きょうを読むひと
産声を上げるより前に呪いを受けた王女は、常に知識を求め続ける。本、魔法、学問、全てを吸い続けても足りない。空の頭に苦しみ、最後は国民にすがるしかなかった。千差万別の彼らの日常を知り、飢えをしのぐのだ。 王女宛に綴られる日記は、どこまでも等身大だ。出会い、発見、恋模様、別れ、そして死。人を想う王女は刹那のきょうを読む。 ぜひ、同じ日のない王女の日々を一緒に追いかけてほしい。
- 作品更新日:2021/11/30
- 投稿日:2021/12/11
いつしか、キミが、ロリになる
始まりは二十歳の夏、偶然と片付けることのできない出会いから始まります。 アメリカの土地、中学三年の故郷、それから時は流れて社会人三年目の横浜で。 時が過ぎるたびにスズカは言います。 「それがキミが成長するための関門だから」 リョージの未来を願うスズカの秘密、祖父の過去、秘匿された奇病、金髪少年の思惑。 深まる謎の中で、時にコミカルに繰り広げられる世界を読み終えた時、彼らが出した答えを知ることができます。 この作品の衝撃はタイトルだけでは終わりません。色を変えていく構成、世界をお楽しみください。
- 作品更新日:2022/2/1
- 投稿日:2022/2/8
最果ての天秤
命の選択を迫られる過酷な地帯で医師と死神は対峙する。 過去の過ちを清算するため我が身を省みずに突き進む医師に死神はある提案をして――。 もがき苦しむ人々を救うのは必ずしも神ばかりではありません。運命が理不尽な暴力が地獄へ突き落とすこともあります。 二人の出した答えが救いであればいいと願わずにはいられません。
- 作品更新日:2022/5/8
- 投稿日:2023/2/17
眼鏡の恩返し
「昨日助けていただいた銀縁眼鏡です」 ええ、そうでしょうそうでしょう。もちろん、私も目が点になりましたとも。 しかし、考えてみてほしいのです。この銀縁眼鏡くんの律儀さを。恩返しをするために、元々の主の姿を借りてお礼に来てくれる健気さを。 惑わされずに、きちんと礼を尽くすこと。その大切さを教えてくれるのです。嫌味なほど整った顔立ちで、時折しゅんとしながら。その罪深いほどの素直さを軽やかに綴った物語。 主人公の心情を適切にわかりやすく書き出している手腕はいつも驚かされます。 人と人との関わりや先入観に囚われがちな自身を振りかえる、まさに大人の絵本の頁をめくりませんか。
- 作品更新日:2022/4/22
- 投稿日:2023/2/17
押原さんは地味な図書委員の俺を推している
何がきっかけかはわからないが、押原さんは今日も毎時毎分毎秒、押尾くんを全力で推している。 歩み寄る押尾くんと、推したいだけの押原さんとのほの甘い攻防戦は少しずつ展開中。 押尾くんをただ眺めているだけで幸せを感じる押原さんは純粋に眺めて、息をして、眺めて息をします。存在がもう神だと言わんばかりです。 押原さんは押尾くんの存在自体を生きる栄養剤としているのではと読了後に思い至りました。 彼ら二人の関係は私の生きる栄養剤となっているので、存分に繰り広げればいいと思うのです。
- 作品更新日:2022/3/4
- 投稿日:2023/2/17
見習い天使はそこにいる Revised!
初恋に胸をときめかせ、告白に挑んだ三枚目な主人公。見習い天使によると成功率は8%の見立て。 そこから転がるどたばた学園生活。 悪魔に、天上界特製アイテム、BL談義に見習い天使の過去?! 人々の願いを叶えるため、心の闇を晴らすため! 見習い天使は全力で立ち向かう。 コミカルな文章でさらっと暗い話も出てきたり。それでも希望が持てるのは、きっと見習い天使がいるからです。 見えなくとも、不思議と元気になれるストーリーを追いかけてください。
- 作品更新日:2023/1/20
- 投稿日:2023/2/17
北の深淵、その最奥に眠るもの
北の果てにできた世界を裂くような亀裂の調査するために調査官が派遣される。麓の村では口を閉ざされ、深い森の先にある亀裂に行くには案内がなければいけないという。世界の確執が絡み合い生まれた亀裂は底の見えない深淵としてもたらすものとは―― ほの暗さを空気に、美しく瑞々しい世界を背景に話は展開される本格ファンタジー。世界創造の伝承をめくるような心地を味わえること間違いなし。 登場人物たちのそこはかと漏れ出る感情と思惑、瞳の中に映る真意を想像してほしい。
- 作品更新日:2022/12/2
- 投稿日:2023/2/17
ショコラひと粒とピアノの一音
新しい年を迎え、コンサートを控えた主人公は何気ない一言で、演奏に迷いを持ってしまう。 また、幼馴染みの彼も人の一意見に囚われ手が止まる。 ピアニストとして、ショコラティエとして、一瞬にかける想いを汲み取ってほしいと願うのは果たして贅沢なことなのだろうか。 聴覚と味覚を文字という視覚で楽しめるのも醍醐味の逸品。感覚を紡ぎだすために並んだ言葉たちは幸せに違いない。 これを読んだら、実物も――と思うはず。 『ひと粒』と『一音』にかけた願いにも似た想いをぜひ味わってほしい。
- 作品更新日:2023/1/23
- 投稿日:2023/2/17
花のような糸と勇ましい羽
空に浮かぶ生き物の上で生活する人々を描いた物語。旅人達の関係と自分を重ねてみたり、見たことのない外に夢を描き、夫となる人と距離をつめていく。自然に身を委ねた素朴な人々は純粋で豊かだ。情景や感性を無垢な瞳に映し出す姿が繊細に紡がれている。 絵もなく、詳しい説明もなく、ただ『言葉』だけで読者の脳裏に異世界を描いていく物語。わからない故に想像のままに世界は広がり、わからないからこそ湧き出る好奇心が抑えられない。 子供の頃の別世界を覗いたときの気持ちを味わいたい方には特におすすめだ。 異世界情緒をたったの5000字程度で味わえる珠玉の短編。
- 作品更新日:2022/12/11
- 投稿日:2023/2/17