゃないな」と感じると思う。そこが恐らく作者スパイス、味かなと。 (承)起承転結の承なのですが、流れよく↑にあがっていくのですが、へ?と、流れよく↓にも下がる、このターンはとても緩やかで、序盤に出てきた挫折とも違う。 「大人になってからの挫折と、子供の頃から尾を引く挫折って違うよなぁ」と染々しました…。 そこにエイトビートをぶち込んで「やるぞ!」まで行くと強くなれる気がするし、そんなときにまわりに誰かがいたら「やるぞ!」の叩き方が変わってくる。 しかし、穏やかな風のような音。これを聞き取って欲しい。沢山の意味がある。多分それは「表現」という感覚でない、体温で感じるもの、ごく自然な、当たり前な、馴染みあるものに。 誰がどう読むか、それは別に感想としては言わないでおこうと思う、言葉にすれば陳腐だし伝えられない。風の音、空気の振動、緩やかに、時にシンバルだって優しい音を出すものです。好きに生きていたい、伝わってくるような。そんな青春、それは音波信号のようなもの。 良作ありがとう。
- 作品更新日:2021/12/24
- 投稿日:2022/8/27