ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

先入観を覆す天使降臨、いつの間にか彼の魅力にどっぷりハマる。その結末は

5.0
0

 あなたは『天使』に対してどんなイメージを抱いているだろうか。

 天使と悪魔が囁くなどと聞くと自分は良心と悪意。

 もしくは善と悪という言葉が頭に浮かぶ。

 だが天使と悪魔、どちらが人間的に感じるだろう?


 自分は正直、そういう意味では天使に良いイメージは抱いていない。どちらかと言うと温度を感じず、神から与えられた任務を淡々とこなすようなイメージを持つ。そこには情はなく、正しさが先行し、きっちりと善と悪を分けるような。

 そんな自分のイメージを覆す天使、ここに降臨。

 あなたもきっと彼の魅力にどっぷりハマるに違いない。


【物語は】

 主人公のある疑問から始まっていく。

 そして彼の苦悩の始まりとも言える、分岐の日の一場面から物語は展開されていくのだ。主人公は、その日何を失ったのか?

 恐らく彼が失ったのは、最愛の人だけではない。


【物語の魅力】

 この物語は主に主人公のミカエル視点で進んでいくが、群像劇でもあるので必要な部分では視点が変わる。

 そしてこの世界の中では【人、天使、悪魔】そして神までも【喜怒哀楽】などの感情を持っているのだ。感情と性格は密接な繋がりがあり、そこに加えて天使の特性、悪魔の特性というものが絡み合う。

 その中で誰よりも感情豊かで、慈愛に満ちているのが主人公のミカエルなのである。彼の魅力は後ほど語るとし、キャッチコピーに目を向けて欲しい。

 

 『彼女はなぜ剣を向けた?俺はなぜ彼女を手にかけた?神はなぜ世界を創った?』(作品のキャッチコピー引用)

 この全ての謎が解ける時、主人公はある決断を迫られる。

 そこまでの間では、兄弟や姉妹の考えていることが徐々に明らかになり、天使側と悪魔側の策略なんかも見えてくる。それを総合した時、良かれと思うことは本当に世界のためなのか? という疑念を持つ。

 最後までハラハラドキドキさせられる物語だ。


【主人公の魅力】

 彼に対しての印象は天使に対して持っていたイメージが少々、それを覆す部分が大半と言ったところだろうか。


 自らの手で堕天させてしまった最愛の双子の姉。

 彼は彼女を探すために、目撃情報があれば人間界へ出向くという天使にあるまじき行為を繰り返していた。これが人間だったら不思議はないが、彼は最高位天使であり、職務がある。

 任務に失敗してしまうドジっ子天使なら見たことあるかもしれないが、職務放棄して最愛の人を探しに行ってしまう天使なんて見たことないんですよ。

 例えばそんな総理が居たら、国がおかしくなっちゃうでしょ。

 そんな感じなのです。これは別にコメディではないので。


 けれども通常は職務を放棄するような天使ではなく、周りから頼られ尊敬されるような人物。(天使だけど)

 すなわち、どうかしていると思うその行動からは『理性を失うほどに彼女が大切な存在である』と伝わってくる。そして彼の言動は周りをも変えていくのである。良くも悪くもね。


【彼の持つ特性は危うい】

 彼の持つ最大の魅力は脆さだと思う。

 その脆さは最愛の人という一点の隙間しかない。けれども、失ったら彼は壊れてしまう。立場も忘れて。

 この物語を読んで感じたのは、最愛の人を失った絶望による『消えたい』という想いは切なくも美しいということ。

(どうかしていると言われそうだが)

 天使は死を選べない。永遠にこの世界に繋がれた存在。

 彼は真っすぐであり、一途であり、純粋。そして慈愛に満ちているからこそ、危うさがあってそこに引き込まれる。つまり放っておけない存在なのだ。


【人にはいつか終わりが来る】

 これは当たり前のこと。人は産まれたら、いつかはこの世を去る。

 その人生の中で、悲しみもあれば苦しみもある。それを乗り越えながら生きるのは、一種の試練なのかもしれない。もちろん楽しいことも嬉しいこともあるだろう。

 

 あなたは不老不死に憧れたことがありますか?

 俺はないです。

 人の命はいつか終わりがあるから、今を一所懸命に生きることが出来る。

 自分の周りの人を大切にすることができるのだと思う。

 そして永遠に生き続けることは、苦しみや悲しみから決して逃れられないということでもある。

 人が後悔するのは、時が前にしか進まないから。後悔しないために人は積極的に悔いのない人生を生きようとする。それは素晴らしいことだと思う。

 そんなことを今一度考えさせてくれる物語でもある。


【物語の見どころ】

 一番は主人公の選択にあるかなと思う。

 彼は恐らく一番ひどい目にあったのではないか。

 信じていた相手に裏切られたり、本心が分からずに苦悩したり。勝手なことをされて絶望に追いやられたり。

 いろんな疑念を抱いたのち、矛盾に苦しんだりもする。

 彼の心情が丁寧に描かれているので、ホント苦しくなってしまうの。

 どうしてこんなに頑張っているのに、彼は傷つき苦しまなきゃならないのか。そんなことを思いながらボロ泣きした場面がたくさんあって、それでも最悪の選択をせずにいて欲しいと思うあたり、エゴなのかなと感じたり。

 物語の中で魅了される部分って心情や感情なんだろうなと思いました。


 彼のような人が実際にいて、友人だったりしたら心配で心配で胃に穴が空きそうだなと思う。

 この説明では、どんな話なのか伝わらないかもしれない。

 強さと儚さという相反する特性に心惹かれてしまう人にはぜひ、お奨めしたい。沼にハマります。仮にハマって、抜け出せなくても俺のせいではないので(笑)

 宗教的なものではないので、ヒューマンドラマの好きな方や純愛の好きな方、もちろんファンタジーや天使や悪魔を愛する方、読まれてみてはいかがでしょうか?

 この世界が作られた理由を知った時、きっと驚きと納得が同時にやってくることでしょう。(なんだか不思議で複雑な気持ちになりますよ)

 お奨めです。

crazy's7

登録:2024/3/30 13:58

更新:2024/3/31 22:04

こちらはcrazy's7さんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

同じレビュアーの他レビュー!!

ウィッチドライブ ~女の子と事故って魔法少女になり身体の相性が良いから働かされてるんだけど俺はこれを許すべきか? 契約したからもう遅いわよ〜

笑いあり、怒りあり、語りつくせない魅力の詰まった物語。

【物語は】 異形と呼ばれる怪物が出るようになった世の中が舞台。ある日、主人公は手違いにより、魔法使いのようなカッコをした女性に、女にされてしまう。被害を被ったのはこちらなのに、何故か不満を漏らしているのは相手である。 理不尽な状況でも、冷静に状況を把握しようとする彼。喋ることは出来るが、喋ること以外出来ないという事態に。つまり、身体が乗っ取られている⁈ 突然、日常から非日常へと引っ張り込まれることになった、主人公の運命とはいかに? 【登場人物の魅力】 段々と明かされていく、主人公の過去。主人公は自身の境遇により、荒れていた時期もあったが、常識的な考えを持つ人物の印象。祖母の教えを胸に抱き、寛容になろうとする場面も見受けられる。 主人公が、とても人間らしい。ここが物語の最大の魅力ではないだろうか。常識的=いい人とは限らない。世に出回っている多くの物語は、人類の為にあっさり戦うことを受け入れてしまう。しかし、それは子供向けの物語であると感じている。あくまでも良いこと悪いことを教えるために、極端にしているのではないかと思えるのだ。大人になれば分別もつくので、人間の感情に対するリアリティを求めるもの。その感情は複雑に違いない。 例えば、子供の頃は守られる側であったが、守るものが多くなればなるほど、リスクを考えたりするだろう。この作品では、そのリスクに対する対価についても描かれている場面があり、協力する理由の一つとして納得できる。 この物語では、主人公の心情がしっかり描かれているので、笑ってしまう部分、一緒になって腹が立つ部分など、感情移入しやすいことも、特徴の一つ。 ウィッチドライブをすることになった相手とのやり取りもとても面白い。相性は最高なのに、仲が悪いのである。しかし、言いたいこと言える相手なので信頼関係や絆は結ばれているように感じた。信頼関係があるからと言って、仲がいいとは限らない。これは現実にもあること。二人の関係が今後どうなっていくのか楽しみである。 【世界観・舞台・物語の魅力】 舞台は、異形と呼ばれる怪物の居る世界である。なので、それを倒すような人々も存在するようだ。 ウィッチドライブのシステム自体がとても面白い。原理は簡単に理解することが出来るのに、いろいろと興味深いことが起きてしまうのが面白い。何故、主人公が男から女になってしまうのか。何故胸のサイズが変わってしまうのか。その辺りの理由についても面白く、単に女性になって戦うのではなく、その為に起きる面倒なことについても描かれている。 本来ならウィッチドライブというシステムを使い、戦うはずではなかった主人公。手違いにより、戦うことになってしまった。この契約は簡単には、なかったことに出来ないため、ある程度の期間は主人公が変わりを果たさなければならない。必要なものは経費で落ちるのだが、それはどうやら国民の税金から支払われるらしい。 その為、必要なものではあるが、”これを税金で⁈”という状況が起き、そこにも笑いが起きる。主人公の複雑心境が笑いを誘うのだ。 この物語は、魔法少女に対する期待のようなものも満たされていると思う。男性が好きそうな際どい展開にて。もちろん、匂わせであるが。 単に笑いだけではなく、敵となる人物たちにも拘りを感じた。悪は一概に悪とは言えないかも知れない。関係ない人まで巻き込んではしまうが、発端がありそこに同情を禁じ得ないこともある。そして、そういう人の心に入り込む人間こそが、本当の悪なのではないかと考えさせられるのだ。 【物語のみどころ】 この物語の主人公は、ある理由から喧嘩などに対しては、腕に覚えのある人物。だからと言って、国民の為に戦う義理はない。それを行うのはそういう職に就いているものの仕事であると考える人間が主人公だ。 この考えには、多くの人が共感できるのではないだろうか。物語だから、フィクションだからこそ、正義の為に戦う者に憧れることはある。それは死なない前提だからではないのだろうか。 多くの物語の正義の味方は特殊な力を持っている。毎回入院シーンのある、ヒーローものは皆無とは言わないが、なかなか見たことがないのではないだろうか。しかし、自分の立場だったなら。いくら力があっても、やはり怪我は免れないし、死ぬかも知れない。そうなったら、何も考えずに協力などしないと思う。しかも、同意もなくいきなり体の性別が変わり、勝手に身体が戦い始めるなど、発狂しそうだ。 この物語には、大人になってからヒーローものや魔法少女ものを見た時の疑問などについても、ナチュラルに解決されている。とても人間らしいところが魅力の物語なのだ。 そして、何故異形が産まれるのか。そこにもちゃんと拘りと理由があるように感じる。正義とは一体なんであろうかと考えさせられるのだ。どんな人間にも心があり、悪が一方的に悪とは限らない。同情もしてしまう物語である。 あなたもお手に取られてみませんか? 笑いあり、怒りあり、ハラハラドキドキしてしまう物語です。果たして、主人公たちは真の敵を倒すことが出来るのだろうか? 是非、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
0
crazy's7

散華のカフカ

事件を追ったその先で、想定外の展開が待ち受ける!

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ローファンタジー 「審判」から三十年。都市では人が灰になって消える灰化現象が続出。主人公たちは、その事件を捜査していた。灰の身元を調べようとしていたところある不一致に気が付く。更に詳しく調べようとしていたところ、ある人物に呼ばれ捜査資料を渡されるのだが。まさかそれが、自分たちのその後の運命を変えてしまうことになろうとは思ってもいなかった。彼らの運命はいかに?! 【物語の始まりは】 ”朽人”という意味深な言葉を発れられるところから始まっていく。ある二人が美しい砂のようなものを袋に詰めているが、一体それにどんな価値があるというのだろうか? 彼らを通して伝えられるのは、不思議な光景不思議な体験。そして、最後に残された言葉は誰のものなのか? 謎の多場面から始まり、本編に入ると何か事件が起きたことが分かってくる。被害者は二名のようだが、これが冒頭の彼らなのだろうか? 【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】 人が灰の様なものにされる事件が多発してる状況。 埋葬屋という謎の人物が存在する。彼の仕事は一体? オーディナルシステムというものが存在する。 多視点からなる群像劇。 【主人公と登場人物について】 主要な人物は三人の刑事だと思われる。 彼らはこの事件(人が灰のようなものにされる事件)の対策チームで初めて出会ったようで、妙に馬が合い捜査を行う時はよく三人で行動しているようだ。 【物語について】 彼らが灰の身元を調べようとしたところ、ある不可解な点を発見する。それをさらに詳しく調べようとした矢先に、彼らに会いに来た者がいた。その者は普段ならば、絶対に会うことのできない人物。彼らはその人物から直々に事件解決の依頼と、その事件に関する話を聞くことになる。その者から事件の情報を手に入れた彼らは、その資料から犯人を導き出したのだが……。 彼らは犯人を調査していたところ、自分たちもある陰謀に巻き込まれていく。この物語は、死=終わりではない。それは序章に過ぎないと感じた。果たして主人公はどうなってしまうのだろうか。 【良い点(箇条書き)】 ・あらすじに”裏で起こる巨大な陰謀の渦に巻き込まれていく”とあるが、巻き込まれ方が想定外。 ・タグに”主人公は最強”とはあるが序盤では想像がつかない。一般の刑事に見えるからである。しかしあるところまで差しかかると、想定外の展開に驚く。 ・バトルものであるということは先に分かってはいるものの、構成が巧いので先が読めず、意外性と独創性が素晴らしい。 ・冒頭の方は事件ものであり、ミステリーのような雰囲気を持つが、異能力者たちのバトルが熱い。不思議なバランスと魅力を持つ物語である。 ・一人一人戦い方が違うようであり、戦闘自体に見どころがある。 【備考(補足)】8ページまで拝読 【見どころ】 まず構成が面白い作品だという印象。推理モノのような始まりであり、主人公達が事件を追っていくところから始まるが、気づけば異能力バトルとなっている。事件の黒幕は早々に分かる為、早くも事件解決か? と思わせる展開も秀逸。しかしそれは始まりに過ぎないのである。まさか主人公たちが事件自体に巻き込まれるとは、あらすじを読んでも想像できない。意外性の詰まった作品である。何故彼らが戦っているのかも、序盤で明かされていく。一体どんなラストになるのか、誰が勝利するのか予測不能である。 主人公はこの戦いにどのような立場や位置で関わっていくことになるのだろうか? 果たしてその結末とは? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? この物語の行く先をその目で是非、確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
0
crazy's7