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カクヨムSF連載:43話完結

Dearest.最愛の君よ、星屑の向こうで待つ

退役軍人のイヴァンと、戦時中と戦後の不安定な情勢下で、名前とは裏腹の悲惨な身の上を背負ってしまった少女スノウが、宇宙の船旅に出る。仄暗い世界観ながら読み心地がよく、しかし見えてくる人々の事情は濃く、どこか物哀しい空気に満ちています。 ストーリーがしっかり作り込まれており、見どころ・考えどころが多い作品です。イヴァンが失った記憶と、そこに絡んでくる暗澹とした事情。最愛の誰かを喪った人々の叫び。戦禍が誰にも等しく残した傷痕。それらに容赦なく牙を向かれながらも、お互いを大切な人として見出し、寄り添うイヴァンとスノウの甘苦混ざった恋愛模様。時に明るく、時に暗い展開がなされながらも、イヴァンとスノウの姿を追わずにはいられません。 アクアマリンと雪のような美しさを持ちつつも、時に責苦となる消えない汚濁を背負い、進む二人の旅路。その結末をぜひ、見届けてみてください。

5.0
  • 作品更新日:2021/1/12
  • 投稿日:2021/10/10
カクヨムその他連載:43話完結

喋る黒猫とうそつきの麦わら

平穏とワクワクが同居する田舎の空気、可愛らしいキャラクターたち、散りばめられた意味深な謎が紡ぎ出す、温かくも切ないストーリー。万人受けの作品だと思います。 主人公の謙人は、廃線となった線路を辿っていくだけの旅をしている途中、麦わら帽子に眼鏡をかけた三編みの少女、有子と出会う。魔法が使えるという彼女は、喋る奇妙な黒猫を引き連れていた。そんな不思議な少女と猫、一人と一匹に出会った謙人は、とある村で行われる「春渡り」なる祭りに参加することとなる。 可愛らしいキャラたちの、ほのぼのとした掛け合いと、懐かしい田舎の空気が織り成す空気に浸りながら、しかし上手く仄めかされる謎をどんどん追ってしまいます。そうしてたどり着いた終盤にて明かされる真実は、ひどく胸を締め付けるものですが――どこまでも温かい優しさと切なさ、有子と謙人が歩む道の眩しさが、こちらの心を癒やしてくれます。 大事に抱えていたいものが詰め込まれた宝箱のようであり、甘酸っぱさと苦さが凝縮された柑橘のようでもある物語。ぜひご堪能ください!

5.0
  • 作品更新日:2022/1/27
  • 投稿日:2021/10/16
カクヨムファンタジー連載:33話完結

誰がために花は咲く

美しい物事を実現するため、醜いことに手を染めながらも這いつくばって前進していく、人間のリアルな姿を描いた物語。淡々とした俯瞰的な文が、逆に物語の彩度と没入感を高めていると思います。 治療薬が無く、発症した人体に触れれば感染する疫病がはびこり、罹患者は人と見なされない世界。そんな中、薬の元となる花が発見され、人や国家の行方が変わり始めます。花を見つけて薬が作られるまでの第一章、見え始めた希望が暗雲に閉ざされる第二章、か細いながらも確かな光が射す第三章。長い時間をかけ、生きるため生かすために走り、転んでも這って進んでいく人間の美醜が、丁寧に描き出されます。 すぐそばに人々の息遣いや足音を感じながら、誰かのために花が開く最後まで、ぜひ読んでみてください。

5.0
  • 作品更新日:2020/10/4
  • 投稿日:2021/9/21
カクヨムホラー完結非公開

かすみ燃ゆ

先が気になりすぎて一気読みしてしまった上、予想を裏切り上回るラストに撃墜されてしまいました。 安是という里の女性は、恋をすると光る。主人公・かすみは年頃になっても光ることなく、加えて身の上の事情もあり、村人たちから疎遠にされていた。しかし彼女は、外道と称される寒田という里の男・燈吾に恋をし、彼だけに自身の光を灯していた。禁断の関係を持った二人は、ありとあらゆる障害に阻まれながらも、相手を諦めることなく突き進んでいく。 かすみたち安是の女が放つ光、山里の景色や民俗的な要素、純粋かつ凄絶なまでの情念を抱く人間の姿が、息を呑むほど濃密で絢爛な筆致で描き出されています。一見すると伝奇やファンタジー、官能的な恋愛もののようですが、ミステリの一面も秘めており、時に迫力満点で進む展開もなされます。 美麗な文章や描写を堪能しているうち、いつの間にかゆっくりじわじわと物語の中へ引きずり込まれていき、気づいた時には加速する展開を追わずにはいられなくなります。すっかり没頭しつつ辿り着く結末には、してやられたと思わず笑ってしまう。こちらを飽きさせるどころか読後まで魅了し続け、最後まで翻弄してくれる作品です。 苛烈にして壮麗な光に焼き尽くされ、感嘆すると共に放心してしまうほどの読書体験、ぜひ味わってみてください。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/10
  • 投稿日:2021/11/24
カクヨムファンタジー連載:44話完結

ASHURA〜旅立ちの章 箱根の章〜

 龍が宿る刀、五色の刀と呼ばれるうちの一振り、白龍刀を託された少女、一桜。急襲され灰燼となった故郷の再興を目指す彼女は、しかし五色の刀を巡る王家の謀略と争いに巻き込まれていく。  戦乱の時代を思わせる雰囲気ながら、舞台は現代文明が古代文明として扱われている、かつて日本と呼ばれていた国ジパング。人を食べる魑魅魍魎も現れる和風世界で、一桜は道中で助けてくれた忍者、風魔幻霞と共に旅をします。  狙われる身のため逃亡する一桜は、時に無謀ながら勇敢で、男勝りな性格。刀に選ばれたことにより、女性とは思えない力を発揮することができますが、斬ってしまった相手を始め、他者への情が深い主役らしい主役。幻霞は腹に一物を抱え、真意が見えないながらも、気さくで親しみやすい人柄。一桜が世間に疎く、幻霞が何だかんだ世話を焼くという間柄が微笑ましいコンビです。  視点は一桜だけでなく、謀略の中で動き争う王家関係者や、巻き込まれる土地の人々の思惑も見られますが、中でも野心を燃やす皇子、緋耀の活躍が見所。軽薄な面もありながらカリスマ性も持ち合わせる彼の、己の目的を冷静に射抜いていく姿は正に智将。癖のある部下を従えつつ、楽しむように進む姿には惹かれるものがあります。  魅力的な人物たちが織り成す、五色の刀を巡る物語は、いかなる様相を見せてくれるのか。ぜひご照覧あれ。

5.0
  • 作品更新日:2022/2/7
  • 投稿日:2022/4/29
カクヨムファンタジー非公開

奴隷屋の日常

キャラクターや世界観、一話ごとに色の違うエピソード。どれか一つでも引っかかれば、ずぶずぶとハマり込んでしまう作品。主役である奴隷屋の店主シリウスと、彼の相棒ライファットの掛け合いが微笑ましく、互いに背を預けあっているような安定感が心地いいです。 一話完結の形式が多く、読みやすいのですが、ハードボイルドだったりシリアスだったりする部分がちらりと見える回には、思わずゾクッとさせられます。もちろん、タイトルの通り日常を描いた、ほのぼのとした描写もあり、キャラたちをもっと好きになれること間違いなしです。女性キャラは少ないですが、男性キャラたちはそこを補って余りある魅力に満ちています。 賑やかなキャラが織り成す、奴隷屋の日常風景。ぜひ覗いてみてください。

5.0
  • 作品更新日:2021/9/22
  • 投稿日:2021/8/14
カクヨム恋愛短編完結

アップルパイに呪われて

主人公の弥代は、アップルパイが美味しかったからという理由で、パートナーの景と結ばれた。それ以降、彼からアップルパイを食べたいと言われなかった弥代だが、ある時ついにアップルパイを望まれてしまう。しかし、弥代はアップルパイが嫌いだった。彼女が景にあげたのは、自分が作ったものではなかったから――。 と、アップルパイが嫌いなのに、愛する人のために作らざるを得なくなってしまった弥代。今度は自分で作ったものをあげたいと頑張る彼女が微笑ましく、けれど不安も伝わってきます。 そんな弥代には、とある呪いがかけられているのですが、果たして一体どんな呪いなのか、弥代やアップルパイとどういう関係があるのか。それは、ラストシーンの余韻に浸りつつ、ご自身の目で確かめてみてください。

5.0
  • 作品更新日:2021/9/4
  • 投稿日:2021/10/12
カクヨム歴史・時代連載:50話完結

白狼姫 -前九年合戦記-

 陸奥国で起こった前九年の役、東北地方に伝わる白糸姫伝説と金売り吉次伝説を題材に描かれた、合戦と恋の歴史物語。執拗に繰り返され、長きにわたった戦の悲惨さや凄絶さがありつつ、敵陣営なのに恋に落ちてしまった男女の切なさや、ささやかな平穏に満ちた陸奥国の姿が丁寧に描かれています。  作品タイトルの白狼姫こと、陸奥国の勢力・安倍氏の末娘である一加は、勇ましくも繊細な面を持った姫君。敵である源義家と恋に落ちてしまう彼女は、長い戦いへ身を投じ、義家とも戦場で会敵することに。義家との恋で女性らしさや可愛らしさを覗かせますが、戦へ臨む際には心の揺らぎと覚悟を見せてくれる、可憐ながら凛然として美しい女性です。  一加と恋に落ちる源義家は、爽やかで明朗な好青年。武家の御曹司として将来も見込まれている彼ですが、真っ直ぐすぎるが故に、戦の中で渦巻く陰謀に苦い思いを味わってしまいます。  周囲に翻弄されながらも、ただ逢いたいと願い進む健気な二人の行く末が、一つ目の見所です。  二つ目の見所は、謀が渦巻く合戦や駆け引き。登場人物たちの戦に臨む姿と普段の姿、そう変じる過程、抱く思いが浮き彫りとなり、いっそう入れ込んでしまいます。また、敵味方を問わず、良くも悪くも身内への情の深さが窺える描写が多々あり、もっと登場人物たちを身近に感じさせてくれます。  ただ平和を願い、平和を勝ち取るために動く者。野望に目を光らせて動く者と、混沌の情勢を駆け抜ける戦士たちは恐ろしくも魅力的です。戦場を駆け抜けた者たちがいかに戦って散り、いかに生き延びて新たな生を歩いていくのかは、一見の価値あり。  一加と義家を始め、登場人物たちがどんな結末を迎えるのか。前九年の役を知っている方も知らない方も、ぜひ見届けてください。

5.0
  • 作品更新日:2022/1/16
  • 投稿日:2022/6/13