電脳猟兵×クリスタルの鍵
【物語は】 序章のニュースにて幕を開けていく。 主人公は賞金稼ぎ。この賞金稼ぎには、いろんな制約があるようだ。実際に彼らが活躍する場面から始まっていく。 その中で、賞金稼ぎとは実際どんなことをするのか? などが明かされていく。 彼らがこの時、対峙した相手とは? 【物語・世界観について】 ある事件から物語は始まっていく。クリスタルというものが情報の媒体になっているのだろうか? この時見つけたクリスタルから引き出した情報は、主人公にとって何か因縁があるものが混ざっていたらしい。 その詳細については今後明かされていくものだと思われる。 この世界の全員がそうなのかは分からないが、彼らにはナヴィゲータというものがいる(ある)ようだ。この電脳システムについては、まだ詳しく分からないが。 そして、それぞれのナヴィゲータ(電脳空間を渡る擬似人格)は性格が違うようである。 「」の形の種類によって会話がどこで(*)なされているのか、分けられているようである。 *「どこで」とは、電脳や表の会話など。 *かなり特殊な書き方をしていると感じた。 【登場人物について】 主人公の他によく登場するのは、同業者のロジャーという人物である。 主人公であるジャックは硬派な感じがするが、彼はどちらかというと軟派な印象。 その上、自由人のイメージを持った。 それぞれのナヴィゲータとのやり取りは、個性が出ており二人の性格が分かりやすいものとなっている。 序章で手に入れたデータに対しての二人の反応は異なる。ジャックは乗り気ではなさそうだがあらすじの内容からすると、いずれ考えを変え自ら関わっていくのかもしれない。 【物語の見どころ】 かなり特殊な書き方をしていると感じた。 「」などの後を改行しない部分が多くあるため、怒涛の勢いでストーリーが進んでいるような印象を受ける。 全体的にスピード感のある物語である。ただ、好みは分かれると思う。 男性のような話し方の女性が出てくるので、彼なのか彼女なおかいまいち掴み辛い部分もあるが、この物語はロマンスよりもアクション重視の物語だと感じた。 主人公が冒頭から続く事件の後、ロジャーと別れ帰宅する。その時、家には侵入者がいた。この人物は古い知り合いなのだろうか? この人物との遭遇が彼にとってのターニングポイントなのでないかと想像した。 見どころとしてはアクション部分だと思う。 読了部分では、まだ彼が誰に対しどんな目的で復讐をしようとしているのかは分からない。多視点の群像劇でもある。 あなたもお手に取られてみませんか? この物語の結末をその目でぜひ確かめてみてくださいね。 お奨めです。 *備考8ページ目まで
- 作品更新日:2024/3/24
- 投稿日:2022/8/14
木徳直人はミズチを殺す(完結作)
【物語は】 プロローグではなく開幕という形で始まっており、その名称の通りそのまま物語は進んでいく。 主人公はピンチに陥っており、現在の状況とこうなった経緯(いきさつ)を冷静に分析し、危機から脱出しようと試みる。 【作風や物語について】 一話の終わりに噂話という形で意味深な会話の一部が明かされている。 特に記載はないが、一文一文が短いのでライトノベル、もしくはリズムを大切にしているのだろうか? と感じた。 物語の中で殺されそうになっているのは主人公の方だが、タイトルを見ると反対の意味となっている。 物語が始まったばかりの時点では、逃げることを目的としているため”タイトルの持つ意味”について二つのことが想定できる。 一つは主人公の心情が変わる。もう一つは意図せずしてそういう結果になる。 ただし、この”ミズチ”に関して肉体的に殺すのか精神的に殺すのかでも意味合いは違ってくるため、いろんな捉え方はできる。正解はどれなのだろうか。 もしくはもっと違うこと意味しているのかもしれない。 それと各小タイトルが非常に意味深に感じた。 のちに理由は明かされるが、主人公がピンチに陥った発端は彼女の異様な光景を目にしたからだと思われる。好奇心は時として自分を窮地に追いやるもの。 つまり、主人公が命を狙われたのは偶然でもなければ巻き込まれたのでもなく、自身の好奇心が招いた結果である。 【主人公について】 主人公は”生”に執着した人間だという印象を受けた。 最初の脱出時に冷静に分析し、自分の思い通りに事を運び実行した。 この場面では二つのルートがあったと思う。一つは本作通りのルート。そしてもう一つは彼女の気持ちを変えさせるルート。 計画を実行した時点では、後者のルートでも良かったはずだ。しかしながら確実に生き延びるには多少危険を冒してでも、前者のルートを取るべきだと判断したのではないかと思う。 つまり冷静に判断したものの危険を冒してでもそれに賭けたということは”生”に対する執着がそれなりにあるからではないかと思うのである。 その後も彼は選択を迫られていくことになる。 【物語の見どころ】 主人公はある理由からクラスメイトの女の子を尾行する。 そして見てはいけないものを目撃し、口封じのため(?)に殺されそうになった。しかしなんとかその場は機転を利かせ乗り切ることに成功。 もちろん、それで終わるはずがなかった。 主人公の命を狙っているのが彼の素性を知らない見ず知らずの人物でならまだしも、クラスメイトなのだからいつかは見つかってしまうことくらいは読者にとっても想定内だと思う。 だが分かっていても、実際その時がやってくるとハラハラドキドキする。 そしてあらすじを見る限りでは、これは序章にすぎずこの先に本当の苦難が訪れるのだと想像できるのだ。ここに至るまで意味深な言葉があったりし、この先がどうなるのか全く展開予測不能な物語だと思う。 この後、主人公は彼女からいろいろと疑問に思っていたことなどを聞くことになる。条件はあるものの、当初のように彼女から命を狙われる危険はなくなったと考えてもいいのではないだろうか。そしてここからが本当の幕開けとなるのだろう。 あなたもお手に取られてみませんか? この物語の結末をその目でぜひ確かめてみてくださいね。おススメです。 *備考 二章二話まで拝読
- 作品更新日:2019/6/2
- 投稿日:2022/8/20
時をかけるトロ
【読む前の印象や予想など】 このあらすじの書き方はとても想像力を掻き立てるものだと感じる。 時代ごとタイムスリップしてくるのか? それともトロが江戸時代と大正時代を越えてきたのか? 二つの予想がつけられるからである。 ここで、トロをどんな存在だと想像するかによっても更に想像が広がると思う。 読者にとって想像力と好奇心を刺激するあらすじだと感じた。 しかしながら、タイトルは”時をかける”なので時代も一緒にやってくるということはなさそうである。 【物語は(どのように始まっていくのか?)】 出だしからびっくりの展開で、まさかそんなところにトロがいるのか? と吹いた。主人公の元へやってくるとは分かっているが、何処に来るのかは明かされていないのでインパクト大、衝撃的である! 感じ方は人それぞれだろうとは思うが、自分は十分惹きつけられた。 主人公の元にやって来たトロ。それは主人公にとっても衝撃的であったようで、現代らしい反応を彼がするのが印象的である。このようにして衝撃の出会いを果たした二人のエピソードは始まっていく。 【良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど】 トロの初セリフが好きである。 時代を越えてきたというだけあって、今の文化を知らないと考えると”過去から来た”ということにリアリティを持たせていると感じた。 これはコメディなのだろうか? トロが全体的に面白くて魅力的である。 感情移入というか、主人公の立場に立ってトロの話しを聞くことの出来る物語。それは恐らく、年代関係ないと思われる。 あっけにとられたり、驚いたり、笑ったりと感情を動かされるところも好きである。 最後まで読むと感動するし、メッセージがたくさん詰まった良作だと気づく。 【作品の感想】 初めは笑ったりびっくりしたりして読んでいたのだが、何故トロだったのかその理由がわかったところで、凄く感動する。 4000文字の中に詰まった物語は、凡人で何も持っていないと思っている人々の背中をそっと押すことが出来るだろう。 トロが主人公の疑問や不安、不満に対して明確な答えを与える。 主人公の想いは年代を越えて、共感を呼ぶと思う。 【物語の見どころ】 やはりトロが主人公の疑問に分かりやすい例えで説明する部分が一番の見どころだと思う。コメディなのだろうか? と前半は笑いを誘うのにも関わらず後半に感動を呼び、主人公が前向きに自分らしく歩んでいこうとするきっかけを作る。 短編として構成も巧く、感情を揺さぶる物語だと感じた。 あなたもお手に取られてみませんか? ある日突然やってきたトロが主人公に残したものが何だったのか、その目でぜひ確かめてみてくださいね。お奨めです。
- 作品更新日:2022/8/15
- 投稿日:2022/8/21
華燭の檻
【作風や読む前の感想などについて】 時代らしさを感じさせる表現がふんだんに使われており、ストーリーは悲しい始まりをするものであるにも関わらず、美しく可憐でロマンチックである。 タグにはハッピーエンドとあり、あらすじには不幸な境遇から始まっていく短編なのでどのような経緯でハッピーエンドとなるのか想像がつかない。 あやかしもので鬼とある。どんな生き物にも良い悪いがあり、人間の全てが良い人でないように鬼にも良い鬼がいるのかもしれない。 ここでハッピーエンドの方向性はいくつか想像できる。 主人公が夫と幸せになるルートや主人公が自由になるルート。もしくは真に愛する人を見つけ駆け落ちするなど。 この物語では一体どんな結末が待ち受けているのだろうか? 【物語は】 ある印象的な一文から始まっていく。 これは読者への問いかけでもあると思う。 四ページにて四部構成になっていると思われる。これだけの構成で急展開を迎えられるという流れも素晴らしいと思える作品だ。 あなたなら主人公の未来をどう想像するだろうか? 【愛のカタチ】 この作品で注目すべきは、その愛の形である。 色んな形の愛が出てくるが、主人公は少なくとも物語開始時には夫から愛されているとは言えない状況にあった。これについては後に詳しく明かされていく。 政略結婚であり、年が離れすぎているから仕方がないと思ってしまうが、それにはちゃんと理由があるのだ。そこがこの物語の必然性でもあり、ラストに驚く展開が待ち受けている点でもある。 温度差がハッピーエンドを際立たせており、やっとたどり着いた幸せの形なのだとも言える。これは純愛と言っていいのではないだろうか? 【物語の見どころ】 時代らしさを醸し出しており、とてもロマンチックに感じるところと、伏線回収の仕方がかなり鮮やかである。色んな事が繋がると、主人公がこの人生においてこんな道を辿ったことは運命なのかも知れないと思ったりもする。 そしてかなりハラハラドキドキする部分もある。 構成が巧いため、そのこともあり主人公を応援したくなる物語だ。 意外なラストを迎え、読了後には幸せな気持ちになるかもしれない。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 主人公の行く先をぜひその目でぜひ確かめてみてくださいね。お奨めです。
- 作品更新日:2022/8/1
- 投稿日:2022/8/21
天使と悪魔の諸事情
あなたは『天使』に対してどんなイメージを抱いているだろうか。 天使と悪魔が囁くなどと聞くと自分は良心と悪意。 もしくは善と悪という言葉が頭に浮かぶ。 だが天使と悪魔、どちらが人間的に感じるだろう? 自分は正直、そういう意味では天使に良いイメージは抱いていない。どちらかと言うと温度を感じず、神から与えられた任務を淡々とこなすようなイメージを持つ。そこには情はなく、正しさが先行し、きっちりと善と悪を分けるような。 そんな自分のイメージを覆す天使、ここに降臨。 あなたもきっと彼の魅力にどっぷりハマるに違いない。 【物語は】 主人公のある疑問から始まっていく。 そして彼の苦悩の始まりとも言える、分岐の日の一場面から物語は展開されていくのだ。主人公は、その日何を失ったのか? 恐らく彼が失ったのは、最愛の人だけではない。 【物語の魅力】 この物語は主に主人公のミカエル視点で進んでいくが、群像劇でもあるので必要な部分では視点が変わる。 そしてこの世界の中では【人、天使、悪魔】そして神までも【喜怒哀楽】などの感情を持っているのだ。感情と性格は密接な繋がりがあり、そこに加えて天使の特性、悪魔の特性というものが絡み合う。 その中で誰よりも感情豊かで、慈愛に満ちているのが主人公のミカエルなのである。彼の魅力は後ほど語るとし、キャッチコピーに目を向けて欲しい。 『彼女はなぜ剣を向けた?俺はなぜ彼女を手にかけた?神はなぜ世界を創った?』(作品のキャッチコピー引用) この全ての謎が解ける時、主人公はある決断を迫られる。 そこまでの間では、兄弟や姉妹の考えていることが徐々に明らかになり、天使側と悪魔側の策略なんかも見えてくる。それを総合した時、良かれと思うことは本当に世界のためなのか? という疑念を持つ。 最後までハラハラドキドキさせられる物語だ。 【主人公の魅力】 彼に対しての印象は天使に対して持っていたイメージが少々、それを覆す部分が大半と言ったところだろうか。 自らの手で堕天させてしまった最愛の双子の姉。 彼は彼女を探すために、目撃情報があれば人間界へ出向くという天使にあるまじき行為を繰り返していた。これが人間だったら不思議はないが、彼は最高位天使であり、職務がある。 任務に失敗してしまうドジっ子天使なら見たことあるかもしれないが、職務放棄して最愛の人を探しに行ってしまう天使なんて見たことないんですよ。 例えばそんな総理が居たら、国がおかしくなっちゃうでしょ。 そんな感じなのです。これは別にコメディではないので。 けれども通常は職務を放棄するような天使ではなく、周りから頼られ尊敬されるような人物。(天使だけど) すなわち、どうかしていると思うその行動からは『理性を失うほどに彼女が大切な存在である』と伝わってくる。そして彼の言動は周りをも変えていくのである。良くも悪くもね。 【彼の持つ特性は危うい】 彼の持つ最大の魅力は脆さだと思う。 その脆さは最愛の人という一点の隙間しかない。けれども、失ったら彼は壊れてしまう。立場も忘れて。 この物語を読んで感じたのは、最愛の人を失った絶望による『消えたい』という想いは切なくも美しいということ。 (どうかしていると言われそうだが) 天使は死を選べない。永遠にこの世界に繋がれた存在。 彼は真っすぐであり、一途であり、純粋。そして慈愛に満ちているからこそ、危うさがあってそこに引き込まれる。つまり放っておけない存在なのだ。 【人にはいつか終わりが来る】 これは当たり前のこと。人は産まれたら、いつかはこの世を去る。 その人生の中で、悲しみもあれば苦しみもある。それを乗り越えながら生きるのは、一種の試練なのかもしれない。もちろん楽しいことも嬉しいこともあるだろう。 あなたは不老不死に憧れたことがありますか? 俺はないです。 人の命はいつか終わりがあるから、今を一所懸命に生きることが出来る。 自分の周りの人を大切にすることができるのだと思う。 そして永遠に生き続けることは、苦しみや悲しみから決して逃れられないということでもある。 人が後悔するのは、時が前にしか進まないから。後悔しないために人は積極的に悔いのない人生を生きようとする。それは素晴らしいことだと思う。 そんなことを今一度考えさせてくれる物語でもある。 【物語の見どころ】 一番は主人公の選択にあるかなと思う。 彼は恐らく一番ひどい目にあったのではないか。 信じていた相手に裏切られたり、本心が分からずに苦悩したり。勝手なことをされて絶望に追いやられたり。 いろんな疑念を抱いたのち、矛盾に苦しんだりもする。 彼の心情が丁寧に描かれているので、ホント苦しくなってしまうの。 どうしてこんなに頑張っているのに、彼は傷つき苦しまなきゃならないのか。そんなことを思いながらボロ泣きした場面がたくさんあって、それでも最悪の選択をせずにいて欲しいと思うあたり、エゴなのかなと感じたり。 物語の中で魅了される部分って心情や感情なんだろうなと思いました。 彼のような人が実際にいて、友人だったりしたら心配で心配で胃に穴が空きそうだなと思う。 この説明では、どんな話なのか伝わらないかもしれない。 強さと儚さという相反する特性に心惹かれてしまう人にはぜひ、お奨めしたい。沼にハマります。仮にハマって、抜け出せなくても俺のせいではないので(笑) 宗教的なものではないので、ヒューマンドラマの好きな方や純愛の好きな方、もちろんファンタジーや天使や悪魔を愛する方、読まれてみてはいかがでしょうか? この世界が作られた理由を知った時、きっと驚きと納得が同時にやってくることでしょう。(なんだか不思議で複雑な気持ちになりますよ) お奨めです。
- 作品更新日:2022/10/28
- 投稿日:2024/3/30